とうらぶのおはなし(未完)
こういうの書きたいねってだけ。
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俺たちの意識の上澄みをひょいと掬い上げる人が居た。
刀であったはずの、俺たちの。
「はじめまして、山姥切国広」
其の人は自らを審神者と名乗った。
声色や背格好で女性だと言う事は分ったが、いつも仮面を付けているのでどんな顔をしているかは分からなかった。
人と長く接していた俺らだったからかもしれない。
人の形を得た時も、然程不自由な事はなかった。
刀の扱い方も、戦い方も、日常の生活も、会話も問題なく行えた。
「此処での生活は慣れましたか」
「はい」
審神者は時折何処からともなく現れた。彼女が現れると、戦地へ赴くという事だったので、誰が選ばれるのだろうと、皆待ちわびた。
「前回の傷は居えましたか」
「ぼくはだいじょうぶですよ!」
「何か不自由な事はありませんか」
「主がいつも配慮してくれているからな! 俺は何も困ってなぞいない」
皆と会話を楽しむ審神者の姿は、愉しそうだがどこか悲しげでもあった。
「……それでは、ひとつお話をいたしますね」
いつもと違う、一日が始まった。