稲木紫織のアート・コラムArts & Contemporary Vol.25
青柳いづみこ×瀬川裕美子
2台のピアノが紡ぐドビュッシー
からストラヴィンスキーへ
定期購読している岩波書店発行のPR誌『図書』に、ピアニストで文筆家としても活躍する青柳いづみこさんが「響きあう芸術 パリのサロンの物語」というエッセイを連載されていて、いつも真っ先に読むほど愛読している。そこへ、友人のピアニスト瀬川裕美子さんから、2台のピアノでいづみこさんと共演すると伺い、ピティナ・ピアノ曲事典が主催する公開録音コンサート「ドビュッシーからストラヴィンスキーへ ~大気と大地の踊り~」を聴かせていただいた。
《春の祭典》を演奏する青柳いづみこさん(左)と瀬川裕美子さん
曲目の白眉は、ストラヴィンスキー《春の祭典》(通称「ハルサイ」)である。いづみこさんは2017年、ピアニストで作曲家の高橋悠治さんと連弾で《春の祭典》のCDを発表している。その解説に、いづみこさんが《春の祭典》は1913年が初演だが、前年の1912年、ストラヴィンスキーが評論家ルイ・ラロアの別荘で、ドビュッシーと連弾している、と書かれていて驚いた。
高橋悠治さんとの連弾によるCDのジャケット
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