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カカオとチョコレートの起原が面白い

先週末、銀座三越「濃厚なチョコレートの歴史展」に行ってきた。
ツイッターでたまたま知ったこの展示。ちょうど東京駅に用事があったためふらりと立ち寄ったのだが、大収穫と言ってもいい面白さだった。

銀座三越の9階に行くと、チョコレート展の看板が目に入る。中央にはホットチョコレートが飲める明治のカフェスペース。その左手にある考古学エリアが「濃厚なチョコレートの歴史展」だ。

岡山県BIZEN中南米美術館の貴重な品々が展示されていて、なんと館長さん自ら説明を担当してくれた。

ホットチョコレートが飲めるカフェスペース
考古学スペース

ちなみにBIZEN中南米美術館とは、古代アメリカの考古学品2000点以上を収蔵する、中南米好きには有名な美術館だ。ずっと行きたいと思っていた美術館の館長さんとこんなところで会えるとは予想外だった。

LatinAmerica.jp ラテンアメリカ.jp 👈BIZEN中南米美術館のウェブサイト

館長さんはとても気さくな楽しい方で、カカオとチョコレート文化の起原について丁寧に説明してくれた。

植物としてのカカオの原産地は南米のアマゾン川上流だと推定されているが、それを飲料、すなわちチョコレートとして飲む文化は、メキシコが最古だと思われていた。だが、7年前の2018年に大発見があった。

https://www.meiji.co.jp/hello-chocolate/column/148/より

南米エクアドルのアマゾン地域にあるサンタアナ・ラ・フロリダ遺跡で古代の土器が見つかり、その中の残滓物を調べると世界最古のカカオ飲料(チョコレート)が飲まれた跡だということがわかったのだ。
なんと5300年前(紀元前3300年)のものだという。これまで最古とされていたメキシコよりも1000年以上古い。

こちらがエクアドルで見つかった世界最古のチョコレート飲料が飲まれた土器(レプリカ)。チャーミングな顔の周りにカカオの実の装飾が付けられている。チョコレートは当時は嗜好品ではなく、薬として用いられていたらしい。

エクアドル政府はこの発見に大喜び。容器のレプリカを60個製作し、「カカオとチョコレートはエクアドルが発祥!」とアピールするために各国に配っているのだという。今回のチョコレート展に展示されていたのも、エクアドル政府が作ったレプリカの一つだ。

こちらのパンフレットもエクアドル政府がPR用に作ったもの

カカオとチョコレート文化はエクアドルから海を渡ってメソアメリカ文明(メキシコや中米)に広がっていったと考えられている。
マヤ文明ではチョコレートは王族たちの独占物となり、彼らはなんと1日20~30杯も飲んでいたそうだ。チョコレートは長寿の秘訣として知られ、当時の平均寿命が30歳ほどだったのに対し、マヤの王の寿命は60~90歳にもなったという。

おそらく日本一チョコレートの起原に詳しいであろうBIZEN中南米美術館の館長からマンツーマン講義を受け、幸せな知的充実感を味わった日となった。
カカオやチョコレート文化の起原についてのより詳しい解説はこちらから読むことができる。とても面白いのでおすすめだ。

おいしいメキシコのホットチョコレートも飲める「濃厚なチョコレートの歴史展」は2月14日まで開催。館長も毎日いるそうなので、関東在住の方はぜひ訪れてみてください。

カカオの実が付いた土偶(エクアドル)
マヤ文明のチョコレートカップ(グアテマラ)
同じくマヤ文明のチョコレートカップ(グアテマラ)
メキシコの希少なホワイトカカオのホットチョコレートが飲める
お土産コーナー
ついついマヤ王の湯飲み(チョコレート飲み)を購入してしまった


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