
『風の向くまま』を振り返ろう:談話室#14日目
こんにちは、冬原水稀です。
今日は自創作振り返り記事です!!
今回振り返るのは9618字の短編『風の向くまま』。
そう、読んでくださった方がいるかも分かりませんが、以下の記事で嘆いていたあの短編です。
作品を読んでくださってからでも良し、ネタバレの注意書きはしたので未読でも良し!!
ちなみに作品はこちらから読めます🔗
では行ってみましょう。
*小説の概要
この短編は、ノベルアップ+さん主催の【AI×恋愛コンテスト】のために書き下ろした小説です。
字数制限1万字以内の短編コンテスト。
テーマは単純。「AIと人間が恋愛する話」。
めっちゃくちゃ面白そう……。
科学やSFには疎い私ですが、テーマ自体は惹かれたのでアイデアが浮かべば書こうという軽いスタンスで過ごしていて。
思いついたので書いてみるか、という流れに。
結果、こんなあらすじの小説が出来上がったわけです。
ゴミ捨て場に女が捨てられていた。
不法投棄された”彼女”は内部がひどく損傷し、記憶や感情プログラムが正常でなかった。エンジニアのアルは不完全な彼女を拾い、「機能を完全に取り戻すまで」と期限を設けて共に生活を始めるが……。
*知識と字数が足りないぜ!!
書いている途中&書き終わった後も苦戦したこと。それが。
・AIってなんぞや? これで良いのか??
・展開がパッパとし過ぎてないか? 特に最後!!
知識と字数。これですね。
一点目については、ノベプラさんから「AIの基本的な基準」を提示されていて、それ以外は割と自由な解釈でAIを書いてOKでした。
しかしだからこそ難しい。何せ知識がない。
近年の人工知能開発は競争が激しく、その分大いに発展した。感情プログラムなんて八年前には完成しているし、ヒトと共に──形だけではあるけれど──「食事」や「排泄」、「性行為」に至るまで実行することが可能なのだ。課題とされていた「創作をする」行為に関しても、もうすぐ完成するなんて都市伝説もあるくらいで。
科学が発展した世界が舞台の話によくある、「感情機能を搭載した人型アンドロイド」を登場させたのですが、「プログラムされた感情」ってやはり人間の私には想像し難く。
感情出すぎ? こんな行動は取る? などなど。疑問に疑問を重ねながら。最終的には「まぁフィクションだから……」と割り切ったりもして。
プログラムであるはずの感情が、これは、「本当」の感情なのでは……!?
……な~んて言う、いわゆる「奇跡」みたいな展開を扱ってしまうと安っぽいですし。
安っぽくならないためには、相応の文章力が必要だと思いますから。
そんなこんなで受難のアンドロイドでした。
二点目については、まぁ短編を書く度に思うことなのですけれど。
一万字って短いんだよなぁ。 みずを
1シーンではなくそれなりの場面数を設けようとすると、1万字以内のコンテストってとにかく字数が足りない。
内容もっと盛り込みたいし、深い描写をしたいよ~~~~!!!! ウォ~~~~ッ!!!!(走り出す音)
……とまぁ今地球一周走ってきましたが、「その字数に収めて深いものを書く」っていうのもまた実力なんですよね。
長い話でもダラダラしたら仕方がないですし。
何とか収めた1万字。それでも不安は付き纏う……。
最後の場面なんて、特に駆け足で唐突じゃないか? なんて思ったりするのですよね。
今の自分の実力として受け止めますが、短編の力、鍛えたいものです。
*やりたかったこと ⚠ネタバレあり⚠
⚠この部分には物語のネタバレが含まれています。小説未読の方は飛ばしていただけると幸いです⚠
↓↓↓↓↓
はい。前の部分で散々反省しましたが……
短編の中でやりたかったことは無事に出来たんです!! わ~い!!!!
どんなこと? こんなこと。
・一人称視点を使った工夫
・一番最後のセリフ
一つ目に関しては、こう呼ぶのも恥ずかしいくらいのレベルですがいわゆる「叙述トリック」ですね。
アルと、アルの拾った女性アンドロイドの立ち位置、実は……という感じの。(結局ネタバレぼかして語っている笑)
普段一人称を書かない人間なので、上手く行くか分からなかったのですが「やりたい」と思ったので挑戦することにしました。
題材としては割とベタですが、読んでいただいた何人かの方から意外性を褒めていただけたので嬉しかったです。単純に。
少しは上手くいったのだろうと願いつつ。
それにしても、一人称って難しいですね。書ける方を尊敬します。
今回は主人公の方も感情起伏に乏しいキャラクターだったので、多少三人称ぽくても許されるかなという感覚だったのですが、これが元気なキャラとかだと……苦労するぞ……。
二つ目に関して。一番最後のセリフ。
「人間風に言うなら、一目惚れだったよ」
これが……これが書きたかった……!!!!
このセリフが最初に思い浮かんで、書き始めたと言っても過言ではありません。
先ほど「感情機能がプログラムされたAIの、感情の扱いに困る」という話をしましたが、実は最後の場面は全体的に、この自分の不安を払拭するためのアンサーでもあるのです。
アンドロイドにとって「プログラム」とは?
そして人間の中にある「プログラム」とは?
そして一見、恋愛感情を表したように見えるアンドロイドのセリフですが、あくまで「人間風に言うなら」という言葉。
「~風に」としか認識できない、すなわちどこまでも「本当」の感情にはなりきれないのだということを表現したかった。そこまで読者さんに伝わったかは疑問ですが。
でもお気に入りのセリフです。
タイトルの「風」にも二重の意味を持たせられたかな、と考えています。
「本当」の感情にはなりきれない。
そう言いはしましたが、物語の二人は幸せでいてほしい……!!
以上、長々と『風の向くまま』の振り返りをしました。
こう見るとやっぱり、小説の完成には「不安」と「達成感」がつきものだなと感じます。それでも、書き上げたものは結局好きになるんだよな!!!!
コンテストの結果は、期待はせずにゆるりと待つことにしましょう。
最後にはなりますが、もう一度作品リンクを貼っておきます。
ありがとうございました!!
ではまた明日🤖
冬原水稀(💬Twitter)