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ASKA「WHO is ASKA!?」を拝見して

昨夜、大阪オリックス劇場で開催されたASKAさんのライブ「WHO is ASKA」を拝見しました。
そのことについて、簡単にレビューにしたいと思います。
なお、今回のレビューは評論口調になっています。


圧倒的なサウンド感

私はASKAのライブも生歌も今回が初めての経験だった。
彼がCHAGE&ASKAとして活躍していた1990年前後から2000年にかけては、私は子育ての真っ最中で、それほど多くの楽曲を知らない。
そんな私でも、昨夜のライブは、知っている曲やどこかで耳にした記憶のある楽曲が多く、楽しむことが出来た
全体としては、非常にクオリティーの高いライブだったと感じる。

特に印象に残ったのは、サウンドの美しさだ。
仕事柄、年間を通して、多くのJ-POPのライブに出かけるが、ハッキリ言って、ドラムとエレキギターの突き刺さるような音に、クラシック畑出身の私はときおり疲れてしまうことがある。
先日も氷川きよしの復活ライブに一緒に行ったクラシック歌手の友人が、「J-POPのライブって、こんなに音を大きくするものなんですか?」と驚いていた。
確かに大阪フェスティバルホールの音響の良いホールの2階席でも、耳をつんざくような音は、それだけで疲れてしまうかもしれない。

しかし、昨日のASKAのライブは全く違った。
とにかく「音」が綺麗なのだ。
もちろん、J-POPなのだから、エレキもドラムも使っている。
だが、今回、ASKAが直接交渉してライブに参加して貰ったというサックス奏者のDavid Negrete。
今回のライブではサックスだけでなく、フルートなど他の楽器も吹き、多彩な才能を発揮している。
彼は、昨年、ASKAが敬愛してやまない世界的音楽プロデューサーのデイヴィッド・フォスターと共演した時にメンバーにいたとのことで、その美しい音色に魅了されたASKAが自分のツアーに参加するように交渉したとのこと。昨夜も非常に美しい音を奏で、『You are free』だったかの掛け合いでは、ASKAとの歌声との魅力的なサウンドになっていたのが印象的だった。(曲目が違っていたら指摘をお願いします)

また、映像で参加のストリングスの音色がさらにライブのサウンドを重厚なものにしていたように感じる。
これは、ASKAのライブでは恒例のことなのか、初参加の私には知り得ないことだが、とにかくどの楽器も非常に音色が綺麗で、サウンドのバランスが素晴らしく、いわゆるJ-POPのライブで感じるストレスを全く感じなかった。
これが、非常に印象に残ったことだったと言える。

ボーカルの重なり合い

今回、ライブに同行しているボーカリストは、 結城安浩と高橋あず美。
このうち、高橋あず美は、彼女がアメリカの地下鉄でビヨンセの歌を歌っている動画を見たASKAがツアーへの参加の声をかけたとか。
力強い艶のある歌声で、声をかけられるだけあって、魅力的な歌声の持ち主だ。
普通、アーティストのライブに同行するバックコーラスのメンバーは、あくまでもアーティストをサポートする、というスタンスで歌っている場合が多い。しかし、今回のライブでは、ASKAを含めた3人のハーモニーが素晴らしかった。
ASKAの強靭な歌声に堂々と渡り合えるだけの声量と自分の音楽を奏でられるだけの表現力を2人ともが兼ね備えているように感じた。
もちろん、メインボーカルはASKAだが、そこに2人の歌声がしっかり重なって来ることによって、2人の歌声の存在感が半端なかった。
歌声の重なり合いが1つの線になったり、3つの線になったり、ハーモニーの広がりと狭まりが感じられて、立体的なハーモニーになっていたと感じる。
これには、ASKAに2人が自由に自分の音楽を奏でられるように懐深く、彼らの歌をしっかり受け止めるだけの抱擁感があることが大きな要因のように思える。
この懐の深さによって、安心して、2人は自分の音楽を奏でられる。どんなふうに歌っても受け止めて貰えるという安心感が、さらに3人のハーモニーに厚みを与えていると感じさせた。
久しぶりに太い歌声の重なり合いによる「ハーモニーの醍醐味」を味わうことが出来た。

最後に

生歌を初めて拝聴した彼の歌声は、私がイメージしていた歌声とは少し違って、太くハスキーさが目立つものだった。
しかし、66歳であれだけの声量とスタミナを持ち、3時間近くのライブを歌い通せる人は、そう多くはいない。
3時間近く歌った最終曲『On Your Mark』では綺麗な歌声を披露しており、
あれだけ精力的なステージを披露しても、ビクともしないタフさには驚く。
彼がいつまでもタフな歌い手でいるということがファンの気持ちを裏切らないのだろう。

「今日はなるべくたくさん歌いたいから」と言って、短いMCが中心だったライブ構成は、彼の「歌いたい」気持ちと「歌」への強い執着を感じさせた。
今回、ライブ会場では、客席からの掛け声が多かった。また、男女比が均等に近く、さらに年齢層も多岐に亘っており、案外、若い世代の男女の姿も見られた。彼の秀逸な楽曲が年代を超えて支持されていることの証のようにも思えた。また、覚醒剤使用という過去の出来事があっても、彼の音楽や歌を待ち続けた人が多かったこと、彼の立ち直りを見守っていた人が多かったことを証明するようだった。

彼のライブでは恒例?の「休憩時間」
客席には、「ちょっと休憩。トイレに行ってもいいよ」とかなんとか軽口を叩きながら、彼自身は、客席に背中を向けてステージの上に座り込み、バンドメンバーと雑談に耽っている、という何とも奇抜?な休憩時間。
それも新鮮で彼の気さくな人柄を感じさせるようで楽しかった。

今回のライブツアーは、国内の後には、アジアツアーが組まれているという。
「なかなか中国には行けないが、韓国に行くから意味がある」と話した彼の言葉。

「音楽は言語だけではないから」と話した彼の言葉には、音楽の持つ力が国境を超えていく力というものをあらためて認識させるものだった。

最近、80年代、90年代のJ-POPの人気が大ブレイクしていると言われる韓国で、彼の楽曲が多くの人を魅了していくことで、さらにJ-POPを通して日本の良さが伝わっていくことを願っている。

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