ドン・ジュアン終演後も未だ身悶えている女が「愛」について考えてみた。
御園座へ、宝塚歌劇・花組による「ドンジュアン」を観劇してきました!
灼熱のスペインはセルビアで繰り広げられる、男と女の「愛」のお話。
友人や恋人、家族の愛は、いつも自分の近くにあるはずなのに気づけない。
自分を守り周りの人を傷つけていくなかで出会う、真実の愛。
真実の愛を実らせるためには、必要なプロセスがある。
嫉妬、失うことの恐れ、復讐心……相手を思う気持ちより自分のエゴが勝ったとき、真実の愛に触れることはできない。
新・花組トップスターのお披露目公演でした。
花組の新トップスター・永久輝せあが演じる「ドンジュアン」。
傷つくことを恐れる少年さと、どうしようもない妖艶さをもてあまして舞台上で光り続ける。
酒場の娼婦と同じく、客席に座るファン達も全員が身悶えている。
自分の心と向き合うこと=彫刻家として仕事に打ち込む「マリア」も同じく、新トップ娘役の星空美咲。
石に愛を注いで生きる姿、伸びやかな歌声、力強いタップダンス、くったくのない笑顔……
ドンジュアンの石のように固くなった心をどんどん砕いていく。
彫刻家として、自分の内面に向き合い続けるマリアにひとめで魅了されたドン・ジュアン。
「マリアの心の聖域=工房」に彼女の恋人・ラファエルは入れないが、彼だけが工房にはいることを許された演出が良かった。
「ドン・ジュアン」が私に残したテーマ
この主人公たちは、確かに家族や恋人から愛されているのだけど、彼らが望む「完璧な愛」ではない。
「完璧な愛」とは、相手が愛しているものまでまるごと愛すること。
「親なら◯◯すべきだ」「教育者なら◯◯な対応をすべきだ」といろんな固定概念が私にもある。
この「~べきだ」という発想が一番「愛」からほど遠いものなのに。
頭では理解しているが、本当の自分を理解されないマリアの寂しさがわかるし、恋人がいながらも他の人に惹かれてしまう気持ちは責められない。
人は寂しさゆえに、「エゴ混じりの愛」を育んで自分をごまかしているのか?
それとも知足の精神がない為に「エゴ」と捉えるのか?
「ドン・ジュアン」は千穐楽を迎えたが、私に「愛」のテーマを残したまま爪痕を肌の奥底にしっかり刻み、彼のいない朝を迎えるのは今日で3日目になる。
御園座周辺のグルメも堪能!