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サービスの作り方 - Desirability

デザインシンキング的に考えていくにあたって下記の3つの丸の交点部分が成り立つ部分が事業として成立しうると仮定して進めています。

80年代は「技術的実現性」を追い求めればモノが売れる時代でしたが、「デザイヤビリティ」をスタート地点にしている企業が成功を収めている傾向にあると思います。例えば、iPhoneやAmazonは製品機能やサービス内容はあまり説明せずにそれによってどういう風に生活や体験が変わるかをよくCMしていますよね?ああいうことです。逆にスペックや機能を訴求したAndroidのスマホはあまりヒットしませんでした。

dotDでも同様に、「デザイヤビリティ」から考えていくことにしています。

<デザイヤビリティ>

1. どんなサービスを作りたいのかをいろいろな軸からディスカッションを重ねていく
2. どうなったら我々がターゲットとしているユーザーさんと社会を幸せにできるかを考えてみる
2. ペルソナを大量に作る
3. 人口統計やSNSの管理機能からリーチすべきペルソナ人口を調べる
5. 自分たちがやりたい事とペルソナが求めることの交点を見つける。

全く、ゼロの状態からデザイヤビリティを考えてもアイディアは当然出てきませんのでテーマはまず「Deep tech x Pet = Pet-tech」と決めていました。なんせ私自身40過ぎて1人でアフリカに2週間サファリツアーに行ってしまうくらいの動物好きですし、回りを見渡してもペットを大切にしてる人ってなんか穏やかでいい人が多いような気がしてたのでテーマだけは先に決めました。

ざっくりしたDeep techでペットを飼ってる家族(ペット本人も含む)でどいう事があったらその人達の幸せをお手伝い出来るんだろうということを考え続け、何度もディスカッションを続けました。使った時間は

1. 各自が考えてた期間は1〜3ヶ月位
2. ディスカッション・ワークショップは10回 * 3時間くらいなので30時間位
3. その裏で常にプロトを作り続けた時間100時間以上

と言った形です。
今でもそのディスカッションの続きをSlackを使ってやり続けています。1回のディスカッションはどんどん短くなっていきますが、内容はあまり変わっていません。

その結果、ウチのメンバーがみんな飼ってるわんちゃんのお散歩で

1. ペットが幸せ
2. するとその家族は幸せ
3. その周辺の社会も幸せ

というのが成り立ちそうだという結論に至りました。1番から順番に幸せにすれば3番までは流れるのは可能そうですが、2番や3番からスタートするとオーナー好みの服を着せてインスタに写真を載せるインスタ女子になってしまう可能性もあり、さすがにそれは共感できない部分もあったので1番を徹底的に考えることにしました。

よく、VCの方々に聞かれる質問で

「どんな社会課題、誰の課題を解決するのですか?」

というのがあると思いますが、これは課題の言語化をシンプルにするには非常に良いと質問思いますのでそこをグルグルいろいろ考えてみて

解決すべき課題は
「家族間や周辺とのコミュニケーション不足による、優しくない社会に向かっていっている可能性」
そこから、meanによって
「ペットを通じて家族や周辺とのコミュケーション不足を改善し、やさしい社会を作るお手伝いをする」

と言っています。(というか言い始めています)

また、単に

「犬の健康管理のためのお散歩アプリがない」
「日々のお散歩を日記代わりに記録し続けたい」
「わんちゃんとの思い出を残したい」

といったわんちゃんオーナーさんならでは一般的な課題もあったりもしますが、ランニングやウォーキングアプリで代替出来てしまったりもしますので、このへんはあまり言わないようにしてます。

その後、meanのアプリを12月22日に提供し始めて1ヶ月で数千名のユーザーさんにお使いいただいていますが、アプリによって家族間のコミュニケーションが増加し、更にはお外でいろいろな人とこれまでよりも話をするようになった。と言っていただいています。

たしかに、犬の散歩していても義務として散歩をしている事も多かったのがこれまでだったのかもしれません。

これまで
パパ「散歩行ってくるわー」
パパ「散歩行ってきたわー」
ママ「おかえり」

meanを利用すると
mean「たくさん散歩行ってくれるからママが好き」
パパ「ちょっといいコメント貰いたいからがんばって散歩行ってくるわ」
mean「ナイス散歩だった。いつもより距離も時間も頑張ってくれてありがとう。もっといろいろなところに行きたいよー!」
パパ「今日はちょっと長めに行ったから、良いコメントもらったから見て見て?」「あと、ご近所の近藤さん家のラッキーもmean使ってて盛り上がった。始めて話したわ。」「チャットも淡白だったのが、いい感じで返してくれるようになった。」
ママ「すごー、どうやっての?ちょっと負けたくないから夕方一緒に行く?」

というように淡白だったコミュニケーションがよりリッチなモノに変わってきているようです。こういったコミュニケーション改善が出来ることによってパパは早く家に帰ってきて、ママ友コミュニケーションをするようになっているケースがありました。

仮説を作って、実際にプロトをリリースしてみた結果がすぐにフィードバックされるのもスタートアップでの新規事業でも良いことですね。

逆に
「ウチの犬は散歩嫌いなので、散歩に行きたいなんて言わない」
「うちの子はこんな言葉の使い方しない」
「うちの子は女の子だから、もっとやさしい言い方をするはず」
「ウチは関西弁で喋ってるから、犬だけ標準語で話しているのはどうかと思う」

など製品改善に繋がる意見(内容というよりも言い回しやニュアンスで受け取り方も色々違うんだという実例)もあり、日々勉強になっています。

自分たちの独りよがりではなく、直接的なフィードバックをすぐもらうことによってよりリアルなところにつながっていくんだなということが分かってきました。

ちなみに、よく企業向けに提供している新規事業向けのワークショップで2週間準備して、2日間ワークショップした後の感想が

「あー、すごい勉強になりました。明日からの仕事に活用できればと思います。」
「すごい良い研修でした。」

これでは翌日以降に何も起きないですし、単発で終わってしまいます。まあ、ベンダーを使って自社のメンバーに刺激を与えるという観点では良い部分もありますが、新しく何か起こすには必要十分ではないなと自分でやってみて思います。ワークショップの最後のステップでは

1. 次のアクションは何なのか?
2. いくら位お金かかるのか?それは払えるのか?
3. 1週間以内に手触りのあるモノが出来るのか?

というところが明確化して翌日からすぐにアクションが起こせて記憶が新鮮なうちに成果物が見えるのがモチベーション的にも重要かと思います。

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