レポート:勝央まちづくりサロン『まちづくりのしくみ・しかけ・つくり』(10月20日)
この記事では10月20日に開催された、勝央まちづくりサロンの活動報告をさせていただきます。岡山県勝央町(しょうおうちょう)で民間、行政、住民を巻き込んで、まちを元気にする取り組みを行っている一般社団法人しょうおう志援協会が主催です。facebookページはこちら↓
2020年3月から開始し、毎月開催しています。最近は、これまで「DX」、「居場所づくり」、「健康」などをテーマとして、楽しくお話をしてきました。感染症対策でオンライン開催が多いですが、感染が落ち着いたら、会場での開催もできればと考えています。過去の内容はマガジンに記録しています。
ちなみに、前回2021年9月は『まちづくりとDX』をテーマに開催しました。
1.今回のテーマは「まちづくりのしくみ・しかけ・つくり」
今回は、しょうおう志援協会のアドバイザーとして活躍していただいている加島一男さんが2021年7月に本を出版されたということで、いろいろお話聞いてみたいと考え、ゲストにお願いしました。
加島さんは、横浜市在住ながら、しょうおう志援協会の立ち上げから長きに渡りアドバイザーとして貢献していただいています。加島さんの得意分野は【しくみ・しかけ・つくり】。企業のシステム構築、人材育成、事業開発など多岐に渡って活動されています。今回はこの「しくみ・しかけ・つくり」の視点からまちづくり分野を考えます。
仲間集め、仕事整理、マネタイズなど、それぞれの参加者のお悩みを解決するヒントが見つけられたらと考えました。さらに本の出版エピソードなども聞いてみました。
加島さんの自己紹介はこちらのnote記事にまとめてあります。
2.「しくみ・しかけ・つくり」への想い
加島さんは「しくみ・しかけ・つくり」をライフワークと言われています。どんなことも実験、実践だと考え、実装、しかけにつなげていくことを得意とされています。
経歴としては、プログラミングを学び、これを活かそうと思い就職したところ、思いもよらずプログラミングを人に教えるという部署に所属となります。その後、人材開発、組織開発にもコンピューターで培った論理的な考え方を活用して、人材教育や事業コンサルタントなどを中心に起業されています。
加島さんは「しくみ・しかけ・つくり」に関心があって、プロセスに興味があると言います。逆にまちづくり、販売する商品などテーマ(サブジェクト)自身に詳しいわけではないです。それぞれの分野の人がどううまくつながっていくと良いか、仕組みや関係性に注目していきます。
混沌としたものを整理したり、きれいにすることにやりがいがあるということを紹介していただきました。
Project Based Learning:問題解決型学習
subject based learning:科目進行型
さらに、仕事や活動をする時に、「0→1」「1→10」「10→100」というタイミングがあると考えると、「1→10」が得意だと言います。しょうおう志援協会においては「0→1」の時点では、別のスペシャリストの方とご縁があって会が立ち上がりました。そして、その後の部分で加島さんにアドバイザーとして力になってもらい、今、運営が続いています。
ちなみに、今回の書籍の出版も、加島さんのビジネス的な「しくみ・しかけ・つくり」のひとつ、本を出版すること自体が目的ではなく、目的のために執筆したと教えてもらいました。
2.しくみ化のためのポイント
要素:
何が必要か、部品、事例、関係 → 類型化、メタ分析
流れ、プロセス、手順:
事例をみて考える、ケースバイケース、実験
要素(入力) → 手順(実験) → 成果(出力)
この手順の部分を文章化するなどして、しくみ化することを、加島さんは「実装」と呼んで、ご自身のアイデンティティを「実装家」と考えて活動されています。
枠の中のように、入力、出力という感じで客観的に考えると、考えがスッキリするように感じました。コンピュータープログラミングならでの考えという気もしました。
感情の渦に飲まれそうになった時には、客観的にみると冷静になれるように感じます。加島さんから、大変なことや面倒な人間関係でも、自分にとって「実験」として意味づけするようにして向き合っていると説明がありました。
3.課題への向き合い方は「ハーモニー」で
参加者からの質問として、『「課題」に注目するにか、「良いところ」に注目するのか、どちらが良いかなど、どのように考えていますか』、という質問がありました。これに対し、ハーズバーグの2因子論を紹介して、説明していただきました。
マイナスをゼロにすることは、できるだけ自動化、省力する方法を考える。そして、ゼロをプラスにするには、できるだけ時間をかける、やりがいを感じる仕事として重視する。…ということが大切と説明してもらいました。
さらに、2つの課題の中で、「どちらが良いか」というようなことを考える場合「バランス」ではなく「ハーモニー」と考えることが良いのではないかと提案していただきました。「二律背反」ではなく「融合」と考えると、視点が変わります。
例えば「ライフワークバランス」ではなく「ライフワークハーモニー」という表現だと、考え方ももっと柔軟になるのではないか、というお話もあり、「なるほど」と感じました。
4.移住、観光の「しかけ・しくみ・つくり」
後半の話題では、参加者に移住や観光の仕事をしている人がいることもあり、移住、観光の話題となりました。加島さんの視点では、フローとストックのビジネスモデルから見ると、移住や観光はこのように感じるということです。
移住:ストック 1度移住すると、その地域に継続して関わる
観光:フロー 1度に入るお金は大きいが一過性
さらに、今のビジネスの流れを考えると、フローをまとめてストックとして提供する、「サブスク」とする取り組みが増えています。
「フロー」 → 「ストック」 = 「サブスク」
…となります。「サブスク」と捉えると、それぞれの地域の観光コンテンツが別々のものでなく、まとめてのパッケージとなります。例えば、移住者向けの体験住宅も、「サブスクプラン」に登録したら、全国いろんなところのお試しができて、いろんな地域を比較できる。旅行気分でお試し住宅に行って、観光しながら移住に向けて考えられる、などです。
そして、観光、移住お試しの人を地域のイベントなどの運営に協力してもらえたら、人でも「人の奪い合い」から「人のシェアリングエコノミー」とも考えることができます。魅力的な取り組みも増えると思います。特に、今の移住施策は、都会の人を複数の地方が取りあうゼロサムゲームのような状況なので、それを打破できるような「ハーモニー」をつくることができればと思います。
また、日本国内ではなく、海外の人を対象にすると、対象者は広くなります。コロナ禍が落ち着いたら、これまでより目的意識を持った海外のお客さんは増えてきます。明確なコンセプトを持ってサービスを提供すれば、まだまだ可能性はあります。
今回のレポートは以上です。今回のサロンは、加島さんの「しくみ・しかけ・つくり」という論理的な考えの中にも、人間的な「ハーモニー」のセンスが加わり、それぞれの抱える課題をユーモアを持って見ることができ、新しいアイデアが出てくる回となりました。
お読みいただきありがとうございました。