SynthesizerV表現調整テクニック講座 ノート調整編 #01 ノートの基礎

こんにちは。SynthV音屋の十竜です。

この講座はなんぞや、という方はまずは導入編を読むことをおすすめします。
SynthesizerV表現調整テクニック講座 導入編

さて、今回はSynthVの表現の調整の何の講座かというと、ノート調整編 #01 です。
前置きもこの辺にして本題に移りましょう。

※本記事は日本語を使用しています。英語・中国語でも応用可能ですが、解釈が大き変わる場合もあるのでご注意ください。

ノート調整編 #01

ノート調整編の初回ということで、いい感じのテククニックを…ではなくまずは基礎からです。

ノート調整の基礎として必要な知識はノートの「位置」「高さ」「長さ」「音素」「強さ」です。
ノートの「位置」「高さ」「長さ」はピアノロール上で、「音素」「強さ」はノートプロパティの「タイミングと音素」のパラメータを操作します。

ピアノロール上の要素

ピアノロール上での基本となる要素は「位置」「高さ」「長さ」です。

「位置」「高さ」「長さ」

ノートの位置

ノートの位置とは、ノートを楽曲中のどのタイミングで発音するか、ということです。ピアノロール上でいえば横軸の要素ですね。単純のように見えますが、考えるべき要素はすでにいくつか存在します。
ノートの位置において、主に知っておくべき要素は以下の2つです。
(と言いつつ増えるかもしれない……今のところ重点的に解説する予定のもの、という要素です。)

  1. 発音は必ずしもノートを配置したタイミングと同じではありません。子音はノートより早く、母音はノートと同じタイミングで発音されます。

  2. (主に)同じ高さ音の連続において、等分のタイミングで発音が良いとは限りません。英語の音節のようなタイミングが滑らかになる場合があります。

ノートの高さ

ノートの高さとは、その名の通り音の高さ、ピッチのことです。ピアノロール上では縦軸の要素です。高さそのものについては主に「手動ピッチ調整」で、高さによる表現の変化については「表現調整」で解説するので、ノート調整ではあまり触れることはないと思いますが、無関係ではないので軽く触れておきます。

  1. ピッチの大きな変化が起きやすいのは、主にノートとノートの境界付近です。自動調整によるピッチ変化を観察すると、この傾向があることが視覚的に分かります。

  2. ピッチによって大きく表現が変化します。高ければ強く張ったような声に、低ければ息が多く太い声になります。

高さの違いによる差
高いノートの方が波形が大きい

ノートの長さ

ノートの長さとは、発音の長さを表します。ピアノロール上では横軸、見たまんまの要素ですね。
ノートの長さに関しては基本的に「表現調整」と強く関わりがあります。だんだん弱くする、息を抜いていく等、継続的な変化に大きく影響しますので、このあたりは「表現調整」で解説します。なので、最終的にどういう表現にしたいか、を念頭に置いて長さを調整する必要があります。
ノート調整においては主に音素と絡めて解説することになります。ノートの長さと音素ごとの長さの割合は密接に関係するためです。

ノートプロパティの要素

ノートプロパティで基本となる要素は「音素」とそれに付随する「長さ」「強さ」です。「長さ」については前述していますので、「音素」「強さ」について解説していきます。エディタ上では、ノートプロパティ最下部の「タイミングと音素」の部分になります。

ノートプロパティ「タイミングと音素」

ノートの音素

ノートの音素とは、ノートの発音を決定する要素で、SynthVにおける発音の最小単位です。簡潔にいえば「ノートの発音記号がどうなっているか」となります。
たとえば「」であれば「a」、「」であれば「ka」と表記されます。「小春六花(こはるりっか)」であれば「ko ha ru ri kka」…ではなく「ko ha ru ri cl ka」です。謎の記号 cl が出てきましたね。

ノートを6つ用意して「こはるりっか」を打ち込んだ場合
「っ」には「cl」が割り当てられる。

この cl という記号はSynthVでは無音を表し、促音の「っ」に割り当てられています。このようなSynthVでの発音記号の種類とそれらの活用方法、及び各発音の特徴を踏まえた表現向上の方法等を解説していきます。この要素の説明の密度で察しがついているかもしれませんが、間違いなく音素に関するお話が最も多くなります。

ノートの強さ

ノートの強さとは、音素ごとの発音の強さを表します。
あるノートの全体的な強さに関しては、ピッチや表現調整によって変化する部分が多いですが、その基礎となる発音の強さに関してはノートで調整します。
わかりにくいですが、前者は高い音やテンションを上げると自ずと強く、逆をすれば弱くなるような、他の編集による副次的なものを指します。後者はノートプロパティ上で編集する要素で、あくまでノート単体に作用するものとなります。波形を表示した状態で値を変えてみるとわかりますが、強さによって波形が少し変化していることが見られるかと思います。

音素の強さを変えた場合
「あ」は視認性のために直前に入れているもの。

最後に

ノート調整編の初回として、まずはこの講座を読むために必要なノートの基本要素を解説させていただきました。直接表現を向上させる要素ではないですが、これらを意識するだけでも少しばかりはクオリティを上げる一端になるかと思います。

ノート調整編 #2 では、ノートの位置・高さ・長さ、つまりピアノロール上でノートをどの様に配置するか、という内容を解説しようと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?