フランス修士課程留学準備~詳細編➁~
前回の詳細編①に引き続き、今回の②では大学探し、教授とのコンタクトの取り方、一緒に送ると良いCVの書き方についてお話ししていきたいと思います。
④大学探し
まずは行きたい地域、都市を基準に大学を探し始めるのが良いと思います。いくら専門分野が決まっているとはいっても、数ある大学一つ一つのサイトで教授や授業内容を調べて進学先を選ぼうとするのはとても時間がかかります。歴史学部であればほぼ全ての大学にあり、必ず古代史、中世史、近代史、現代史の教授は揃っています。そのためどの大学を選んだとしても授業や論文指導に大きく違いが出ることはないでしょう。
上智大学の先生とフランス交換留学経験のある友人たちからの助言をもとに、学生都市のLyon, Lille, Clermont-Ferrand, Toulouse, Bordeaux, Aix-en-Provence, Montpellier, Rennes, Strasbourg, Grenoble, Rouen, Nantesの中から大学を選ぶことにしました。この時点では、まだ大学のサイトで授業内容や教授を調べてはいませんでした。写真で見た様子が綺麗、学生が多くて楽しそう、安全そう、など街のイメージだけで留学先の候補を絞りました。そして次の段階で各都市の大学の教授の専門分野と学部の授業内容を調べ始めました。
最終的にAix-en-Provenceを第一候補にした理由は5つあります。最初の2つが特に重要でした。
・天気と治安がとにかく良い。
・教授の返信が早くて丁寧で、面倒見の良い教授なのだということを前もって知ることができた。
・フランス語圏最大規模の大学であること。
・19世紀フランス社会史と文化史を中心に、「19世紀の犯罪史」をテーマに論文を書くにあたって必要な知識を得られそうな授業がある。
・美術史やイギリス史など、研究テーマ以外にも興味のある授業が開講されている。
・日本語学科があるので、新日な大学なのかも?という単純思考。
ちなみに、以下の大学がÉtudes en Franceに申請するために2018年の12月に最終的に選んだ7校です。
・Aix-Marseille Université, UFR arts, lettres, langues, sciences humaines
・Université Rennes 2, UFR Sciences Sociales
・Université Paris 1 Panthéon-Sorbonne, UFR 09 Histoire
・Université de Rouen, UFR de lettres et sciences humaines
・Université Paul Valéry Montpellier 3 Facultés des sciences humaines et des sciences de l’environnement
・Université Bordeaux Montaigne, UFR humanités
授業数の少ない修士課程では、学生が自主的に復習と研究を進めていくことが求められます。そのため、指導教授との相性と自分が勉強しやすい環境がとても大切です。それを知るためには特に教授と前もって連絡を取っておく必要があります。
⑤フランスの大学院の教授とのコンタクトの取り方
ほとんどの場合、学部のサイトに掲載されている教授のリストから専門分野とメールアドレスを知ることができます。名前のみが書かれている場合でも、インターネットで検索すればその教授が所属する研究所のサイトに飛んで必要な情報を得ることができます。
どの教授に連絡を取ったらよいか分からない、または名前すら載っていない場合は、学部長もしくは学科長に直接コンタクトを取るのも良い方法です。学部・学科のどのサイトにも必ずあるContactsというページからResponsables pédagogiquesに連絡を取ると、 自分のテーマに合う教授を学内外問わず紹介してくれることがあります。ちなみに私が所属するAix-Marseille大学の歴史学部は、全ての教授の専門分野とメールアドレスを掲載してくれています。
Contactsのページ:
ページの一番下には Liste des enseignants d’Histoire et de leurs sujets de recherche (歴史学部の教員と専門分野のリスト)がPDFで載っています。
ここからは私が実際に送ったメールを紹介していきたいと思います。
1通目のメールに自己紹介として私が書いていたことは、
・日本の所属大学
・卒業論文のテーマ
・大学院で研究したい内容
の3つです。1日に何十通ものメールを受け取る教授が少しでも読みやすいように、内容は簡潔に書きましょう。この最初のメールの目的は、自分が修士論文のために研究したいテーマと、教授の専門分野が合致しているかどうかを知ることです。
こちらが私が全ての大学に共通して送っていた自己紹介メールです。
件名 : Demande des informations sur votre département
Bonjour,
Je m'appelle….., étudiante japonaise à l'Université Sophia au Japon. Ayant pris connaissance de votre formation, je me permets de vous contacter pour vous demander si je peux m'inscrire à la première année de Master en 2019.
J'étudie le français et la culture française dans la faculté de la langue étrangère. Le thème du mémoire que je propose est la culture urbaine et le crime du 19e et du 20e siècles.
Je m'intéresse à votre département d'Histoire, parcours Le monde moderne et contemporain.
Je voudrais savoir si vous acceptez des étudiants étrangers et si mon thème de la recherche s'adapte à votre département.
Je vous remercie de votre attention.
Dans l'attente de votre réponse, veuillez agréer, Madame, l'expression de mes salutations distinguées.
6年も前のものを今読み返すと間違いだらけで、いったい自分は何を書きたかったのだと、とても恥ずかしくなります。。。この後、「今だったらこう書くだろう」という模擬メールを載せますので、どちらかといえばぜひそちらの方を参考にしてみてください。。。この拙いメールに返信してくださった先生方には感謝しかありません。
その返信を2つのパターンに分けてみたいと思います。
Case 1. Aix-Marseille大学:学科長の仲介
修士論文の指導教授であり、現在の博士論文の指導教授と私を引き合わせてくれたのは学科長です。私の上記の自己紹介メールに対して、
Bonjour,
Je vous invite à contacter ma collègue (私の教授の名前), spécialiste du 19e siècle, pour la suite des opérations.
と返信をくれました。さらに同メールのCCに指導教授を入れてくれていたため、私がメールを改めてする前に、その教授が直接私に連絡をくれました。私の修士論文のテーマと、教授の専門分野が合致しているとのことで、
Nous pouvons rester en contact pour finaliser votre inscription le moment venu, et définir un sujet de recherche.
と指導可能との返事をすぐにくれました。思った以上にすんなりと許可がでたので少しびっくりしました。
Case 2. 専門とは違うのでNo
コンタクトを取った別の大学の教授が全く私の専門ではなかった場合もありました。ma période est le 18e siècle, pas du tout les 19 et 20e siècles, donc je ne peux pas diriger votre recherche. という返信とともに、他の先生にあたってみるように勧められました。
Case 2を除けば、後は全て指導可能という返事を頂きました。そのため幸運にも指導教官探しにはあまり苦労しませんでした。
コンタクトを取る際に感じたのは、どの先生も比較的返信が速いということです。「フランスの先生は返信をくれない。」と聞いていたので心配でしたが、実際は半日から2日でメールを返してくれる上にアドバイスもくれました。
(自己紹介メール、今ならこう書く。)
件名: Demande d'informations concernant le département d'Histoire
Madame(もしくは)Monsieur
Je m'appelle……., étudiante en Histoire contemporaine à l'Université Sophia au Japon.
Je vous contacte afin de renseigner sur le Master du département d'Histoire et sur votre direction de mémoire.
A cette dernière année de Licence en cours, je rédige un mémoire sur la naissance et la mode du romain noir français dans la société du 19e siècle.
Pour l'année 2019-2020, je souhaiterais continuer à étudier ce sujet en Master, notamment sur les représentations des crimes dans la presse et les romains du 19e siècle. Cette recherche aurait pour objectif de décrire les mentalités des Français dans une société en pleine modernisation.
Ayant pris connaissance de votre formation Master et de votre sujet de recherche; je voudrais savoir si mon sujet correspond à votre champ et si c'est ainsi possible de mener ma recherche sous votre direction.
Veuillez trouver ci-joint mon CV et l’esquisse de mon projet de mémoire si vous en avez besoin.
Cordialement,
⑥写真付きCVの準備
コンタクトを取った教授が目を通していたかは不明でしたが、念のためCV(履歴書のようなもの)を自己紹介メールと一緒に送っていました。WordかGoogleドライブのフォーマットに従って作成できますが、今は必要事項を入力すれば自動でCVを作ってくれるインターネットサイトもあるようです。私はWordで作成しました。気を付けていたのは以下の点です。
・白黒は好まれないので、緑、青、ベージュのようなシンプルな単色モデルを選ぶ。
・フランスのCVは1枚に収めるのが基本。
・書く内容:名前、連絡先、学歴(高校と大学)、卒業論文のテーマ、アルバイト経験(塾講師など学業と関係がある場合)、興味(littérature, musique, peinture etc.)、語学レベル
ネットの参考例:https://zety.fr/blog/cv-master
ここまで読んでくださりありがとうございました。
次回はフランス政府奨学金審査の準備と本番についてお話ししたいと思います。
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