茨木のり子集完結
「茨木のり子集/言の葉」(全三巻)が完結しました。最後に茨木さんの今のお話がうかがえるかと期待したのですが、最終巻も前二巻同様、さり気なく閉じられています。少々残念。でも、茨木さんらしい。
折に触れ読み続けてきたつもりでも、こうしてその足跡を辿りなおしてみると、彼女の少しも枯れることのないみずみずしい精神に、あらためて感嘆させられます。自分の感受性を自分で守り続けてきた強さ、たくましさ。さぞかし満身創痍でありましょう。それでも決して曇ることなく、じっと視つづけてきた瞳の美しい輝き。
詩というのは厄介なもので、どんなに高名な詩人のそれでも、自分の感覚、自分のリズムに合わなければどうしようもない。また出会いにはタイミングというものもあります。
ぼくの茨木のり子体験は、彼女の詩作品そのものではなく、『詩のこころを読む』(岩波ジュニア新書)という詩のアンソロジー、鑑賞の手引きから始まりました。彼女自身の作品は一編も収められてはいませんでしたが、語り口そのものが既にポエムで、魅了されました。まだ茨木のり子を知らない! という方には、集成と合わせ、ぜひお薦めしたい一冊です。(2002.11.28)