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川端龍子記念館へ企画展を見に行って、アトリエに入らせてもらった話。

こちらも去年の12月の話になりますが、大田区立龍子記念館で現代美術とのコラボレーション企画展が始まったので行ってきました。
現代美術のコレクター高橋龍太郎さんのコレクションと、川端龍子の日本画を並べて展示するコラボレーション企画展です。
確か2回目か、3回目か。
前に行ったときは2021年でしたので、3年ぶり!
(下のポストに記載しているビール函のくだりは、作者の会田誠さんの指示通りの展示方法です。浅学で誤解してしまい申し訳ありません)


川端龍子記念館が駅から遠い

川端龍子が文化勲章受章と喜寿記念で、自身の住居敷地に記念館を作ったのが始まりだとか。詳しいことはこちらに。
もともと住居の敷地ということなので、大通りとは違いメチャメチャ住宅街の中にあります。
都営浅草線西馬込駅から徒歩15分。
普段、上野駅からすぐのトーハクや科博に甘やかされてきたので、徒歩15分がひどく遠く感じます。
なおかつ、住宅街で目印にできるものが少なく迷いそう。グーグルマップの案内で何とか辿り着きました。

川端龍子自身が携わった記念館入り口

入り口で入館料を支払って中に入ります。今回の企画展の入館チケットはしおりのようになっています。(タイトル画像参照)

企画展ポスター

企画展の中は。

川端龍子の絵画と、現代美術が対比させて展示されています。
川端龍子の絵がデカくて初手から圧倒されますが、現代美術も絵画から映像まで様々展示されて負けていません。

花摘雲(川端龍子)

こんな風な可愛らしい立体作品も。

猫だるま(西ノ宮佳代)

他にも奈良美智、草間彌生、李禹煥という、錚々たるメンツの作品もあるんですが、それに埋没することなく、逆に日本画である龍子の作品が浮かび上がってくるのが面白いです。

日々日蝕(川端龍子)

ビルの非常階段が描かれている「日々日蝕」が印象的で帰ってきてからも心惹かれていました。アンテナがレイヤー重ねるように浮かび上がっていて、題材的には現代ですがひどく幻想的に映るよう感じます。(そもそも階段が各階に接続されていないし……)

夢(川端龍子)

「夢」は中尊寺金色堂のミイラを題材にしたもので、櫃は2023年の特別展「中尊寺金色堂」で現物を見たので「あ、これはトーハクで見たやつ!」という進研ゼミ的な感想が出てきました。蝶が飛んでいて、正に胡蝶之夢だという安易な感想……

龍子のアトリエに行く

今回は龍子が住んでいた住居、そしてアトリエのある龍子公園に入らせてもらいました。普段は住居のほうは時間制で見学できるのですが、アトリエのほうは今回特別に中に入らせてもらいました。ただし、Peatixからの予約が必要です。(見学チケットは無料。企画展の入館料1,000円は必要なので注意)

開始時間になったら、記念館入口に集まって、記念館の通り向かいにある龍子公園に向かいます。
2021年の時は、住居を外から見学するだけだったので、今回のアトリエ見学は楽しみにしていました。仕事場見学!

アトリエの外から。
外から見えてるところがもうすでに細工がスゴいし、すりガラスのデザインがとても良い

中に入ると、広い!天井まで高い!
そして木造!
スゴイ、贅沢!
さえぎるものがないので、寒い!(多分夏は暑い)
アトリエ全景の写真がないので分かりづらいですが、本当に広くて板張りなのでホント夏は暑く冬は寒い過酷な環境に感じます。

すりガラスのアトリエ内。
龍子の書き物机が置いてある。黒電話も。

そして、アトリエにも現代美術の展示がありました。

無題(加藤泉)
手前は龍子の画材たち。火鉢で暖をとっていたのでしょう。

こちらは加藤泉さんの「無題」。3メートル近くあって、なかなかに展示しにくい高さの作品も、こちらのアトリエでは楽々と展示できます。そのくらいアトリエの天井が高いんです。
30分だけですが、アトリエに展示された作品を鑑賞したり、アトリエの中を見たり出来てワクワクしました。
アトリエから眺めるお庭がとても素敵で、下の写真のような眺めでひと息してたのかな、と思いを馳せたりしました。今回は忘れていたのですが、座ってお庭を眺めたり、作品を鑑賞したりと視線の高さを変えたらもっと違う感想が出たかもしれませんね。

アトリエからの庭への眺め。

Peatixでの予約で行ける範囲はアトリエだけだったのですが、他にも住居を外から見学することは決まった時間に行われていて、こちらは入口で飛び込みでも見学できます。(私は2021年に行ったので今回はパスしました)
去年国の有形文化財に指定されたので、是非行ってみてください。

お土産に。

ホコホコと良いものを見た記念に、お土産で絵葉書を買いました。
公立でやっているので最近の個性の強いグッズはなく、絵葉書も驚異の50円から。

百子図、竜巻(川端龍子)の絵葉書

百子図は2021年の展示で見せてもらって、今は山種美術館の展示に貸し出されていました。

こちらは2月24日までの展示で、大観や若冲の作品もあるので新年から愛でたい気持ちになるのにうってつけと思います。
ただし、山種美術館も駅から遠いんだなー。落ち着いて観られるいいところなんだけど、緩やかな坂を上っていくのが夏はツラかった思い出……

「竜巻」は今回の龍子記念館の企画展で観られる絵ですが、海の生き物の描写がとても気に入りました。展示室の最後のあたりに飾られていましたので、是非実物を見てほしいです。
他にも2021年の企画展の本や龍子記念館自体の本も売っていました。

最後に。

龍子の絵のことばかり書いてしまいましたが、現代美術のほうは立体作品から絵から多種多様でした。それぞれの作品を集める基準って何かな?なんて思いながら進んでいって、結局はわからなかったです。その時その時に感じる「良さ」があるのだろうな、と思って記念館を後にしました。現代美術ムズイ……

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