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LEONIEとマイレオニーの旅24

映画技術の粋を集めた日本ロケがスタート


2009年6月1日。愛知県犬山市明治村で、日本シーンの撮影がスタートした。
野外博物館・明治村には、夏目漱石や森鴎外など明治の文豪たちが存命中に住んでいた東京の邸宅が移築されている。(漱石と鴎外は時期は違うが文京区小石川の同じ家作に住んでいた)
作品ではレオニーが来日して最初に住んだ家のシーンを鴎外・漱石邸で、竹下景子さんが演じた小泉八雲の妻・セツの家は幸田露伴邸で撮ることにした。
観光で明治村に行ったことのある人ならご存知だろう。どの家も野外博物館の展示物として見物客が見やすいように建っているので、そこを撮影場所にするには住宅街の一軒と見えなければならない。
家の周囲には板塀をめぐらせ、狭い道を隔てた隣りには神社の石垣をつくり…と、必然的に美術プランは大掛かりなものとなり、デザイナーの山口修さんをはじめとする美術スタッフの腕の見せどころとなった。

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左側がヨネの家の玄関に続く板塀、右側が神社に見立てた向かいの石垣

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ヨネの家の平面図。庭の植栽もすべて撮影用に植木屋さんから借りてくる。

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上の設計図の上下を逆にして「ヨネの家・前の道」の部分。ピンクの線が板塀で紫の線が神社の石垣。その設計図に沿って出来上がったセットが下の写真である。

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なんとも驚くべきは右側の神社の石垣と石の柵である。実は発泡スチロール製。

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実際映るかどうかわからない所まで、入念に汚しを加えていく。

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ヨネの家・前の道、反対側からのカット。神社の石の柵には名前まで彫られている。画面に映るかどうかわからない所も、けっして手を抜くことがかなかった。

『レオニー』の日本シーンの美術を統括した山口修さんは、日本映画界でも名高いデザイナーのお一人で、行定勲監督の『世界の中心で、愛をさけぶ』('04)、『春の雪』('05)で日本アカデミー賞優秀美術賞を受賞したベテランである。
ヨネの家の中の撮影でも、明治村に展示された鴎外・漱石邸のインテリアは何一つ使われることなく、すべてが山口さんの時代考証と芸術的こだわりを再現したもので、彼が描いた部屋ごとのスケッチ画が今も貴重な資料として残っている。

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ヨネの家・次の間。襖や建具もすべてこの住宅の寸法に合わせ、撮影用に作りはめ替えた。

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襖に書かれた隷書体の漢詩はきっとデザイナーのこだわりだったのだろう。それが印象的に撮られることはなかったと知ったとき、スタッフは深い絶望を味わう。

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