新しいことに挑戦し、壁にぶつかることで、謙虚になれる説
学校事務の仕事に就いて間もない頃、僕は少々傲慢になっていたと思う。当時26歳の自分は世間知らずで、学生から頼られることを心地良いと感じると同時に、自分が急に偉くなったような錯覚に陥った。今でこそ「錯覚に陥る」という表現を使っているが、当時は本当に自分が偉いと勘違いしていたので滑稽そのもの。しかし、2年後に大きな失敗を経験し、考え方や行動を改めざるを得なくなった。自信を喪失した。環境が自分に自信を与えてくれた反面、環境に見合わない自分の力不足により自信を失うこととなった。社会人になって初めて感じた挫折という感覚。しばらく受け入れることができず、謙虚にもなれなかった。
そこからさらに2年経過し、僕は新たな資格取得を目指すことに決めた。2年という時間が僕を大人にしてくれたのかもしれない。「このままではダメだ」という思いと、学生のために自身の専門性向上と確かなスキルを備えるべきだという考えが相まって、資格の勉強に踏み切った。資格の名前は、キャリアコンサルタント。国家資格である。失った自信を取り戻すために国家資格という冠を自分に付けたいという気持ちもあった。
キャリアコンサルタントの資格は、定められた実務経験を有しているか、養成講座を修了してからでなければ、受験すらできない。よって、僕は知識もなければ実務経験もほぼなかったため、養成講座に通うことにした。約4ヶ月間、計12回のオンライン講座を受けた。月3回のペースで日曜日9:30〜18:30を講座にあてた。講座は楽しいの一言だった。講座を受けなければ間違いなく知り合っていないような方々と接点が持てることだけでも毎週楽しみだった。僕は仕事が内勤だったため、外部との関わりが気薄だった。元々幅広い人付き合いが好きだった僕にとって、学校事務職は閉鎖的な環境なのだと、講座を通じて感じることとなった。また、講座を受けて感じたことは、受講していた皆さんがとても謙虚であるということ。受講生ほぼ全員が僕より年上で、仕事の話を聞くだけでも驚く経歴をお持ちの方が多い。にも関わらず、非常に謙虚な姿勢に僕も自然と謙虚にならざるを得なくなった。皆さんの話を聞くたびにこれまでの僕の人生があまりにもちっぽけに感じたが、それをネガティブに捉えることはなかった。
キャリアコンサルタントの勉強する中で、学ぶべきことがあまりにも沢山あった。知識面、スキル面、どちらとってもこれまで自分がやってきたことは相手のためではなく自分のためだったことに気づかされる。対人では、自分が納得するのではなく相手も気づかない心の要求を満たすことが大切なんだと学んだ。結果として、幸運にも資格取得に至り、現在は一応専門職として勤務している。日々絶え間ない自己研鑽を続けてなお、日々反省が出てくる仕事。ゴールがない。謙虚にならざるを得なかった。なぜなら、日々学ぶことがあるから。自分の強みをひけらかすことなく事実として語る謙虚さを学べているのは、新しいことへの挑戦である。
転職活動をしても、書類選考や一次選考で不通過が当たり前。結果はマイナスだが、得るものはプラス。自分に何が足りないのかを見極める。自分にとって最高のキャリアを実現するために日々また自己研鑽を重ねていく。そうすると、スキルアップしながら成長をし続けるアプローチができると考えた。
新たなことに挑戦することで必ずと言っていいほど、知らないこと、分からないこと、難しいことなど、壁にぶつかる。そこで逃げずに向き合うことが大切であり、いくつになっても失敗を受け入れるメンタルの強さを持つこと。新たな挑戦をすることは、自分を強くしてくれる。凡人である僕が生き残っていくには、そう信じて前に進み続けるしかない。