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稲木紫織のアート・コラムArts & Contemporary Vol.19

ひとしく、うつくしい光とは…
野口玲写真集『こぼれおちる、
光の粒のようなもの』に心震える

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2019年1月福島県南相馬市小高区村上  撮影:野口玲   

「ふくしまを、ほおっておけない。たくさんのひとが波にさらわれ、いのちを失った。くらしを失った。さらに原発事故のせいで、ひとに冷たくされ、じっと目を伏せ、口をつぐんでいる。見て見ぬ振りをすることは、できなかった」という文章は、この写真を撮影した野口玲さんが、今月上梓した写真集『こぼれおちる、光の粒のようなもの』の最後に寄せた文章の冒頭である。

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野口玲さん

私はこの文を、彼の個展が開催されている、北鎌倉の喫茶ミンカの壁に貼られた紙で読んだ。1976年生まれ。北鎌倉に暮らす玲さんは2013年から福島に撮影で通い始め、2014年からミンカで個展を続けている。ミンカは私が日本で一番好きな喫茶店だ。清楚な文学少女のままのような店主、川端美香さんは本を読むためにここを作り、カフェではなく喫茶店という。

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野趣に富むミンカの外観

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