就職→転職→起業のキャリアを商品開発で築く名著『100億マニュアル』書評1~ 安売りしない(高い価格で売る)方法
就職→転職→起業のキャリアを商品開発で築いた梅澤伸嘉著『100億マニュアル』は凄い名著! しかし、21450円という価格の高さからか、あまり読まれていない様で残念!
2019年8月の 刊行から1年ほど経過したので、ネタバレ的な解説も含む書評の連載を始めます。
初回は著者、梅澤 伸嘉 (うめざわ のぶよし)氏の「キャリア・実績づくり」と「安売りしない(高い価格で売る)商品開発、ブランディング」を、21450円の本をもとに解説します。
『100億マニュアル』著者、梅澤さんの王道キャリア
梅澤氏は戦前の1940年(昭和15年)生まれ。今年で80歳。 本を刊行したのが79歳 という点に、まず感服します。
キャリア・アップに定年・限界は無く、成長し続けたいですね!
梅澤氏の学歴は、愛知学院大学で経営学博士を取得。
職歴は先ず、サンスターに 就職。サンスターで成功し、日用品業界で世界一のジョンソン・エンド・ジョンソンへ転職。 ジョンソンで成功した後、1984年に44歳で独立、商品企画エンジン㈱を起業。
この「就職→転職→起業のキャリア・パス」は欧米では、王道(デファクトスタンダード)です。 つまり、ジョンソンやグーグルなど業界で世界一の企業に、未経験者=新卒では入社できない。
就職→転職→起業のキャリアが、中小企業・地方も成長
中小企業で、若くして仕事を任され、実績を創った有能な人だけが、業界で世界一の大企業に入社できる。
結果、中小企業(が多い地方)も成長する!地方創生の観点でも重要な話。
要は、大企業は中途採用が中心で、新卒は中小企業へ実績を創りに行く。日本も意図せずとも今後こうなるよ。
なぜなら、AIで事務仕事は消滅し、創造的な仕事ができる人材が欲しい。
高学歴な新卒は、事務仕事は得意だが、創造的な仕事は???
創造的な仕事ができる否かは、実績で判断する(学歴不要論)!
学歴と最初の就職は重要でなく、就職後の実績が大切
キャリア・パスの王道を別の視点から説明します。誤解を恐れずに言うと、梅澤氏の学歴と最初の就職先(当時のサンスター)は一流とは言い難い。
最初の就職先で成功した結果、業界で世界一の大企業からスカウトされた。 世界一の企業でも成功し続けた結果、起業しても仕事の依頼が絶えない。
巷の「独立・起業を奨励する本」は「誰でも、いつでも独立・起業はできる」等と、正しくない誇張 が多い。 独立・起業後に直ぐ仕事を得るには、小さくても良いから成功しておく必要がある。
就職→転職→起業キャリアの基本を、梅澤氏の経歴から学ぼう!
次は「安売りしない(高い価格で売る)商品開発、ブランディング」を、本の価格設定を例に説明します。
本の価格設定は1頁3~10円vs梅澤氏の本は1頁44円
本は値引き禁止、本の種類で次のように価格設定する等の掟があります。
文庫本:1頁3~4円。単行本:1頁5~8円。専門書:1頁10円。
拙著『日本版スローシティ』は250頁を書き上げた後、私は2000円以下を希望しましたが、この掟から2500円という価格に決まりました。このように専門書は「頁250以上、価格2500円以上」が多く、あまり売れません。
分厚い本、読むには気力いるよね。 高い本、買うの躊躇するよね。
一方、梅澤伸嘉著『100億マニュアル』は、486頁で21450円(1頁44円)。 これほど「分厚い本、価格が高い本」は、世の中にない常識やぶりな商品、と言えます。
この「常識やぶり(業界の掟やぶり)」な高い価格設定の理由を、私は以下のように推測します。
梅澤氏は著書で「まだ世の中にない商品を創り、高い価格で売れ」と繰り返し主張します。
世の中にない商品を創り、高い価格で売れを有言実行
A)その主張を『100億マニュアル』の内容と価格で実践した「有言実行」が素晴らしい。
B)一方、巷には「安売りするな」と主張しつつ、自分の本は安く売る「有口無行」な駄本が多い。
あなたは、どちらの本(著者)に「ブランド=商品価値」を感じますか?
もちろん「有言実行な本(梅澤氏)」ですよね!
ブランド(商品価値)づくりの肝は、有言実行な姿勢
両者の比較から「ブランド(商品価値)づくりの肝は、有言実行な姿勢にある」と分かる。 綺麗事を言うだけで、それが実行されていない商品・政治家は、いつか淘汰される。
逆に、有言実行な商品・人は、ブランド(商品価値)が長く持続する。
この成功例として 、79歳で名著『100億マニュアル』を刊行し、80歳の今も活躍する梅澤氏に敬意を表したい。
皆さんのキャリアは、有口無行な安売り本を何冊も読むより、梅澤氏の『100億マニュアル』を 精読した方が、効果は100倍以上ありますよ。
キャリアづくり、商品づくりの事例は以下の連載が参考になります。
1話 成功例を、縦割主義で定義・美化するから、読者は失敗する
2話 歴史を書き換える出版で、シビックプライドを創造→移住者が増加
3話 金/予算が無いなら、協働のプル戦略~努力しても成功できない原因
4話 地方が衰退する原因は弱いくせに、競争するから~競わない地方創生
5話 個性を磨け~ありきたりな政策は供給過多で、価格競争/デフレに陥る
6話 連携ありきで無節操に人を集める失敗~連携/恋愛は1本釣りで成功
7話 顧客目線とは顧客を絞る事~嫌われる勇気を持つと顧客目線になれる
8話 売上増加より、コスト削減に、予算を使え~代理店へ丸投げ多すぎ
9話 地域おこし協力隊の採用/活用5分類~人を使い捨てるブラック自治体
10話 役所の広報予算は 1/10に抑制できる~役所は広告代理店のカモ
11話 役所の 婚活パーティが酷い~政策と情報発信を改革する公務員研修録
12話 ゆるキャラ使い、重い結論を、軽い言葉で依頼するな~公務員研修録
13話 政策を考える前提~研修は同じでも環境が正反対なら、成果も正反対
14話 公務員は博打好き~成功確率1%で、いきなり多額投資の政策は博打
15話 帰納法で創造力と個性を高める~演繹法は皆が同じ(無個性)になる
16話 政策立案ノウハウ全公開~成功例だけ紹介→真似するから地方は衰退
17話 「裏が見えない=表面だけ視る」から失敗する~質問力を高める方法
18話 論理偏重は信頼されない~感情と論理の調和で、信頼される公務員に
19話 人材育成(研修)の基本~今は大物の恩師は新人の私をこう指導した
20話 創造的&貢献的な仕事だけが残る~役所仕事と裁量仕事は消滅
21話 地域資源がPRしても「埋もれる、顧客に伝わらない」訳と解決策
22話 オール与党化の地方自治・議会は、学習と改革を放棄して腐敗
23話 農業や観光をブラック産業にする地方(ブラック自治体)は衰退
25話 個性あるブランド都市vsミニ東京化で個性を喪失して衰退する都市
26話 役所の仕事をした「ふり、アリバイ作り」が地方衰退の元凶
27話 人口減少策に成功した海士町と下諏訪町の共通項~連携、市民主役
28話 成功者は育てる~成功者に惹かれて、起業者・移住者が地方に集まる
29話 コニュニティの「しがらみ」を価値に変える~久繁哲之介の講演録
30話 地方創生は顧客価値の創造~顧客の声は面倒だから無視して商店街消滅
31話 できない理由・批判されそうな事を先に探して失敗する地方創生の真実
32話 地域ブランドと、ぼったくりは紙一重~ぼったくりでないブランド化
34話 お上が認める表彰・計画だから、地方と人を骨抜きにする
35話 人口誘致も、NHK大河ドラマ誘致も、手段が目的化して失敗
36話 定住志向だから失敗~2地域居住など利用志向の地方は成功
39話 郷に入れば郷に従えは人が流出→人口減少vsダイバーシティで人口増
40話 仕事の引継ぎは、前例と方法でなく、目的と価値を伝え価値を高める
41話 内定辞退率63%のブラック自治体に見る、マザコン公務員
42話 関係人口⇔交流人口⇔定住人口の質量で、政策を創る~商店街再生1
43話 車&ネットは、まちと人を変え、関係人口も変える~商店街再生2
44話 失敗は「良いvs悪い」失敗と「自責vs他責」に分ける~商店街再生3
45話 皆が自分の為だけの消費に走り、地方・商店街は衰退~商店街再生4
46話 子育て政策も商店街政策も、公私連携な働き方で成功~商店街再生5
47話 久繁哲之介の経営指導で再生・成長した商店~商店街再生6
48話 地方創生は個性の創造が必要~地方は閉鎖的・つまらないから衰退
49話 自由裁量が高い町で、移住者が急増~自分探しの若者を受け入れろ
50話 地方移住の成功法~住む場所・目的を変えて、失敗が成功に変わる
51話 事業を始める事しか考えない役所の事業は失敗~育成と撤退も考える
52話 難易度・投資は低く、効果は高い事業を創れ~協働、パラレルキャリア
53話 できる2割を活かすパレート法則で地方創生~ダメな者の保護で衰退
54話 関係人口・顧客の口コミで観光者と移住者が急増~役所広報がダメな訳
55話 自分探しの若者・定住意欲が低い者を応援できる地方に、移住者が急増
56話 忖度させる首長が、公務員と地方を劣化させる~地方衰退の真実
57話 ふるさと納税&クラウドファンディングの欠陥~寄付で稼ぐな
59話 住宅の空き家・店舗の空室化を「予測、代替、関係」で解決
60話 スキル無き素人な公務員の補助金ばらまき、6つの病と処方箋
60話の内、読者(地方議員・公務員)から反響が大きいベスト3
3位 働き方をこのように改革したいと、公務員向け研修の依頼
40話 仕事の引継ぎは、前例と方法でなく、目的と価値を伝え価値を高める
2位 人口減少対策・地方へ移住政策に活用したいと、講演の依頼
54話 関係人口・顧客の口コミで観光者と移住者が急増~役所広報がダメな訳
1位 これが地方と公務員が劣化する真の原因。本にして世に問うてほしい
56話 忖度させる首長が、公務員と地方を劣化させる~地方衰退の真実
お仕事の依頼、久繁哲之介のプロフは、こちら
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?