「ヴィンチェンツォ」を観た
韓国系イタリア人ヴィンチェンツォ・カサノは、イタリアンマフィアのコンシリエーレ(顧問弁護士)。
5年ぶりに韓国を訪れた彼の目的は、雑居ビル“クムガ・プラザ”の地下に眠る15トンの金塊を手に入れること。
ところが巨大企業バベルグループは、この地区一帯を取り壊して再開発するため、傘下のバベル建設にクムガ・プラザの所有権の入手を命じていた。
暴力や裏工作でクムガ・プラザを手に入れようとするバベル建設に対抗するため、ヴィンチェンツォはバベルグループの調査を開始。バベルグループがこれまでに犯してきた数々の不正を発見する。
立ち退きを拒否するクムガ・プラザの住人たち、彼らを助ける人権派弁護士、バベルグループに雇われたウサン弁護士事務所、汚職が蔓延る警察と検察、利権、選挙、カネ、権力。
母国韓国で繰り広げるヴィンチェンツォの壮絶な戦い。
法律で裁けない巨大企業に鉄槌を下すことはできるのか。そして金塊は誰の手に?
今ごろ観てるの?と言われそうだけど今ごろ観ました。
Netflixオリジナル、スタジオドラゴン制作「ヴィンチェンツォ」全20話。
むっちゃ……むっちゃ面白かったです…!!!!
韓ドラ慣れしてる私でも1話の怒涛の情報量に「ちょ、ちょっと待って」状態。
荘厳なクラシック音楽の流れる無茶苦茶スタイリッシュで気恥ずかしいほどカッコいい1話の冒頭。
いわゆるノワールものにしては少々やり過ぎなのでは??と思ったら、舞台が韓国に移った途端、脱力系ギャグの連発。
え、なにこれコメディなの?
いきなり人が死にそう。
やっぱりノワール?コメディなの?どっちなの??
ここで笑っていいのか?と逡巡してると不意打ちの血飛沫を浴びるような、このバランス。
「ああ、これ『そういう』ドラマなのか!」と分かった途端、どっぷりハマっちゃうこの感じ、中毒性が半端ない。
続けて観ずにいられない!
とにかく人が死ぬし、残酷な場面も多い。
1話の冒頭のヴィンチェンツォ、あれが彼の本質だし自分の愛する人に対する危害には容赦無く報復する。
ヴィンチェンツォを怒らせた相手は、確実に死ぬ。しかも「早く殺してくれ」と懇願するほどゆっくりと残酷に。
「マフィアの世界で、俺はなんて呼ばれてると? “腹が膨れたネコ”。満腹のネコは、捕まえたネズミをもてあそぶんだ」
その冷酷なコンシリエーレとクムガ・プラザの住人たちのチームっぷりが楽しいんだよね。彼を崇拝する仲間たちは正しい行いだけをしてきた人たちではないけど、みんな善良で家族思いで、誰一人欠かせないカサノファミリー。
恋愛要素がほとんどないところもいい。
ヴィンチェンツォとホン・チャヨンとはカップルというよりバディで、キスシーンよりも二人並んで法廷を闊歩するシーンの方がみんな好きでしょ。私もだ。裁判のシーンはどれもワクワクした。
バベルグループもウサン事務所も全キャラクター個性たっぷりで、あのハンソクでさえ愛しくてたまらない。
チェ弁護士も最高の悪役だったし、後半はついハンソに感情移入しちゃった。ハンソ……
良質でゴージャスで笑えて泣けてうっとりする最高のエンタメでした。
次の連休にでも一気にどうぞ。