あなたが日本代表になる瞬間
こんにちは辻村です。金曜日は軽めの話題を書こうと思っています。私は日常会話には困らない程度には英語はできるものの、雑談とかはあまり得意ではありません。でも、出張や旅行で海外に出れば、いろんなことを聞かれます。いくつかの質問にこたえてみたときのお話です。
日本代表になる瞬間
日本代表になるのに全国大会を勝ち抜く必要ありません。いろんな分野で勝ち抜いた日本代表はすごいことですが、実はみなさんが海外に出た瞬間に日本代表なのです。
日本のことについて相手がどれくらい知っているかは様々です。「日本人を見るのが人生初めて」という人たちかもしれません。アジア人はみんな同じに見えて、中国も韓国も日本も全く区別がつかない人もいます。「日本の文化が好きでコミケ常連」という人もいます。
自分がどう思おうと、日本人が一人しかいないと日本代表になってしまいます。
私自身は「質問をしてくれると言うことは、興味を持ってくれて良いことだから、可能な限り丁寧に答える」と考え、答えるようにしています。しかし想像もできない突拍子のない質問もあります。
お前は空手をできるか?
ずいぶん昔に聞かれた質問は、「お前は空手をできるか?」です。映画の影響でしょうか、日本人は空手ができると思い込んでいたようです。「日本に忍者はまだいるか」と並んでその当時よく聞かれた質問です。
ご承知の通り、ほとんどの人は空手を習いに行ったりしません。それに、学校では柔道は習うかもしれませんが、空手は習いません。(平成24年から中学校2年生と3年生は保険体育の時間に武道が必須になっているそうです。)私がそんなことを思いながら、ふと困っていると、こう聞いてきました。
Do you know martial arts? (武術は知っているか?)
シャーロック・ホームズも崖から落っこちても柔道のおかげで助かったことになっているし、「まあ武術だよね」とYesとこたえました。すると、型をやってみろと言います。しかたがないので、空手をやっている人から小突かれそうなくらいヨレヨレな型をやリました。何がどう良かったのか今となってはさっぱり思い出せませんが、相手はたいそう喜んで去って行きました。
この話には後日談があって、いつの間にか「あいつはどうも黒帯らしい」という話になって、とりあえず「いかつい」ヤツに絡まれることはなくなりました。アメリカでも柔道をやっている人はいますし、退役軍人とかもいるので、ガチの人に絡まれなかったのは幸いというものです。
日本人はクジラを食べるのか?
残念ながら、世の中には悪意のある質問をしてくる人もいます。この質問をされたら、「昔のことじゃないのかな?」といってはぐらかすに限ります。私は、この話をまともに取り合って失敗しました。
私は仏教徒ではありませんが、こう思っています。
本来何を食べたとしても命をいただいていることには変わりはなく、「食べて良い」とか「食べてはいけない」とか区別するのは人間の「おごり」でしかありません。平等にありがたくいただくものだと思っています。食べ続けなければいけないのは人間の宿命です。クジラやイルカを食べるようになったのは近海で採れたり、打ち上がったりした、単なる歴史上の偶然です。
私の知る限り「日本人はクジラを食べるのか」とか「日本人はイルカを食べるのか」と聞いてくる人はそういった背景は全く考慮していないようです。私の会った人はいずれも「クジラ・イルカを食べるのは野蛮」であり、「クジラ・イルカを食べる行為をする日本人は野蛮・粗野」であると言いたいようです。そもそも議論がかみ合わないので、よくわからないと逃げた方が良いです。
天皇陛下についてきかれる
上皇陛下が退位なさり、今上天皇が即位なさる際に様々な儀式がおこなわれました。イギリスには女王陛下がいらっしゃり、BBCで中継されたことから、イギリスの人からいろんな質問を受けました。
本当によく見てくれていて、「三種の神器を開けなかった。中身を確認しないなんて考えられない。」というコメントから始まって、「令和は beauty and harmonyの意味らしいな?」(「BBCさん名訳!」と思った瞬間)とか、「儀式が思ったより短かった」というコメントまで様々でした。
面白かったのは「儀式がシンプルだけれども、優雅(elegant)だ」と言われたことです。
エリザベス女王の即位を知るほど年寄りでもないけれども、イギリス王室の結婚式は世界中に報道されたので、私は比較の意味でこんな風にこたえました。
イギリスの儀式はキャンバスの上にいろんな色で絵を描くようだけど、
日本の儀式はむしろ色を省いていっている感じがするよね。
この彼とは少しやり取りがあり、その後、同じ「女性と傘」という題材の2枚の作品を見てもらって、私の意図を伝えてみました。みなさんはどうお感じになりますか?
参考文献
文部科学省 武道・ダンス必修化、柔道の授業の安全な実施に向けて
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