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がんと『身体活動量』

先日、ケモブレインに関してお話しさせていただいた際に
ケモブレインを予防するには、『身体活動量』を高く保ちましょうと推奨させていただきましたが、
そもそも身体活動量とは?
運動とはどう違うの?
高くとは、実際どのようにすればいいの?
というご質問をいただきましたので、本日はそれらの質問にお答えしつつ、『身体活動量』についてお話しさせていただければと思っています。

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▼そもそも身体活動量とは?
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身体活動とは、身体を使うことそのものですので、ジョギングをする(6.0メッツ)、野球をする(5.0メッツ)といった、いわゆる運動と考えられるもの以外にも
掃除をする(3.3メッツ)
お皿を洗う(1.8メッツ)
植物に水をやる(2.5メッツ)
などの家事として考えられるものや
釣りをする(3.5メッツ)
ヨガ(ハタ)をする(2.5メッツ)
読書をする(1.3メッツ)
といった余暇の活動など、身体を使って何かをすること全般を含んでいます。

そして、それらの身体活動の後ろに記載した括弧内の数値が、その活動の強さ(活動強度)です。

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▼身体活動量は時代の進歩と共に低下している!
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僕のおばあちゃんは、水は井戸から汲んできたし、廊下の雑巾がけもかなり時間をかけてやっていた記憶があります。
近所に出かけるのは徒歩でしたし、朝起きてから寝るまで、なんだかんだとしながら動き回っていました。
多分特別な運動はしていなかったかと思いますが、90数歳で亡くなる直前まで足腰はしっかりしていましたし、ほとんど病気らしい病気もしていなかったようです。
一方、現在は、便利な器具・機械がたくさん開発され、何をやるにも「手間なし」、「時間なし」で行えるようになっていることは間違いないですし、便利になった分だけ身体活動量が低下してしまっていると考えられています。
つまり、身体活動を意識的に増やさないと、昔のようにはいかないということです。

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▼身体活動量が低下するとどうなる?
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身体活動量が多い人は、心臓病、高血圧、糖尿病などの生活習慣病や各種がんになる確率やそれらによる死亡率が低いことがよく知られています。
また、精神面でも改善効果をもたらしたり、高い状態を維持したりできると言われています。さらに高齢者では、身体活動量が多い人ほど、寝たきりや死亡を減少させる効果のあることも示されています。
逆に言うと、身体活動量が低い人は、生活習慣病や「がん」などになりやすくなり、その結果死亡率が高くなってしまいますし、うつ病になりやすくなったり、寝たきりになりやすくなったりしてしまうということです。

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▼身体活動量の目安は?
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身体活動量は、「身体活動の強さ(メッツ)」×「行った時間」で示されます。
つまり、3メッツの活動を1時間行えば、3メッツ・時となりますし、2時間行えば、3メッツ×2時間=6メッツ・時となります。
厚生労働省が策定した「健康づくりのための身体活動基準2013」によれば
65歳以上の方の場合、週に10メッツ・時が基準とされています。
一日で10メッツ・時の活動を行うことは身体に過度の負担をかけかねませんので、一般的には毎日40分ずつ何らかの身体活動を行うことが推奨されています。
例えば、お皿洗いやガーデニング、動物の世話、ゆっくりと歩くあたりが2~3メッツですので、毎日それらを10分ずつ行えば、10メッツ・時になります。
男性の方は家事を奥さんにまかせっきりになりがちかと思いますが、少し家事に参加することで、奥さんも助かりますし、自分の活動量も上がるという一石二鳥であることはすぐにわかると思います。
ちなみに、18歳から64歳までの方の身体活動量の目安は、3メッツ以上の強度の活動(運動)を週に4メッツ・時が基準とされています。
3メッツ以上の活動(運動)の例としては、ボウリング(3.0メッツ)、ゴルフ(3.5メッツ)、ラジオ体操第一(4.0メッツ)、バドミントン(5.5メッツ)などで
これらを週に60分行いましょうとされています。

前回ケモブレインのお話をさせていただいたときに基準としていた身体活動量はWHOが提唱している国際的な基準の方でした(研究そのものが海外発であるため、日本の厚生労働省のものが採用されることはありませんからね)。
WHOでは、1週間あたり150分以上、中強度(3~6メッツ相当)の有酸素運動を行うか、高強度(6メッツ以上)の運動を75分以上とされています。
4メッツを150分(2.5時間)とすると、10メッツ・時となりますので、活動量的には同じです。
厚労省の方では、65歳以上の方では特に活動強度は指定されていないところが異なり、とにかく寝ている座っているを避けて、活動しましょうとされています。

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▼アクティブガイド:プラス10
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とはいえ、今までほとんど身体活動を行っていなかったり、がん治療などで難しくなってしまい、以前はやっていたもののブランクが開いてしまった方など
急に上述の目安を満たそうと頑張ってしまうと、膝や腰などを痛めてしまったり、三日坊主になってしまったりしがちかと思います。
そこで厚生労働省からは、アクティブガイドとして、身体活動量の基準を満たすために、まずは「+10(プラステン)」:今よりも10分多く身体を動かしましょう!とのメッセージが出されています。
この「+10(プラステン)」だけでも、
死亡のリスクを2.8%低下
生活習慣病の発症を3.6%減少
がん発症を3.2%低下
認知症の発症を8.8%減少させることが示唆されています!
さらに、この「+10(プラステン)」を1年間継続するだけで、1.5~2.0Kgの体重減少効果が期待できます!
このアクティブガイドに関してより詳しくお知りになりたい方は↓をご参照くださいね。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-01-002.html

まずは、今よりも10分多く身体を動かそうという意識からはじめてみませんか?

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
また次回もどうぞよろしくお願いいたします。

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