読書記録53(自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義)1/2

パーソナリティを基準にして捉える。他人をどう解釈するかについては、「自分自身をどう解釈しているか」が大きく影響している。この解釈は、日常生活での行動や幸福度に大きく関係している。

・同じ出来事でも自分自身の評価規準によって捉え方は大きく異なる。捉え方が柔軟な方がうまく対処できる。そのためには、新たな評価規準が必要になる。例えば、あるものについて、親しい人が好きかどうかではなく、自分自身が好きかどうかを基準にする。
 様々な評価規準がある人は環境の変化に対処しやすく、不安に陥ることも減る。しかし、評価規準のレパートリーが少ない人は、世界を解釈する自由度が低くなるため、日常生活で新たに生じる出来事にうまく対処できず、不安を感じやすくなる。

・自分の核となる評価規準に変化を迫られたとき、人は脅威を感じる。評価基準は単体で作用するのではなく、相互に作用するいくつもの評価規準とともに、人の価値観をつくっている。
・ヒト志向:人の「外見」や「言動」に大きく関心を示すタイプ。他者を人間的な方法で理解しようとする。
・モノ志向:モノに関心を示すタイプ。モノの世界に興味をひかれ、物理的な方法で、モノやヒトを解釈しようとする。
・私たちは個人的な評価規準に基づいて世界を解釈している。それは世界を理解するための枠組みだが、ときには足枷になってしまうこともある。特定の評価規準に執着することで、視野が狭くなったり、不安になったり、攻撃的になったりすることもある。

第2章:「自分の性格」を理解する~5つの要素で適正がわかる~

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1誠実性
 勉強や仕事に大きく影響する要素。スコアが高い人は「計画性がある」「規律正しい」「注意深い」「忍耐強い」などの特性が見られる。しかし、変化が激しく混沌とした環境は苦手。

2協調性
 スコアが高い人は「協力的」「友好的」「同情的」などの特性が見られる。他者の印象を形成するうえでは重要な要素だが、成功との関連性は高くない。協調性は高すぎても低すぎてもパフォーマンスは低くなり、最適なパフォーマンスをもたらすのは、協調性が中程度のときである。協調性の低い人は自己主張が強いという特徴がある。自己主張の強さは、目標達成には効果的だが、その分人間関係をぎくしゃくさせてしまう。

3情緒安定性
 情緒安定性の低さは、ネガティブな物事に対する感度に大きく関連している。情緒安定性が低い人は、危険を察知する脳の器官が過敏であることがわかっている。よって、いつも警戒している為、慢性的に強いストレスを感じており、免疫系の疾患に罹りやすくなる。

4開放性
 新しい考えや人間関係、環境をどの程度受け入れられるかを表す要素。スコアが高い人は芸術や文化に強い興味を示す。低い人は新しいことを試すことに抵抗を感じ、いつも通りの行動を好む。
 開放性はポジティブな感情とネガティブな感情のどちらにも結び付いている。

5外向性
 遺伝的な要素によて決まる割合が高い。外向性と内向性の違いは、脳の新皮質の特定領域の覚醒レベルの違いと考えられている。外向型の人は覚醒レベルが低く、内向型の人は覚醒レベルが高い。内向型は、最適なレベルを維持するために刺激的な状況を下げようとする。痛みについても違いがある。内向型は外向型よりも痛みを強く感じる。

第3章:別人を演じる~大切なもののために性格を変えるということ~
〇私たちの日々の行動を導く3つの要素(遺伝的動機、社会的動機、個人的動機)について考える。
 「不自然な行動」とは、①自分の普段のキャラクターとはかけ離れた行動をする。②潜在的にもっていた性質が表に出る。これは、仕事で大事なプロジェクトを達成するため(社会的動機)や、大切な人(個人的動機)のために「不自然な行動」をとるときがある。
 これらの遺伝的、社会的、個人的な動機にしたがって行動することは、すべて自然なことであり、「幸福」のために私たちが自ら選択して行動している成熟した人間の姿である。
 しかし、実際には人生でいつも普段通りの自分でいられることはない。そのときに力を発揮するのは、「変化できる性格」である。

・生まれつき外向的な人であれば笑顔での接客は苦ではないが、内向的な人にとっては生まれつきの性格を抑えた行動をするので、自律神経が覚醒した緊張状態に陥り、慢性化すると健康に悪影響を生じやすくなる。

・生まれつきの性格から外に出るのは、「大切にしているもの」があるから。しかし、代償を支払う必要もある。この代償を減らす為に、本来の自分に戻るための「回復するための場所」をつくることが必要である。

第4章:「タマネギ」か「アボカド」か~場に合わせるか信念に従うか~
〇セルフモニタリングテストを通して、自分がセルフモニタリングが高いか低いかを判定する。

・セルフモニタリングが高い人は場の空気に敏感、人からどう見られているかを気にし、状況に合わせて振るまう。

・セルフモニタリングが低い人は一貫性をもち、状況ではなく自分の価値観に従う。

・セルフモニタリング値が極端に低く、状況に応じた行動をとることができない人は、社会的不適合者と見られることもある。また、セルフモニタリングが極端に高い人にもリスクはある。例えば、極端に人目を気にしていると、目の前で喋っている相手よりも鏡に映る自分や別の人を気にしてしまう。醜形恐怖症と呼ばれる症状は、セルフモニタリングの高い人の極端な形である。

・セルフモニタリングを理解することで人間関係や仕事における成功について考察を深めることができる。セルフモニタリングの高い人の柔軟さや迅速さは、人間関係を円滑にしたり、社会的な成功につながる。しかし、核となるものがなかったり、周りから八方美人と見なされることもある。一方、低い人は一貫性のある行動をとることで他者や組織と長期的な関係を維持しやすいが、変化の激しい状況にうまく適応できないというデメリットがある。それぞれの特徴はあるが、人は誰でも社会的圧力や、状況に応じて振る舞うべきタイミングをよく知っている。

第5章:主体的に人生を生きる~運命はどのくらいコントロールできるのか?~
〇自分が「自己解決型」「他者依存型」どちらなのかをテスト(ローカスオブコントロール テスト)する。

・「人生をコントロールしているという感覚」は、性格の一部であり、変わらないものではあるが、経験によって変化する場合がある。

・「自己解決型」の人は同調圧力に耐性があり、周りに流されないが、メッセージの内容に敏感であり、内容に説得力を感じれば態度を変えることがある。よって、他人の言動にむやみに流されず、リスクを回避し、大切な目標の為にしっかりと計画を立てる。一方、「他者依存型」はメッセージを発する人物によって影響を受けやすい。

・ポジティブな幻想を抱くことは、タイミング次第ではプラスにもマイナスにも働く。何らかの目標に向けて行動するときは、幻想から離れて現実的になることが効果的。その目標に追求する価値があるのか、成功の見込みがあるのかなど幅広い情報に基づいて事前に考えておくと途中で戸惑ったり簡単に諦めたりすることなくできる。

 幻想を抱くことで現実に追われるだけでもなく、慎重かつ大胆な態度で生きていかなければならない。現実に適応しつつも偶発的な出来事も受けれる必要がある。将来どのように暮らしていきたいのかの接点を、日々の中で発見していく。このシンプルな考えを「希望」と呼ぶ。

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