【産業・観光】観光業も輸出品だ! 岡崎市も観光産業重点化へ | デービッド・アトキンソンさん・山田拓さん講演
夜でもヒルタです。私は、「しあわせな+1時間を 岡崎市」をキーメッセージに、岡崎市を「子育て・福祉・産業・まちづくり」において「日本全国のモデルになるまち」目指して活動しています。
家族との時間・学び直し・まちづくり活動・趣味や休息等……つまり、自分自身が本当にやりたいことができる時間が、「しあわせ」につながると信じています。積極的に「未来への投資」をし、20年、30年先の岡崎市も豊かで選ばれるまちへ、そんな未来をともにつくる。
ともにつくる岡崎市の未来!
私、ひるた浩一郎は、岡崎青年会議所(岡崎JC)にも所属しています。2024年1月15日(土)に「京都会議」に参加しました。
デービッド・アトキンソンさんの講演「Discover New JAPAN〜日本再発見の旅〜」があり、めちゃくちゃ勉強になったので、私の考えとあわせてまとめていきます。
◯ デービッド・アトキンソンさんについて
私がデービッド・アトキンソン(David Atkinson)さんを知ったのは岡崎市役所で公務員として働いている時に『新・観光立国』を読んだからです。そして、なんと実は過去に岡崎市にも講演に来てくださっています。
一貫して、彼が言っていることが「観光は、滞在時間を増やせ」です。
特にヨーロッパ等の飛行機で10時間以上滞在するような方々は何泊も日本を楽しんでいきます。そうした人たちに一日でも多く滞在してもらえることで、宿泊費と食費をつかってもらえるからです。
◯ 伝統文化は大事だが、それだけでは弱い
岡崎市もNHK大河ドラマ『どうする家康』に取り上げられたり、岡崎城や大樹寺や岩津城跡をはじめたくさんの歴史的建造物や神社仏閣があります。
しかし、「観光で、滞在時間を増やす」ことを考えた場合、伝統文化だけでは弱いんです。
ヨーロッパからの観光客、2週間滞在してくれる方々を想像してみてください。
【1日目】
午前:お寺A
午後:お寺B・神社A
【2日目】
午前:お城A
午後:お寺C・神社B
【3日目】
午前:神社C
午後:お寺D・お寺E
……ぶっちゃけ飽きますよね? めちゃくちゃ歴史文化が好きなマニアならありなコースですが、もう2日目くらいでお腹いっぱいになる。
お寺や神社仏閣が観光にならないってわけじゃないんです。それだけしかないと飽きる。滞在時間を増やしてくれない、と言っているわけです。
◯ 滞在時間を増やす
中国やアジアの「爆買い」が話題になりました。爆買いしてもらうことよりも、宿泊も含めた滞在時間を増やすことが重要なんです。そうした方がお金が落ちる。地域にお金がまわるからです。
では、観光戦略に基本は何か、というとデービット・アトキンソンさんは以下の2つだといいます。
・「暇つぶしのお付き合い」
・「満足してもらった分だけ払ってもらう」
このふたつをまさに体現しているのはニセコです。"JAPOW"「Japan Powder」としてパウダースノーを外国から高く評価されていまや外国人だらけなリゾート地。
スキーやスノボーといったデービット・アトキンソンさんの言葉を借りれば「ただ、板で雪山を滑るためだけ」に何十万円、何百万円のお金も時間もかけて来てくれるわけです。
スキーは一週間楽しめるけど、神社仏閣めぐりだけでは一週間楽しめない。
伝統文化が悪いとは私も言いたいわけではありません。しかし、単に見学ツアーではなく、コンテンツがないと楽しめない。
◯ 「異日常」といった楽しみ
デービット・アトキンソンさんと山田拓さんのトークセッションでは、私が最も印象に残った言葉が「異日常」です。
例えば、私たちが当たり前に過ごしている日本の日常風景は外国の方にとっては「異日常」です。
私たちからしたら、彼・彼女たちの当たり前は「異日常」ですよね。日曜日に礼拝に行く、ご飯を食べる前にお祈りをするなどなど。実は、こうした「異日常」を楽しめるプランや仕組みが今後の観光としてはますます重要になってきます。
単に観光施設に行くだけではないんです。それだとすぐに飽きる。お寺めぐりを最初は楽しいですが、3日も5日もやってもおもしろくない。いつもとは違った「異日常」をつくるのではなく(もう既にあるので)、体感してもらえるようにデザインする。
NHK「所さん!事件ですよ」では、外国人が体験にお金を払うといったことがまとめられていました。
滞在時間を、滞在日数を増やしてもらうために何が必要かを考え続ける必要があります。しかし、それは決して特別なことじゃない。「日常」の切り口が大事なんだと感じます。
島根県にある足立美術館に行った時にも感じましたが、「切り取り」がめちゃくちゃ重要。「切り取り」については、こちらのnoteにまとめています。ご参考ください。
◯ 情報発信はコンテンツがあってこそ
自治体においてはすぐに「情報発信だ!」「宣伝が大事だ!」と言います。もちろん、間違っていません。私も情報発信や広報PRはめちゃくちゃ重要だと確信しています。
しかし、広報PRする「コンテンツ」が必要なんです。つまり、中身です。
滞在時間を増やしてもらうための中身がないまま、魅力的な写真や動画で誤魔化して、海外からの外国人観光客が来てみたらガッカリ……なんてことになったら二度と来てくれません。神社仏閣めぐりだけの見学ツアーでは1日で満足されてしまうんです。1週間いてもらって、帰国してから友だちやまわりに「めちゃくちゃ良かったから、お前らも日本の岡崎市に行ったほうが良いよ!!!」と口コミしてくれないんです。せっっかく何十万円もつかって、十何時間もかけて、国境を超えてわざわざ来てくれているのに、もったいない!!
◯ 観光は輸出産業だ
デービット・アトキンソンさんが講演のなかで言っていた本質は「滞在時間を伸ばす」こと「観光業も輸出」だと感じました。
日本のマーケットは縮小傾向です。少子高齢化を迎え、マーケット規模で言えば1億人程度しかありません。しかし、世界を考えると約80億人のマーケット規模があります。今後のビジネスは、BtoBもBtoCもますます海外を意識した仕事や海外展開を考えていく必要があります。
「お城や伝統文化等、地域に根ざしたものを輸出するなんてできない!」そんな声もあるとおもいます。しかし、そうじゃないんです。「輸出する」とは、モノを出すだけではなく来てもらって体感してもらうことも「輸出する」と考えて良いんです。
海外の方に、80億人のマーケットに対して魅力を伝えていく。そして、その対価をもらっていくことが重要なんです。
◯ これからの観光産業
ハード整備をしなくて良い、といっているわけではありません。8,000円/泊のホテルには富裕層は決して泊まりません。単に値段を釣り上げろっていうわけじゃないんです。しっかりと値段に見合ったサービスをする必要があるんです。
10万円/泊だったとしても、24時間コンシェルジュやルームサービスですぐに対応できること、ウェルカムドリンクやチェックイン・チェックアウトが柔軟であることなど「滞在していることの価値」を出していく。
ホテルに限らず、観光してもらう、滞在日数を増やしてもらうための設備投資は必要不可欠です。あわせて、「異日常」を体感してもらえるプランをデザインする。お城をめぐりましょう、伝統文化や歴史をまわりましょうもステキです。大事です。しかし、これだけでは弱いんです。1日で飽きるんです。
例えば、岡崎市の当たり前の日常を楽しんでもらえる仕組み。私たちが普段当たり前に感じている岡崎市の風景を楽しんでもらえる仕組み。
実は、普段当たり前にある日常こそ価値を生み出せる。お金を払ってでも体感したいと思ってもらえるものなんです。
岡崎市でいえば、お城や神社仏閣だけではなく、様々な職人さんがたくさんいます。石工職人、太鼓、ろうそく、弓矢、花火等……こうした職人さんたちとのコミュニケーションや体験もひとつ大きな価値です。
額田の自然や山を自転車でポタリングしながら楽しむこと、日本の川でおもいっきり遊ぶこと、そして地域のお祭に参加することなど……。こうした「異日常」を楽しんでもらう。
1日でも滞在日数を増やしてもらう仕掛けをどんどんとつくり、発信していくこと。自治体と民間企業が連携・共創しながら進めていくことではじめて成り立ちます。
◯ 観光の3割が宿泊費・2割が食費
観光する時のお金の内訳として、交通費(移動費)を除くとホテルなどの宿泊費が3割、飲食にかける食費が2割。観光客がお金を使う半分が宿と飯なんです。
2人が7日間滞在してくれた安く見積もって場合を考えていましょう。
1日あたり5万円……宿:2万円・飯:1.5万円、体験:1万円、お土産:5,000円
7日で35万円使ってくれる計算です。これが3日間だけならば、15万円。
1日滞在を伸ばしてくれるだけで5万円は使ってくれる、地域にお金がまわるんです。いかに滞在日数を伸ばすことが重要かがわかります。
観光は輸出業だ、として外国人観光客に来てもらう。昭和バブル期のように「押し寄せてくるから適当に扱っても良い」ではなく、しっかりとしたサービスと「異日常」を提供することで、付加価値をつけて高い対価としてお金を払ってもらう。外貨を学徳していく、まさに輸出業なんです。
◯ 観光産業都市を目指す、岡崎市として
岡崎市は「観光産業都市を目指す」としています。
自動車産業とともに新しい産業・ビジネスとして「観光産業」を伸ばしていく、として動いています。徳川家康公の生まれの地、江戸のふるさと岡崎市として伝統文化を有効活用していくことはとても重要です。
これまでの「観光」は、岡崎城に行ってください、大樹寺に行ってくださいといったものばかりでした。
しかし、これからはコンテンツ…中身が重要になってくると私は考えています。あらためて書きますが、例えば、岡崎市の当たり前の日常を楽しんでもらえる仕組み。私たちが普段当たり前に感じている岡崎市の風景を楽しんでもらえる仕組み。
実は、普段当たり前にある日常こそ価値を生み出せる。お金を払ってでも体感したいと思ってもらえるものなんです。
岡崎市でいえば、お城や神社仏閣だけではなく、様々な職人さんがたくさんいます。石工職人、太鼓、ろうそく、弓矢、花火等……こうした職人さんたちとのコミュニケーションや体験もひとつ大きな価値です。
こうした「体験できる仕組み」や「ツアーを創出すること」をデザインし、提供していくことが観光産業都市を目指すには必要です。
何度も書きますが、「異日常」を体感できる仕組みなんです。
外の視点をいれる
木下斉さんのnoteにも書かれていますが、「よそ者目線」がとても重要なんです。それは市外の方の目線もあれば、ニセコのように外国人の目線といったこともあります。
本当の価値を感じることができるのは「よそ者」であり「外の目」を持った人にしかできないんです。
それを価値にしていく、商品サービスまで昇華させるためには外部の力ではなく、地元の人々との連携・共創が必須になってきます。
外部の視点で「価値」を見つけられても、それを提供するためには内部の、地元の人達が実施する必要があるからです。東京のコンサルが「こんな感じにしたらいいんじゃなーーーい?」って言ったところで、意味がないんです。
日本一の星空ツアー 阿智村
観光産業において、この「切り取る」を考えた時に阿智村(長野県)の事例が有名です。私のnoteでも何度も回ています。阿智村はいまや「星空を売る」村として、スタービレッジ阿智、天空の楽園……多くの観光客で賑わっています。
阿智村の星空の魅力に最初に気がついたのは、ずっとそこに住んでいた人ではなく外から来た方が気が付きました。住民たちはキレイな星空が「当たり前」だったから、魅力や価値に気がつくことが指摘されるまで気が付かなかった、という話があります。外から来たからこそ気がつくこともたくさんある、好事例です。
阿智村の人たちは大パノラマの星空を「当たり前」のものとしてとらえておりビジネス化することができていませんでした。外部の視点を入れ、星空を切る取ることで価値付けをしてたくさんの観光客に来てもらい、お金をおとしてもらえる。観光産業が盛り上がりました。
◯ ウチとソトをつなげ、価値を創造する共創
観光においても、産業創出においても、自治体だけ、民間企業だけではうまくいきません。お互いがその強みを活かし合うことが必要です。
地域の強みや良さは、実は、地元の人達は気づいていません。
「価値だと思っているものが、ソトビトには無価値であることが多い」でも、一方で「こんなの当たり前で価値がないと地元の人が考えていることが、ソトビトには価値があって大金を払ってでも獲得したい体験や思い出になる」ことが阿智村やニセコの例からもよくわかります。
岡崎市においても、本当の価値や魅力は徳川家康公や岡崎城等だけでは決してありません。岡崎市での生活や日々の「当たり前」を切り取ることで、価値二転換することができます。
このためには、自治体、民間企業、市民団体や市民等が連携・共創し、ウチビトもソトビトも一緒になって取り組んでいく、そんな仕組みや環境整備を進めることが自治体にとって重要だと確信しています。
岡崎市は魅力があり、ポテンシャルの高いまちです。しかし、まだまだその魅力やポテンシャルを発揮しきれていません。本当の価値を見つけ出し、ソトの視点を入れ続けることで、提供できるように切り出していく。
これが私が考える岡崎市が観光産業都市に向けて進むための根幹です。
さぁ、共創だ!
◯ 【岡崎市政への挑戦】ひるた浩一郎が岡崎市の新しい若きリーダーへ、意向表明の記者会見を実施(2023年10月6日)
岡崎市の新しい若きリーダーとして、岡崎市政へ挑戦します。
過去か、未来か、どちらをあなたは選びますか。
市長が変われば、市役所が変わる。
市役所が変われば、まちが変わる。
まちが変われば、未来が変わる。
岡崎市の未来をともにつくっていきましょう!
記者会見の動画や想いをまとめています。ぜひ、ご覧いただき、あなたの声を聴かせてください。
サポートありがとうございます! プレッシャーいただけたと感じてがんばっていきます!!