レポート:「勝央健幸ラボ」スタート記念講演会(大阪府高石市に学ぶ)
この記事では、2020年1月22日(水)に開催した「勝央健幸ラボ」スタート記念講演会『健幸のまちづくりの未来』についてまとめたいと思います。
1.講演会の概要
1月22日(水)19:00~ 勝央町の「勝央こころざしシェアスペース」に大阪府高石市健幸づくり課スマートウェルネス推進班の舩冨様にお越しいただき、高石市の健幸のまちづくりの取り組みについてご紹介いただきました。
「勝央健幸ラボ」については以下の記事に詳しく説明をしています。健康を切り口にまちづくりを行いたいと考え、2019年8月より仲間とともにスタートした活動です。他のイベントに参加するなどの活動をしていましたが、今回は初めて単独で講演会を企画しました。
2.大阪府高石市の取り組み
大阪府高石市の取り組みは、私が「勝央健幸ラボ」を考える際に参考にさせていただいた取り組みです。高石市は「スマートウェルネスシティ」を目指し、市長が先頭に立ち、様々な取り組みを多くしています。
高石市では、平成30年5月より産学官民、住民が一体となって、知恵を出し合い、協議を行う場「高石市健康のまちづくり協議会」を創出し、健幸のまちづくりの実現を目指しています。協議会の事業には「健幸づくり事業」と「健幸リビング・ラボ運営」、「健幸フェスティバル&高石マルシェ」の3つの分科会があります。
なかでも私が興味深いのが「高石健幸リビング・ラボ」です。民間企業が積極的に参加している点がユニークで、企業が健康に関する新商品を開発した際の住民モニター募集をリビングラボが行っています。ラボの管理するコワーキングスペースもあり、住民向けイベントの企画を行っている企業もあります。
企業は健康に関するモニターの細かい情報を得ることができ、住民は、新しいサービスを利用でき、自分の健康づくりにも活かさせる。行政は住民の健康増進という行政サービスの向上を図りながら、経済の活性化も図るという「三方良し」の仕組みです。ここには、大学の研究室も関わることで、質の担保も図っています。
https://www.takaishi-kenkou.jp/
(高石市健幸リビングラボ運営事務局HP)
また、高石市は経済産業省の提唱する地域版次世代ヘルスケア産業協議会としても活動しています。
ちなみに、今回講演会を開催するにあたり、まったく面識のなかった高石市さんに電話でアポイントをして私たちの想いを説明したところ、なんと快くお返事をいただきました。本当に感謝です。思い切ってお願いしてみるものだと感じました。
3.印象に残ったこと
講演会で印象に残ったことを3つご紹介します。
1)ターゲットを明確にして事業を定期的に見直していること
高石市では、運動に関心があっても実際に活動できていない層を主なターゲットにするため、活動に対してポイントが貯まる健幸ポイントの仕組みを有効に利用されていました。そして、定期的に効果を見直し、ポイント内容やポイント交換内容について設定しなおすことです。これが分かっていても行政の事業はなかなか難しいことです。
健康に関する事業はすでに参加した人は、「参加する」という目標を達成していたため、次は別の参加していない人をターゲットにする必要があります。しかし、前回参加した人からは不満に感じてしまう、というのがジレンマになります。そこをきちんとデータを分析し、新しいターゲットを明確にすることで多くの市民が運動を開始するきっかけを作っていました。また、一度参加した人が継続して取り組める仕組みづくりも進めていました。
2)民間を巻き込む仕組みづくり
健幸ポイントで地域商品券と交換したり、健幸フェスティバルを開催して民間企業に参加してもらったり、地域全体で民間も参加しやすくなるようにしながら住民への健幸への意識づくりを進めていました。今後は地元企業の健康経営にもサポートをするなど、企業と連携した取り組みが印象的でした。
高石市は湾岸に工場がたくさんあり、工業団地がある勝央町と規模は違えど似ているところがあるように感じます。企業と連携することは、その家族にも関わり、まち全体に良い影響を与えることができるのではないかと感じました。
3)足でかせぐ
新しい制度設計や民間企業との関係づくりについて、どのようにしているか尋ねたところ、「とにかく足で稼ぐ」という答えがありました。市長から「役所の中にいるより外に出ていくように」とハッパをかけられるということで、先進的な活動のウラには多くの地道な努力があることを感じました。経済産業省との関わりも足で稼いだものだそうです。行動力がある自治体には国も思い切って新しい提案ができる。するとさらに新しい情報や事業に関心がある企業が集まるという良い流れになっているように感じました。
今回の講演会を通じて、「健幸」をまちづくりの柱として取り組む首長も含めた職員さんの想い、そして実現までの苦労のエピソードなども聞くことができました。そして勝央町でもたくさん取り組みができる可能性を感じました。今後、さらなる活動を進められるよう、努力したいと思います。
お忙しい中お越しいただいた舩冨様、参加者の皆様、本当にありがとうございました。
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