500円に目がくらんで不動産営業の「クオカードプレゼント」DMに騙された話

――たかが500円、されど500円である 俺(1993~)

500円、のるかそるか、ポルカ・オ・ドルカ

過日、郵便受けに「簡単3STEPで500円分プレゼント」というムシのいいDMが入っていた。曰く、Webでアンケートに回答すれば500円分のクオカードをよこすというのである。具体的には、こうだ。

拝啓、皆様にはますますご清祥のこととお喜び申し上げます。この度、より一層の生活環境向上のために、マンション経営に関する簡単な意識調査についてご協力いただいています。ご協力頂いた方には、弊社案内資料と共にQuoカード500円分を進呈いたします。何卒、ご協力の程お願いいたします。※本キャンペーンはご年齢25歳以上50歳以下、前年度年収400万円以上のお勤めの方(自営、フリーランス、アルバイトを除く)を対象とさせていただきます。【注意】対象外の方は商品の進呈を出来かねますのでご了承ください。

拝啓ではじめたら敬具で終えろや!と思ったりしないでもないし、何より※だの注意だの保険のかけ方が怪しいが、なにせ500円である。本記事冒頭で「俺」の名言を引用したように、たかだ、されど500円。500円といえば、おにぎり100円セールでおにぎりを5個も買える。5個なら2食分で、筆者はたいがい1日2食なのですなわち1日分の食費に化ける。何より、500円玉ほど美しく、財布に入っていたら嬉しい硬貨はない(まあ、今回はナマじゃなくてクオカードだけど)。

こう考えると、この勝負、受けてたたん。そう勇んで翌日回答した。

「はい」しかいえないクソ質問

まず、DM記載のQRコードを読み込み、LINEの友達登録を行う。すると、アカウントからGoogleフォームのURLが送られてくるので、回答していく。

氏名だの配偶者の有無だの住所だのをつらつら真面目に回答していく――しかし、である。末尾に気になる設問があった。

曰く、「個別カウンセリングを受けてみたいですか?」と。ここで下手に「はい」なんて答えようもんなら雨あられのごとく営業電話がかかってくるのは間違いない。もちろん答えは「No」なのだが……用意されている回答は「是非とも受けてみたい」「受けてみたい」「どちらかといえば受けてみたい」の3択なのである。ハァ?

続く設問。「不動産収入があったらよいと思いますか?」ときたもんだ。まあそりゃ不労所得がありゃ楽だらう。だが、である。前問同様、うかつな色目をだそうもんなら営業電話の爆撃であろう。不動産営業空襲警報が頭の中に鳴り響く。しょうがない、不労所得はほしい、でも急がば回れ、ここは「No」しかない! 回答は?  またも「絶対良いと思う」「凄く良いと思う」「良いと思う」ときたもんだ。長渕剛じゃなくとも「ふざけんじゃねえ」と言うだろう(以下、長渕剛の「ふざけんじゃねぇ」というアルバム、Amazonより引用)。

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よく心理学やマルチ・宗教勧誘の類で「はい」としか言わせないという手法を見聞きするが、まさにこれである。しかも、これは自ら「はい」ということによってその人の心に責任感を生じさせ、後戻りできないようにする悪徳手法である。「飯食いに行かない?」ではなく、「狸の精巣と高級牛フィレ肉、どっちが食いたい?」という類の、アレだ。

質問にもなっていないしイライラするがまあよい、1日分の食費じゃわい!と自分を納得させ、それぞれ「どちらかといえば受けてみたい」「良いと思う」と回答した。よし、これで1日分の食費が浮く!その分は生命保険の納付に回そう!と思ったら。

「回答ありがとうございます。Quoカードお渡しについてはZOOMもしくはお電話でご案内させていただいております。ご対応可能な日時を下記よりお選びください」

ときたもんだ。なめとんか!いつになったら敬具で結ぶんだよ。

あまりにもムカつくので、明日にでもZOOMで日時指定して、拝啓をオウム真理教のサティアンの画像にして、回線が悪い風を装って斜め上の虚空を見つめながら瞑想しようとも思ったが、それも時間の無駄。日時指定のフォームは、もう堪忍ならんから、氏名も「山芋太郎」とか書いて、日時も100年後を指定してやろうかと思ったけど1年後までしか指定できなかったので、1年後にしてやった。場所はシャボンディ諸島にしてやりたかったが、不動産営業は筋骨隆々、ツーブロックゴリラのイメージがあり、現地で落ち合えばボコボコにされる恐れがあるため電話形式を指定した。

送り主・SUパートナーズ株式会社の見解

まあ、冷静になれば筆者も浅はかであった。会社名は「SUパートナーズ」とはっきりこっくり記載してあるが、こんなものはいくらでも偽造してある。いちお、ネットで調べてみるとSUパートナーズというのは「東京都渋谷区恵比寿4-22-10 ユニゾebisu422 3階」にオフィスを構えるれっきとした会社である。一瞬、4223階かと思った。宅建もあるし、普通の不動産会社であろう。

とはいえ、はいそうですかと何も警戒せず回答した筆者も悪かった。でも、DMには前述のような文言や「アンケートに答えてGET」、そしてWebフォームには「必須事項を記入し回答をクリック。キャンペーン商品進呈の際に弊社サービスを案内させていただく場合がございます」などあり、アンケートに答えたらクオカード(①)、その後に営業をかけることもありますよ(②)とミスリードするように情報が散りばめられており、非常に悪質なのではないか。

ここまでで非常なる違和感を覚えたので、同社公式LINEに質問してみた。すると、「電話かzoomで本人確認と内容の確認をしている。回答の誤りを防止するため」「面談を受けなければならないということではない」「クオカード進呈の対象であるか確認して、該当すれば進呈する」との返答を得た。

繰り返しになるが、WebやDMで対象は25~50歳の前年度税込年収400万以上サラリーマンとしか書いていない。電話やZOOMで確認するとして、アンケートフォーム以上にどんな確認をするのか。まさか、課税証明や源泉徴収を出せとはいうまいに、疑問が残るやり口である。

とりあえず、おかしいとは思うので景表法違反的なものではないのか、関係省庁などに問い合わせてみようとおもっている。

みなさんも、お気をつけなすって。

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