劇場版ウマ娘『新時代の扉』の「次」は?
タキオンのこの夕日みたいな目、何度見ても「ヒエッ……」ってなる。
ゲームにアニメ、マンガやコンシューマーゲーム、果ては映画と、メディアミックスしまくっている『ウマ娘』ですが、当初はYouTubeアニメとして公開された「Road to the top (RTTT)」、そして現在公開されている「新時代の扉」、この二つが今現在で一番最新のコンテンツと言っていいはず。100分超の劇場版となると、相当前から計画を始動させておかなければなりませんが、さすがに『新時代の扉』が大ヒットする前提ですでに劇場版第二弾が計画されているとしたら、それはもう相当勇気がないとできない決断になります。ただ、いくらかの準備期間があるだろうとはいえ、「次」も確実に準備されようとしているはず。そこで、「次のコンテンツがあるとしたら、主役ウマ娘と世代はどこになるか?」をふんわりと書いていければなあと思っています。いろいろ考察したいのはやまやまですが、そこまでガチでやる気はないので、「一ウマ娘ファンがまたなんか言ってるな」くらいに思ってもらえれば。
牡馬か牝馬か?
『シンデレラグレイ』はオグリキャップ(と平成三強まわり)、『スターブロッサム』はサクラローレル(とナリタブライアンまわり)、『RTTT』はナリタトップロード(と覇王世代)、『新時代の扉』はジャングルポケット(と01世代)。アニメ1期はスペシャルウィーク(・サイレンススズカ)、2期はトウカイテイオー(・メジロマックイーン)、3期はキタサンブラック(と15・16世代)。すべてモチーフとなった馬は牡馬です。これはアニメ3期を除いて、取り扱っている時代がそれなりに前であり、まだ「牝馬は牡馬に勝てない」とされていた頃の話だからではないかと思っています。牝馬は牝馬で、三冠を取ったメジロラモーヌやスティルインラブ、エリザベス女王杯を連覇したメジロドーベルあたりがいるわけですが、牡馬との混合戦になるとあまり伸びてこず、牡馬牝馬の間には越えられない壁があると思われていた時代。
牝馬で2頭目の宝塚記念制覇を成し遂げたスイープトウショウ(04世代)、日米オークスを制覇しG1馬を3頭輩出したシーザリオ(05世代)、桜花賞とNHKマイルカップの変則二冠を達成したラインクラフト(05世代)……と「強い牝馬」が出てきたのは、戦後競馬の歴史の中ではかなり最近の方、ということではないでしょうか。
さらに、ここ最近はゲームの方でモチーフ牝馬推しの流れが来ているのでは、と私は考えています。「福永祐一のギャルゲー」とも言われた(笑)メインストーリー第二部は、先ほども挙げたシーザリオとラインクラフトを中心とした05世代牝馬が主人公。その内容は「牡馬と互角に渡り合う、強い牝馬」の時代の幕開けを予感させるものでした。スイープトウショウが切り拓いたその潮流を継承し、そしてダイワスカーレットとウオッカの時代へ、さらにはアーモンドアイ・デアリングタクト・コントレイルが出そろった20年ジャパンカップへと続いていきます。また、ゲームリリース3周年を迎えてからはラインクラフト、ノースフライトといったモチーフ牝馬が育成実装。さらにスティルインラブ、ジェンティルドンナの三冠牝馬二人もビジュアルが公開されています。「活躍度の高い馬」「今も語り継がれるほどのドラマがある馬」が優先されるのは自然なことなので、どうしても牡馬多めにはなってしまいますが、それでもこのスパンでモチーフ牝馬が来たことはなかったのではないでしょうか。記憶違いだったら申し訳ない。
ということで、基本的には「牡馬で」考えてみようと思います。
いつの時代からピックアップするか?
今のところ、マルゼンスキーを除いてミスターシービーがクラシック三冠を達成した83年以前の馬は出てきていないはずなので、これ以降で考えるのが自然かと思います。あと、私はウマ娘から競馬に入った典型的なミーハーなので、ミスターシービーやシンボリルドルフですらまだ自分が生まれてなくて馴染みがないのに、それより前となるといよいよ訳が分からなくなります。ということもあって、主に90年クラシック世代以降で考えさせてください。
とりあえず、片っ端から世代順に並べてみる
牡馬クラシックを世代順にとりあえず並べてみます。「ゲーム版ウマ娘のメインストーリー」は「GM」と表記。
1990年:アニメ2期、GM1部1章
ダービー:アイネスフウジン、菊:マックイーン
1991年:アニメ2期
トウカイテイオーが皐月・ダービーの二冠
1992年:GM1部2章
ミホノブルボンが皐月・ダービーの二冠、菊でライスシャワーがブルボンの三冠阻止
1993年:GM1部3章
ナリタタイシン・ウイニングチケット・ビワハヤヒデのBNWで三冠を分け合った年
1994年:GM1部4章
ナリタブライアン三冠
1995年
菊:マヤノトップガン
1996年
菊:ダンスインザダーク。ウマ娘未実装だが、個人的に名前かっこよくて好き(知らんがな)
1997年:GM1部5章
菊:マチカネフクキタル。スズカ世代
1998年:アニメ1期、GM1部最終章
黄金世代。もはや言わずもがなでしょう。
1999年:RTTT
覇王世代。その後のオペラオーの活躍は言うまでもないでしょう。
こうしてみると、90年代はほぼほぼ何かしらの形でカバーされていることが分かります。95年・96年をカバーしている作品が思い当たりませんでしたが、『スターブロッサム』でこのへんが拾われてもおかしくないかな、という気はします。なので今回は除外。
2000年
エアシャカールが皐月・菊の二冠。ダービー:アグネスフライト(アグネスタキオンの全兄)
2001年:劇場版『新時代の扉』
タキオン・ポッケ・カフェで三冠を分け合う
2002年:うまゆる
皐月:ノーリーズン、ダービー:タニノギムレット、菊:ヒシミラクル。他にシンボリクリスエスもこの世代。濃すぎんか?なんだこの世代
2003年
ネオユニヴァースが皐月・ダービーの二冠。ゼンノロブロイも同期
2004年
皐月:ダイワメジャー(ダイワスカーレットの全兄)、ダービー:キングカメハメハ、菊:デルタブルースで三冠を分け合う
2005年
ディープインパクト三冠
2006年
メイショウサムソンが皐月・ダービーの二冠
2007年
ウオッカが64年ぶり牝馬のダービー制覇
2008年
皐月:キャプテントゥーレ、ダービー:ディープスカイ(アグネスタキオン産駒)、菊:オウケンブルースリで三冠を分け合う
2009年
皐月:アンライバルド、ダービー:ロジユニヴァース(ネオユニヴァース産駒)、菊:スリーロールスで三冠を分け合う
さすがにこのへんはまだまだ触れられていませんね。
アニメや劇場版にするなら、どうしてもドラマ性のある史実を通った競走馬を持ってこないと、話を作るのが難しいと思われます。例えば00年代の10年間で、ディープインパクトが競馬民の脳を最も焼いた競走馬のうちの一頭であることは疑いようのないことでしょうが、彼が敗れたのはクラシックイヤーの有馬記念、一歳上のハーツクライだけで、あとは全部一着を取っています。しかも鞍上の武豊Jも、ファンも皐月より前の早い段階から「この馬は三冠を取る」と考えていたようですから、起伏がなさすぎて物語にするのは非常に困難と言わざるを得ません。もしかすると、ラインクラフトやシーザリオなど、同じ05世代でも牝馬側が選ばれたのもそれが理由の一つかもしれませんね。
三冠・二冠ともにそうですが、クラシックレースの時点で複数冠を手にするということは、(少なくともその時点では)他に並ぶレベルの馬がいないことを意味します。古馬になってから覚醒する馬ももちろんたくさんいますがね。そんなわけで、「次」を作るにしても、三冠を別々の馬が分け合った年の方が、物語として作りやすいのではと考えます。
二冠以上の馬がいる年を除いて、00年代で注目したいのは、04世代と09世代。ダイワメジャーはスカーレットが初期キャラとしている以上、実装待ちリストに入っていてもおかしくありません。またキングカメハメハはウマ娘のプロジェクト最初期に、推定キングカメハメハがビジュアル紹介されていたことから、ウマ娘化する気自体はあると見ています。デルタブルースが不透明ですが、サンデーレーシングの馬なので馬主さんとしての許可は下りています。08世代と09世代は許可が下りているのか、そもそも馬主さんに何らかのコンタクトがされているのかすら分かっていない馬ばかりなのですが、同じネオユニヴァース産駒であるサウンズオブアースが実装されているロジユニヴァースと、サンデーレーシングの馬であるアンライバルドがいる09世代を選びました。それはネオユニヴァースがお前の推しだからだろって?ええ、半分当たってます。
2010年
皐月:ヴィクトワールピサ、ダービー:エイシンフラッシュ、菊:ビッグウィークで三冠を分け合う
2011年
オルフェーヴル三冠
2012年:各コンテンツ?
ゴールドシップが皐月・菊の二冠
2013年
皐月:ロゴタイプ、ダービー:キズナ、菊:エピファネイアで三冠を分け合う
2014年
皐月:イスラボニータ、ダービー:ワンアンドオンリー、菊:トーホウジャッカルで三冠を分け合う
2015年:アニメ3期
ドゥラメンテが皐月とダービーの二冠、菊:キタサンブラック
2016年:アニメ3期
菊:サトノダイヤモンド
2017年以降……
アニメ3期がキタサンブラック視点で2015年のクラシックイヤーから、引退する2017年有馬までを描いており、それ以降を現時点でやってしまうとストックがなくなってしまうおそれがあるので、いったん最新の部分は除外して考えます。
こうして見ると、意外と三頭で三冠を分け合った年って多いんですね。ウマ娘に登場したモチーフ馬の世代はちょこちょこ知識があるつもりですが、逆にそうでなくなると途端に知らないことがたくさんになってしまいます。そんな中でも、10世代や13世代が描かれると熱いのではないでしょうか。2010年皐月賞の勝ち馬・ヴィクトワールピサは翌年、震災直後のドバイワールドカップで優勝。日本を勇気づけた馬として話題になりました。その時の2着がすでに育成実装済みのトランセンド。トランセンドの育成シナリオでも直接的ではないものの、震災後の混乱が描かれており、この時いかにして競馬が世間に貢献したか、いつかは描きたいと思っているスタッフがいてもおかしくありません。なお、ダービー勝ち馬はすでに実装されて久しく、衣装違いも出ているエイシンフラッシュ。菊花賞勝ち馬のビッグウィークはタニノギムレットやウオッカを所有する谷水氏の馬であることから、これからウマ娘化するハードルもそれほど高くなさそうです。
また、2013年皐月賞勝ち馬のロゴタイプはサウンズオブアースと同じ吉田照哉氏の所有馬、ダービーのキズナはトランセンドと同じノースヒルズ、菊花賞のエピファネイアはシーザリオと同じキャロットファームの所有馬であるうえ、そのシーザリオとシンボリクリスエスの配合で生まれた馬。あとはどんなドラマをどう「ウマ娘」という作品として落とし込むかさえ決まれば、映像や紙面で見られる日もそう遠くないのではないでしょうか。
まとめ
まとめると、「04世代」「09世代」「10世代」「13世代」あたりが有力ではないでしょうか。もちろん関係者への取材などを通して情報集めが膨大な量必要ですし、そもそもウマ娘化していいか馬主さんに許可を取らないといけません。この中のどれかはすでに水面下で計画が動いているかもしれません。それを期待しつつ、「次のコンテンツ」に期待したいですね。
ゲームのメインストーリー第二部では果たして、コントレイルをお出ししてくれるのでしょうか……。