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SynthesizerV表現調整テクニック講座 手動ピッチ調整編 #04 ビブラートの入りと終わり
こんにちは。SynthV音屋の十竜です。
この講座はなんぞや、という方はまずは導入編を読むことをおすすめします。
SynthesizerV表現調整テクニック講座 導入編
※本記事は日本語を使用しています。英語・中国語でも応用可能ですが、解釈が大き変わる場合もあるのでご注意ください
手動ピッチ調整編 #04 ビブラートの入りと終わり
ビブラート深さと速さについて解説しましたが、当然ながら発音中に突然ビブラートが始まるわけではありません。短い時間でも少しづつ深くしていき、終わりでは少しづつ浅くなっていくことでしょう。
今回はこのようなビブラートの入りと終わりを調整する方法を解説します。
※記事中のスクリーンショットは全て BPM=120 としています。
徐々にビブラートを入れる/終わる
まずは一つのノートに対してビブラートのアプローチを考えます。
試しに適当に長いノートを一つ置き、ノートプロパティのビブラートにある「左」の値を最小(0.02 sec)にしてみてください。するとピッチラインが直線から急にビブラートになることが確認できます。
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急にビブラートが始まる結果になる。
では逆に値を大きくしてみます。そうするとビブラートが徐々に入っていくことが確認できます。
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最大になるまで余裕ができる
つまりこの値はビブラートの深さが最大になるまでの時間を表しています。ビブラートのフェード、とも言えるでしょうか。
また、「左」がビブラートの入りを表すのなら、もう一つある「右」はビブラートの終わりを表します。こちらはビブラートの深さが0になるまでの時間を調整します。
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右は終端を表す
これらの値はデフォルトで0.02sec が割り当てられています。つまり、最初から違和感のないようにビブラートが入るようになっています。
ビブラートが始まる時間
ビブラートの入りと終わりの時間を調整したところで、次はビブラートが始まるタイミングに注目します。
今度はビブラートの「開始タイミング」のパラメータの値を変えてみます。すると、ビブラートの開始タイミングが前後することが確認できます。
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通常、ビブラートがノートの頭から入っていることは珍しいので、このパラメータにはある程度の長さを設定するのが基本になります。デフォルトでは0.250 secが設定されており、ノートの途中からビブラートが入るようになっています。
ここまでの話を図にすると、次のようになります。
それぞれ
①はビブラートが始まるまでの「開始タイミング」
②はビブラートの振幅が最大になるまでの時間を表す「左」
③はビブラートがなくなるまでの時間を表す「右」
となります。
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これを踏まえて単一ノートの調整例、また前後ノートが影響する場合を見ていきましょう。
単一ノートの調整例
ゆったりとした曲等でビブラートを遅めに入れる場合、「開始タイミング」「左」の値を大きくすることで調整します。
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逆にすぐにビブラートを入れて、すぐに強いビブラートがほしい、となれば「開始タイミング」「左」の値は小さくします。
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前後のノートが影響するビブラート
最初に単一ノートでのビブラート調整を解説しましたが、楽曲中ではそう都合よく単一ノートがででくることはありません。メロディ中のノートは大抵繋がっており、ビブラートをするノートの前後にも別のノートが存在します。
前後のノートがそもそものピッチ変化に影響する場合、ビブラートはそれを考慮する必要が出てきます。
難しく聞こえるかもしれませんが基本的な考え方は簡単で、極端なピッチ変化を作らないことが重要です。
前のノートの影響に対応する
前にあるノートの影響は主にしゃくりなどによるもので、前のノートの音程からビブラートをするノートの音程に戻すようなケースです。
まずしゃくりの影響から考えていきます。
しゃくりはあるノートの高さよりも低い音程から発音し、元に戻す、というテクニックです。
ノートの最初に発生するピッチ変化のため、遅れて発生するビブラートには直接影響しないことも多いですが、ビブラートが早く始まったり、しゃくりが深めに入る場合があれば当然影響してきます。
このようなケースでそのまま合わせてしまうと、めちゃくちゃなピッチ変化になることが考えられます。
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これを解消するには深さが最大なるまでの時間、ビブラートが始まるタイミングを調整していきます。ビブラートが早く始まるのなら「左」の値を大きくしてビブラートの最初を弱めたり、しゃくりが長いのなら「開始タイミング」を大きくしてビブラートの開始を遅らせたりして対応します。
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位相でビブラートの最初の高さを調整する
先程の方法だけではうまくいかないこともあります。
しゃくりを長めにとりつつ、それが終わったらすぐに強めにビブラートしていてほしいとなれば、先程の方法が使いにくいこともあります。
ではどうするか、ここで新たに使用するのが「位相」というパラメータです。
ビブラートには元の音程から高くなって、戻って、低くなって、また戻ってという周期があります。この一周期のどこから開始するかを「位相」で設定します。「位相」の値を前後させると、ビブラートの開始時の高さが変わり、ビブラート全体の波が前後に移動することがわかります。
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波の始まりが変わる
このパラメータを用いてしゃくりが長く、ビブラートの開始を早く、というケースに対応してみます。
ポイントは直前のピッチの移動方向を見ることです。位相で行う調整は、簡単に言えばビブラートのピッチ変化を上方向と下方向のどちらから始めるかになるので、直前のピッチ変化がどうなっているかを見ることでどう始めるかを判断します。
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低い方からの対応を解説しましたが、高い方からピッチが戻る場合も同様な考え方で対応できます。
後ろのノートの影響に対応する
後ろのノートへの影響、つまりビブラートの終わりから次のノートへどう繋ぐかですが、基本的には前での方法と同じような考え方で対応できます。しかし、ビブラートの終わりから後ろのノートへの猶予は短く、前側での調整が後ろ側の調整の自由度を下げることもあるため、一概に同じ手法が取れないこともあります。
特に「タイミング」や「位相」はビブラート全体に影響するため、これらを変更すると自ずと自由度は下がってしまいます。
この問題の解決には、ビブラートエンベロープ、手動でピッチを調整するという2つのアプローチが考えられます。手動での調整は短い時間、かつ限られたケースでの使用が想定されるため、今回はビブラートエンベロープの方で解決します。
例として、ビブラートをするノートの終端に長めにピッチ下降を入れて次のノートに移行するようなものを用意します。そして下降直前までビブラートが強く入っていると想定します。
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ビブラートエンベロープ
ビブラートエンベロープですが、これはパラメータウインドウでビブラートの深さを動的に変化させるものです。
この値を大きくするとビブラートは深くなり、小さくすると浅くなります。0にするとビブラートをしなくなります。
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ビブラートの深さを細かく調整できる
先に解説した「右」よりも細かな制御ができますので、これを利用して解決していきます。まずは右を0secにして、ビブラートしない部分をx0にしておきます。
そしてピッチが下がる直前の部分から短時間でx0になるようにします。ここでビブラートのピッチが上方向に向かっているなどで不自然な変化が出る場合は、手動でその瞬間のピッチを調整しましょう。
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最後に
ビブラートの入りと終わりでもこだわるとかなり調整する部分がでてきます。そしてこれを自然に調整するのは豊富なビブラートのパラメータであることはご理解いただけたかと思います。
次回は今回の内容も含めて、これらピッチ変化を自動ピッチ調整から学ぶ、という内容です。