クマやシカによるスギなどの皮剥ぎ被害
上の写真はスギが混じる夏緑樹林なのですが、
赤茶色に見えているのは枯れたスギの木です。
以前から気になったいたことなのですが、
滋賀県・福井県・岐阜県の県境付近に行くと、
このように赤く枯れたスギを良く目にします。
中国地方や兵庫県・京都府でもたまに目にしますが、
時々出かけている滋賀県北部と福井県・岐阜県の県境付近に
なぜ多いんだろうと気になっていたのですが、
先日、福井県大野市を訪れた時に、その理由がわかりました。
上の写真には、葉が赤茶色になったスギだけでなく、
枝まで白っぽくなって完全に立ち枯れたスギが何本も写っています。
近くのスギの木を見ると、下の写真のように地面から
1~2mか、それ以上の高さまでスギの木の樹皮が剥ぎ取られています。
ツキノワグマが樹皮を剥いで甘い部分を食べ、
スギやヒノキに被害を与えることがあることは
以前から知っていましたが、あまりに数が多いので、
最近増えているシカによる皮剥ぎ被害も増えているのでしょう。
上の写真のスギには、歯形は残っていないように見えるので、
シカが食害したものではないかと思います。
この付近は冬の積雪が多く、特に冬は餌が不足するため、
シカが冬に樹皮を剥いで飢えをしのいでいる可能性が考えられます。
一方、こちら(上)の写真の幹には、クマの歯形が残っています。
検索してみるとツキノワグマによる皮剥ぎによって、
石川県などのスギの植林地で大きな被害が出ているようです。
しかし、少なくともこの地域では、
クマだけでなく、シカによる皮剥ぎも
かなりの影響を与えているのではないでしょうか。
ポリエレンのテープをスギやヒノキの樹皮に巻き付けるなどの
対策も考えられ(大井徹, 2000 ツキノワグマによる樹木への被害と対策)
大野市の植林地でも実際に行われていましたが、
ここに示した以外にも、かなり多くの木が被害を受けていましたので、
抜本的な対策が望まれます。