
稲木紫織のアート・コラムArts & Contemporary Vol.23
STAY HOMEを心豊かに…
別世界へ連れて行ってくれる
愛しの音源たち
長い引きこもり生活を癒すには、わずかなひとときでも現実逃避させてくれて、別世界へワープできる音楽に勝るものはない。巷に溢れている音楽だと、コンサートに行けないことを思い出してしまうし、トリッキーに明るいだけでも現実との違いが苦しくなるし、シュール過ぎても腹が立つ。
グレゴリオ聖歌成立以前、6~7世紀頃から歌われていたモサラベ聖歌が大好きで、中世にワープしては、そのプリミティブで独特の旋律に癒されている。イベリア半島でのアラブ支配下におけるキリスト教徒のための音楽。10~14世紀の手写本がわずかに残るだけで、正確にはよくわかっていないミステリアスな世界だ。美術的にも、華麗なゴシックより素朴なロマネスクが好みなので、フランスのル・トロネ修道院に代表される建築様式やロマネスク美術に安らぎを感じる。
モサラベ聖歌
ここから先は
1,927字
/
5画像
¥ 100
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?