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週刊『北欧家具hisagu』 Vol. 375

茨城県つくば市の北欧家具hisaguです。
10月も終わりになるとすっかり涼しくなり過ごしやすくなりましたが、秋雨前線の影響か曇りが多くついついダラダラと過ごしてしまいます。

さて、今週のhisaguについてご報告します。

今週はデンマークのHans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)が1957年
にデザインしたと言われるスツール『AP30』をウェブサイトに掲載しました。
スツール”AP30”については、以前アメブロでカタログを参考にして解説していますが、実際に取り扱うのは今回が初めてです。

入荷当初は座面の黒の革張りの雰囲気は良かったのですが、革の裂けている箇所があったり、木部は打痕などがあったので思い切ってレストアする事にしました。

地味に大変な作業が革張りの鋲を取り外す事。
ステープラーの針なら比較的取り外しやすいのですが、鋲は難儀します。

鋲を外して中のクッションが顕になるとワクワクした気持ちになります。
クッションはスポンジ状のウレタンクッションが多いのですが、今回は馬の毛が使用されているクラシカルな仕様です。

クッションの断面を見ると馬毛と数種類の植物繊維が層状になっていました。
このような自然素材を使用したクッションの形成は手間がかかるのですが、せっかくなので使える部位は再利用し、足りない部材は補充します。
このような手仕事の跡を見る事ができるのもヴィンテージ家具を扱う者の特権です。

木部をレストアして、職人に座面を張り替えてもらって完成したスツールがこちら。
ウレタンクッションのように均一な素材ではなく、天然資材を使用しているので画像の座面の側面がややでこぼこしていて、雰囲気のあるいい質感です。

木部に使用されている材は、当初色の付いたラッカーの塗膜で何か分からなかったのですが浅めの道管に対して黒い木目(?)が綺麗に出ていることからウォールナット材であることがわかりました。
当時のカタログによると、AP30の販売価格がチーク材やマホガニー材のものよりもウォールナット材の方が高いのですが、こんな綺麗な木目のウォールナット材が使用されているのであれば納得です。
持ち手と貫の部分は杢目が複雑で濃い材が使われ、脚部は明るくあっさりとした木目の材が使われていて、視覚的にメリハリがついているのも興味深いポイントです。

座面の革はオリジナル同様に鋲で留めているのでクラシカルな天然資材仕様のクッションと相まって、スツールに対する確かな仕事ぶりを感じていただけるかと思います。

使用した革はベジタブルタンニンなめしで、天然色素で黄色に染められたアニリンレザーですが、経年で色味が変わります。
画像の左はスツール”AP30”で、右が同じくウェグナーがデザインしたイージーチェア”JH517”。
イージーチェア”JH517”は同じ黄色のアニリンレザーで張り替えていますが、張り替えて半年以上経過しています。
2脚の色味を比べると、黄色から赤味(茶色味?)を帯びて濃くなっているのが分かります。
この革の経年変化が、人が座ることも加味して1年、5年、10年とどのように変化していくのか楽しみです。

Instagramで靴を履く時のスツールにピッタリじゃないかとコメントがあり、試しに玄関に設置して靴を履いてみましたが、なかなか良かったです。
スツール”AP30”は店舗に展示していますので是非お試しください。

今週も北欧家具hisaguをご利用いただき誠にありがとうございました。
また来週も当店を宜しくお願いします。

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週刊『北欧家具hisagu』のバックナンバー

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北欧家具 hisagu
茨城県つくば市高野台3−8−13
HP: https://kagu-hisagu.shop-pro.jp/
実店舗オープン:土日祝日 10:00〜18:00
        平日:ウェブサイトの営業日カレンダーを参照

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