【絵本テキスト】しゅんしゅん ブタくん
①
ここは どうぶつたちの がっこう。
すん すん すん
ブタくん、さっきから はなを すすってばかり。
「ブタくん、ティッシュで はなを かんだらいかが?」
と オオカミせんせい。
②
だけど ブタくん、ティッシュを いえに わすれてきちゃった。
だから もう はなが たれてこないようにと、
しゅん!
おもいっきり すすった。
ところが あんまり おもいっきり すすったものだから、
③
じぶんまで すいこんじゃった。
④
「たいへん! たいへん!」
せんせいは おおあわて。
びょういんに むかって かけだした。
⑤
おおいそぎで はしっていると、ツルのおじいさんと でくわした。
「せんせい、そんなに あわてて どうしたね?」
「ああ、じつは ブタくんが じぶんの はなに すいこまれて、
わたし、びょういにん むかってるんです」
「よし、それなら わしが ひっぱりだしてやるさ」
ツルのおじいさんは ほそい くちばしの さきを
ブタくんの はなに ちかづけた。
⑥
しゅん!
すいこまれた。
「たいへん! たいへん!」
⑦
おおいそぎで はしっていると、ゾウのおじょうさんと でくわした。
「せんせい、そんなに あわてて どうしたの?」
「ああ、じつは ブタくんが じぶんの はなに すいこまれて、
それを たすけようとして ツルのおじいさんも すいこまれて、わたし、びょういんに むかってるんです」
「あら、それなら あたしが すいだしてあげる」
ゾウのおじょうさんは ながい はなの さきを、
ブタくんの はなに ちかづけた。
⑧
しゅん!
すいこまれた。
「たいへん! たいへん!」
⑨
ようやく びょういんに たどりついた。
けれども ちょうど おひるの きゅうけいじかん。
「ああ、なんてことでしょ……」
つぶやいたのと どうじに、せんせいの おなかが ぐるるるる……。
「ふう、はしりまわって おなかが ぺこぺこ。
なにか たべるものは ないかしら……」
ちらりと ブタくんの はなに めを やった。
⑩
「だめ! だめ! だめ!」
せんせいは さけんだ。
「かわいい ブタくんの はなを たべるなんて!」
けれども また ぐるるるる……。
「はあ、なんて おいしそうな はななんでしょ。
はしっこの ほうを ちょっぴりだけなら……」
ごくりと つばを のみこんだ。
「だめ! だめ! だめ!」
せんせいは また さけんだ。
「わたしは ブタくんの せんせいよ!」
けれども またまた ぐるるるる……。
⑪
「ああ! だめ! だめ! もう がまんできないわ!」
⑫
せんせいは おおいそぎで じぶんの いえに もどると、
ブタくんの はなを フライパンに のせて ひに かけた。
しおを しょうしょう。
こしょうを ぱっぱっ。
⑬
すると、ブタくんの はなが ひくっと うごいて、
はっ……
⑭
くしょーん!!!
⑮
「まあ! ブタくん!」
せんせいは ブタくんを ぎゅっと だきしめた。
p32
それから ふたりは
きゅうしょくを たべに がっこうへ もどっていった。
年末にパソコンのデータ整理をしていたら出てきた10年ほど前に書いた絵本テキスト。