メキシコ大統領選の投票所に行ってきたらメキシコっぽくて面白かった
歴史的な一日、大変な一日
先週の日曜(6月2日)はメキシコの大統領選挙の日だった。
与党(MORENA)のクラウディア・シェインバウム候補が当選し、メキシコ史上初の女性大統領が誕生する歴史的な日となった。
僕は選挙がどんな感じで行われるのか興味があり、下宿先のホストマザーに頼んで投票所まで着いていかせてもらった(もちろん僕に投票権があるわけではない)。
実はこの日は大統領選だけでなく、メキシコシティ市長、シティ内の地区長、上院議員、下院議員もまとめて選ばれる。ほかの州だと、州知事や地方議員も選ばれる。メキシコ全土で実に2万以上のポストがこの日で決まるので、選ぶ方も選ばれる方も大変な一日だ。
投票に着いて行って、いくつか「メキシコっぽいなあ」と感じたことがあったので書いておこうと思う。
近所の人たちと投票所を探す
まず、家を出て投票所まで歩いて向かう途中、ホストマザーのご近所さんたちも歩いていたので合流して向かうことになった。道行く人が次々と合流し、結局10人くらいのグループになった。だが面白いことに、誰も投票所の正確な場所を知らず、あっちだこっちだと議論しながら辿り着いた。目的地をあまり調べずに家を出てしまう適当さと、顔見知り程度の人たちと仲良く投票所に向かうコミュ力の強さが印象に残った。
投票所は一般家庭…!?
投票所につくと、そこは一般の家のガレージだった。選挙管理委員会の2人と、この家の住人、そして近所の住人たちで運営されていた。学校など公共の場所もあるらしいが、こういう一般家庭が投票所になることも多いらしい。そして運営を手伝う住人には政府からお金が支払われるらしい。
なかなか始まらない投票 伸びていく行列
僕たちは投票開始時刻の朝8時に到着した。だが投票所の準備は整わず、結局開場したのが1時間後、ホストマザーたちが投票できたのは2時間後だった。投票所には机が4つしかなく、1人につき5つの投票を行うので、こんなので行列が解消できるのかと心配になった。
並んでいる人たちと仲良くなる
列をつくって待っている途中、見ず知らずの人同士でも仲良くなって話に花を咲かせてしまうのはいかにもメキシコっぽい。僕も2時間一緒に並んでいたのだが、周りの人とおしゃべりしていたので、もちろん疲れたけど、楽しかったという記憶の方が強い。
「投票の秘密は守られます」
周りの人が話していて印象に残った言葉は「Tu voto es libre y secreto」(投票は自由で秘密は守られる)。普通の会話の中でも何人か言っていたし、張り紙もしてあった。過去に投票の監視があったからなのか、現在のナルコ関係の脅迫とかなのか、聞き忘れてしまった。
投票は家族の団らんイベント
投票が終わってお腹が減ったので、近くのカフェ、レストラン、ショッピングモールなど回ってみたが、どこも家族連れで満員で入れなかった。メキシコに来て半年経つが、こんなに近所のショッピングモールが混雑しているのは初めて見た。選挙が家族やご近所との交流イベントになっているのは日本と違うなあと感じた。
結果を確かめるため投票所をはしご
メキシコでは夜8時に投票が締め切られたあと、各投票所で集計が進められる。そして投票所の扉に、ローカルの開票結果が張り出される。
夜9時とか10時になると、投票所の前に結果を見に来た人たちの人だかりができる。人々は一つの投票所だけでなく、スタンプラリーのように複数の投票所を回って自分の住んでいる地域の結果を確かめ、友達や家族と共有する。なんかハロウィーンか何かのイベントみたいで楽しいし、民主主義が機能しているとも感じる。
結局、選管が速報を出してシェインバウム候補の大勝が発表されたのが夜中の12時くらい、彼女が国立宮殿前で勝利演説を始めたのが午前1時すぎだった。こうして、一日中お祭りのような感じで時間が過ぎていった。
ペルーでも目撃した大統領選挙
メキシコで大統領選挙があるのは6年に1度だ。たまたまその日をメキシコで目撃することができてとても幸運だった。
そういえば僕は2021年のペルーの大統領選挙(ケイコ・フジモリ vs ペドロ・カスティージョ)も現地で見ることができた。このときは結果が僅差だったので揉めに揉めて、5日間か1週間くらい正式な結果が出なかった記憶がある。ペルーも5年に1度しか大統領選は巡ってこないので、僕は選挙運があるのかもしれない。
次はどんな選挙が見られるのだろう。
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