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新編 木漏れ日の下で

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1999年に発表した電子ブック『木漏れ日の下で』(FDに収められたttzファイル。2001年には増補改訂版を『ひとりの夜の愉しみは』として発表)の新版を編もうとする試み。今日まで…
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2024年2月の記事一覧

ぼくもまた、少年H

 こんな一節なら、多くの人は何気なく読みすごすでしょう。でも、ぼくは違うんだな。身に覚え…

hisahisa67
10か月前

少年Hの怒り

 『少年H』下巻は、まさにその当時を生身の体で「生きた」人間でなければ書けない緊張感に満…

hisahisa67
10か月前

井上ひさし『本の運命』

 遊びのない服って、キュークツで着にくい。遊びのないブレーキって、危険。社会というか、世…

hisahisa67
10か月前
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旅する巨人

 最近涙腺が緩くなってきたように感じます。年のせいでしょうか。  テレビでいろいろな人た…

hisahisa67
9か月前
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坂本九/トリビュートアルバム

 九ちゃんが飛行機事故でなくなったと聞いたその日の夜(一九八五年八月十二日)、ぼくは布団…

hisahisa67
9か月前

日本人の美意識は……

 日本人の美意識というと、ぼくたちはすぐに「わび」とか「さび」、あるいは「あはれ」などを…

hisahisa67
9か月前

ケルト、そして北原先生のこと

 ケルト美術展が開催されています。ブームとはいかないまでも、日本でもケルトはかなり一般的になって来ているようで、ケルト人やケルト文化をテーマにした本をよく書店で見かけるようになりました。 ぼくがケルト美術を知るようになったのは、昭和四十九年に和光大学に入学し、故北原一也先生の研究室で、ケルト美術に関する書物の原書講読に加わってからです。北原先生は当時、西洋の、あまり一般的ではない中世以前の美術を研究しておられました。  先生は本来、ボードレールなど、フランス象徴詩の研究者だっ

スペンサーとの再開

 やあ、おひさしぶり。相変わらずですね……と言いたくなる、私立探偵スペンサー。  かなり…

hisahisa67
9か月前
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子どもたちの歌声

 十一月一日そして二日は、子どもたちの通う学校の文化祭があって、ぼくも応援に行って来まし…

hisahisa67
9か月前

愛読書の効用──『赤毛のアン』

 愛読書の効用ってなんでしょう? まあ、ぼくの場合は一服の清涼剤、あるいは水やり。よどん…

hisahisa67
9か月前
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『恋の姿勢で』

 あるある、こんなこと。逢うはずもない人に、逢うはずもない所で逢ったりする。いや、「逢う…

hisahisa67
9か月前
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気になる男の気になる話

 やっぱり気になる男は気になることを言うものだ。雑誌記事でSteve Jobs(スティーヴ・ジョブ…

hisahisa67
9か月前

風景というキーワード

 「風景」という言葉に、惹かれるぼくです。  話は学生時代にさかのぼりますが、近代日本美…

hisahisa67
9か月前

イスラームに学ぶ

 イスラーム社会をもっと知らなければ、と思ったのは、湾岸戦争(1990〜91年)がきっかけでした。イラクによるクウェート侵攻に端を発したあの戦争です。  ブラウン管の前の多くの人たちは、圧倒的な軍事力を持つアメリカ(とその同盟軍)に蹴散らされるイラク兵を見て、「いい気味だ」と思ったに違いありません。事実、自業自得ではありました。でもぼくは、正直なところイラクよりもアメリカのやり口により恐怖を覚えたのです。アメリカ軍機は敗走するイラク兵の頭上に雨あられと爆弾を投下しました。虫け