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歯科治療が怖い私が「静脈内鎮静法」で親知らずを抜いた感想

全く平気な人にとっては、何てことのない歯科治療。
だけど、口腔内にドリルやメスを入れられるのが怖い、治療への恐怖で心臓はバクバク・貧血を起こす、なんて人も少なからずいるんじゃないでしょうか。

そんな方の不安をいくらかでも和らげるために、抜歯が大の苦手な私が実際に体験した2例の感想を書いていこうと思います。


1件目:上あごの親知らず


右の上あごに生えた親知らずに歯ブラシが届いておらず、気づいた頃にはだいぶ進んだ虫歯になっていました。ギザギザの歯先があたる頬の内側は、口内炎を繰り返して食事するのも不便なほどに。

これはさすがに歯科に行かないとダメだと思いはしたけれど、抜歯のことを考えると恐ろしくてそれだけで気分が悪くなりそう……そんな時に、怖がりな叔母が特殊な麻酔で歯を抜いたと聞いたので、自分もそうしたい! と思い、どこで抜いたのか教えて貰いました。これが静脈内鎮静法との出会いでした。

叔母に聞いて予約を入れたのは、家から少し離れた、田舎では珍しい大きな病院です。(ちなみに怖くてどうしても自分で予約の電話ができなかったので、母に電話をかけてもらったヘタレです)
初回は確か、問診と実際の歯の状態をみて打ち合わせをして終わったと記憶しています。歯科助手さんに「歯医者さんが怖いんですか~?(笑)」と言われてちょっと恥ずかしかったです。

そしていよいよ本番当日。
施術は普通の歯科の椅子で行います。周りに仕切りのカーテンが下ろされ、点滴や器具などが用意されていました。
横になり、腕に点滴の針を刺され、指先にはバイタルをモニターするクリップを付けられます。初めてで何がどうなるか全く分からないので、不安でドキドキしてました。(私は注射や点滴も苦手ですが、抜歯の恐怖の方が大きくて気にしている余裕がありませんでした)

あーいよいよ始まっちゃうのか……もし薬が効かなかったらどうしよう……などと考えていましたが、麻酔科医が「ではお薬を流していきますね」と言ってから3秒であっさり意識が遠のきました。天井の模様を見る暇もなかったです。

次に気が付いた時には「はい、終わりましたよ」と手荷物と抜けた歯を次々に渡され、車いすで待機室へ運ばれているところでした。
正直「えっ?もう終わり??」って感じです。時間が経った気がしません。

事前に聞いていた話では、意識レベルが下がるだけで先生の問いかけに答えたり出来るそうですが、薬の作用で健忘が起こるので何も覚えていない人が多数なんだとか。全くその通りで、私もただ眠って起きたら全部終わっていたという感覚でした。

抜歯終了後は処置室で30分~1時間ほど安静にして、様子が安定しているのを麻酔医が確認したら帰れます。(この時は点滴をしながら横になっていました。何の点滴かは不明。聞けばよかった)
帰宅OKとなったので、化膿止め・痛み止め・胃を保護する薬を3日分出してもらって、母の運転する車で帰宅しました。翌日再び病院へ行き、傷口のチェックと消毒をしてから出勤。(このことは事前に聞かされていなかったので、当日の仕事が遅番でなければ無理でした)

その後1週間ほど経ってから、歯茎を縫った糸を抜歯してもらい処置は終了です。上あごの親知らずは下あごより軽く済むらしく、麻酔が切れても全く痛まずひどく腫れたりもしませんでした。
何よりも、恐怖をひとつも感じずに歯が抜けたので、その点は本当に良かったなと思いました。



2件目:下あごの親知らず


1件目の抜歯が済んで数年後。結婚して東京に引っ越してからの事です。
ずっとかぶせ物が取れたままだったり、虫歯になったりしている歯があったので、思い切って近所の歯科に行ったところ、歯茎に埋もれて横向きに生えている親知らずがあることが発覚しました。
レントゲン写真を見ると、他の歯を圧迫していて素人目にも抜く必要があることが分かるレベル。
あーまたかー! 困ったなあ……

抜歯方法は、歯茎を切開し親知らずをいくつかに割って取り除くとの事でしたので(恐ろしい!)、「自分は抜歯に対する恐怖感が強く、過去に静脈内鎮静法で抜いた」という話を先生にしました。

最初、先生からは「どこかの大学病院で抜いてきますか?」と提案がありました。そちらの方が安く済むのは分かっていたのですが、不慣れな場所に不安を抱えて通うのはハードルが高かったので、費用がかさむのを承知でそこの医院でお願いすることに決めました。(専門の知識のある麻酔医を呼ぶため、費用がかなりかかる旨の説明はきちんとありました)

当日、緊張しながらいつもの治療室に入ると、点滴などが用意されていてますます緊張……したのですが、麻酔の先生ににこやかに挨拶され、委ねるしかないと覚悟。1回やったことがあっても、やはり怖いです。

今回は手の甲に点滴の針を刺しました。「ではお薬を入れます」と言われてから、じわっと温かい感じが手の甲から腕を上ってきました。なかなか効かないな……などと思っていましたが、それもほんの数秒だったと思います。

次に気づいた時は、先生の声がぼんやりと聞こえ、止血のガーゼを噛ませられていました。今回も「あれ、もう終わったのか」という感じでした。

おそらく、それからしばらくそのまま寝かされていたのだと思います。しっかりと覚醒してから時計を見たら、16時になっていました。14時スタートだったので2時間経ったことになります。
先生が「今回は鎮静法を使って良かった」と言うので話を聞いてみたら、抜歯が済むまでに30分程かかったそうです。(結構大変だった様子)そうか、それなら普通の麻酔だと私の気力が持たなかったかもな、と思いました。
その後起き上がってみてふらつきなどがなかったので、家で待機していた夫を呼んで車で帰宅しました。

今回は傷口が大きかったこともあり、麻酔が切れてからの痛みがひどく、10日くらい痛み止めが手放せませんでした。薬を飲まずに寝ると痛みで目が覚めたくらいです。顔もだいぶ腫れて、顔の左側がプクプクになりました。

後で歯科助手さんに聞いたところ、薬の点滴が始まっても私はしばらく目を開けて普通にしていたそうです。薬がなかなか効かないな…と思われていたみたいなんですが、本人には全く記憶なし。たぶん忘れてしまっているんでしょうね。


費用について

1回目の時は、薬も含めてだいたい1万円くらいで済んだと記憶しています。(あやふやですいません)少なくともそれほど大金と思う金額では無かったです。

そして2回目。先生の説明では7~8万円くらいかかるとの話だったので、非常用の貯金から工面しました。
実際にかかったのは薬代も含めると8万5千円程度でした。

注意点

通常の麻酔と同様、薬剤を使う上でのリスクがあります。
アレルギーなども考慮しなければなりません。

通常の抜歯時と同じですが、当日は飲酒・激しい運動・浴槽につかるのはNGです。

安全な帰宅の手立てを考えておく必要があります。施術後は車や自転車の運転はできませんし、できれば誰か付き添いがいた方がよいそうです。

施術の翌日に、傷口のチェックと消毒をします。
予定を空けておきましょう。

患者の顔色を見ながら治療を進めていくため、当日はメイクをしていない状態で行きます。

その他にも、施術前の食事制限等、医師の指示があれば従いましょう。


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まとめ

もし恐怖のために歯の治療をためらっているのなら、私は静脈内鎮静法をお勧めします。数年間虫歯を放置した私が言うのもなんですが、歯の不具合は体全体に影響を及ぼしますし、治療は早くするに越したことはありません。

治療にかかる費用の差は、専門知識のある歯科麻酔医が常駐しているか・保険が効くかどうかで変わってくるようです。金額は医院によってまちまちなので、ネットで調べて納得のいくところを探すのをお勧めします。ただし、電車の乗り換えが複雑だったり、とても遠かったりなどアクセスが大変な所は避けた方が無難だと思います。行きは大きな不安・帰りは大きな傷を抱えることになりますので。

2回目の親知らず抜歯後、私は同じ医院で通常の麻酔下での抜歯もしました。その時に結構な恐怖を体験したので、静脈内鎮静法にかかった費用は無駄ではなかったと思っています。

今後はこのまま口内の虫歯を全て治す予定です。治療が終わったら、今度こそ定期健診に通うことを誓います。
食事を楽しく美味しく食べられるって大事!

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