記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

『ひみつ道具博物館』はいい



・これは『映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館』の感想記事です。
 映画のネタバレは極力省きましたが、どうしても言及しなければならない
 シーンに関してはネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください
・見終わった後のテンションのまま書いているので長い上に読みにくいです

1.はじめに

 現在、シリーズ45周年を記念して「映画ドラえもんまつり」なる企画が開催されている。これはドラえもんファンの投票によって選ばれた映画6作品を全国の劇場で順々に公開する、というものだ。そして今は第一弾として『のび太の雲の王国』と『のび太のひみつ道具博物館』を公開している。今回はその内の『ひみつ道具博物館』を先日観に行った感想を書きたい。
 私が人生で初めて映画館で観たドラえもんの映画がこの『ひみつ道具博物館』だった。劇場の大スクリーンでいつもはテレビの中にいるドラえもんやのび太が大活躍しているのを観て、大興奮したのを鮮明に覚えている。
 あれから12年。当時の私は夢をかなえてドラえもんの歌詞よろしく、大人になったら今こんなに大好きなドラえもんもつまらないと思ってしまうのだろうかととても不安に思っていた。だが、そんなことは全然なかった。中学・高校でも一緒にドラえもんの映画を観に行くような友人は出来たし、今回こうしてリバイバル上映を観に行ってもめちゃくちゃ楽しめた。もしタイムマシンがあるなら過去の自分に、「お前は干支が一巡りしてもドラえもんの映画を楽しんでるぞ」と伝えたい。

2.あらすじ

 『のび太のひみつ道具博物館』は、ドラえもんの鈴が「怪盗DX」を名乗る謎の人物に盗まれるところから話が始まる。どうやら推理によると、未来にある全てのひみつ道具が展示されている博物館、「ひみつ道具博物館」に手掛かりがあるらしい。ドラえもんの鈴を取り返すため、未来の博物館でのび太たちの大冒険が始まる━というのがあらすじだ。
 お気づきだろうが、この時点で既に面白い。もともとドラえもん映画で未来世界が舞台になること自体稀なのに、全てのひみつ道具が展示されている博物館まで出されては、ワクワクしない方がおかしい。
 そしてこのひみつ道具博物館、非常にデカい。なにせ過去・現在・最新のひみつ道具を全て展示しているというのだから生半可な大きさではない。開館したての頃は一日に何人も遭難者が出たというのも頷ける。こんな広くてスタイリッシュな建物での冒険なんて、心躍るとしか言いようがない。
 しかし一方で「カメラ館」「宇宙館」「自然館」など実際の博物館同様のエリア分けがされているところにリアリティもある。もっともそれでも「なんでも館」なんてのが出てくるあたりにひみつ道具の奇想天外さが表れているような気もする。
 そんな博物館で暗躍するのが冒頭に登場する怪盗DXなのだが、これがまた非常にカッコいい!ルパンのようなザ・怪盗という見た目でありながら、未来世界の博物館に合うようにところどころメカニカルな要素も散りばめられていて、何とも言えないカッコよさ。昔この映画を観て家に帰ってきた後、怪盗DXが着けている蝶ネクタイを紙で作ってなりきりごっこをしていたことをふと思い出した。

3.ゲストキャラ

 そして映画ドラえもんではゲストキャラの存在も欠かせない。
 まずはクルト。ひみつ道具職人を志しながら博物館でガイドのアルバイトをしている少年で、ドラえもん達と行動を共にする。彼はのび太のような存在で、作る道具はどれもへっぽこ。それでもあきらめずに夢を追う姿には勇気をもらえる。
 そしてそんなクルトが作った唯一へっぽこでない道具が、ポポンだ。ナカミスイトールという道具(光線を当てたものの中身だけを吸い取って別の場所に移せる、銃のような形をしたひみつ道具)を改造しているときの失敗から偶然生まれたロボット?のような存在で、いろんなものの中身を吸い取って消してしまえるという能力を持つ。スライムみたいにフヨフヨしていて、とてもかわいい。
 次に館長のフィークス。ガイドとしての自覚に欠けるクルトをしょっちゅう叱っているが、話が進むにつれて小五郎のおっちゃん的な憎めないしょーもなさが露呈してくるキャラクターだ。
 そして、かつて重大なミスを犯し、ひみつ道具の世界を追放された科学者、ペプラー博士。野心家で負けず嫌いだが、一方でクルトのひみつ道具作りの師匠として温かい励ましの言葉をかける一面もある。こちらも中々憎めないキャラクターをしており、博物館に潜んでとあることを企んでいる。この人のせいで後にとんでもないことが起こるのだが、それは映画を観てのお楽しみ。
 さらにそのペプラー博士の孫娘、ジンジャー。ペプラー博士をサポートし、料理などを一手に担っている。かわいい。しっかり者で博士やクルトにもズバズバ物を言うことが多く、一番年下のはずなのに保護者のような立ち位置の子だ。そしてかわいい。私が今、気が強くてちょっとツンとした女の子が好きなのは恐らくこの子のせいだろう。
 最後は怪盗DXを追う警察のマスタード警部。こちらはシブくてかっこいいおじさまで、声はなんとあの松平健さん。昔の刑事ドラマに出てきそうないかにも警部という風貌をしているが、ナチュラルにひみつ道具を捜査に使っているところはどこかミスマッチな感じがして面白い。
 こうしたゲストキャラたちも、この映画の魅力の一つだ。

 続いて私のココ好きポイントを語りたいのだが、全部挙げてると完全なネタバレになってしまうため、どうしても語りたいポイントを3つだけピックアップすることにする。

4.ココ好きポイント①ミステリー

 ドラえもん映画では冒険やアクションと言った「動」のカッコよさが主軸となることが多いのだが、この映画ではミステリー的な「静」のカッコよさも持ち合わせている。冒頭や中盤での手掛かり集めのシーンで感じるワクワクやのび太が怪盗DXの正体を暴くシーンのカッコよさは完全にミステリードラマのそれであり、思わずニヤケてしまうこと請け合いだ。
 またそれを意識した上で見ていると、結構序盤からしっかり伏線が張られていることにも気づく。こういう隠し要素を回収するような気持ちで映画を観るのは初めてだったので、そういう意味でも非常に楽しかった。

5.ココ好きポイント②友情

 この映画を語るうえで絶対に欠かすことのできない要素の一つがこれだ。ドラえもんは盗まれた鈴を絶対に取り返そうと頑張るのだが、それにはある理由がある。実はこの鈴はドラえもんがまだのび太の元に来て日が浅い頃の、とある大切な思い出が詰まった鈴なのだ。
 その思い出については映画本編を観ていただくとして、このエピソードが非常に印象深い。未来からやって来たお世話係とダメダメな少年だった二人がいかにして今のように唯一無二の親友となったのか。ドラえもんとのび太の関係性の原点に触れることができ、改めてドラえもんとのび太を追いかけていきたいと思わせてくれるようなエピソードだ。

6.ココ好きポイント③ひみつ道具

 そして最も声を大にして言いたいのがこれだ。そもそもひみつ道具の博物館が舞台なのでひみつ道具が重要な要素なのは当然なのだが、この映画ではドラえもんを読んだ人なら誰しも一度はひみつ道具について考えるテーマを取り上げてくれている。
 例えば、「効果が反対のひみつ道具同士をぶつけたらどうなるのか?」という疑問。これを怪盗DXとマスタード警部が対決という形でやってくれる。
 正確には「一方がひみつ道具を出す⇒もう一方がそれに対抗し得るひみつ道具を出す」というものになっているので実際に効果が衝突するわけではないのだが、ドラえもん以外のキャラクターがひみつ道具をポンポン出している様子はテンポが良く面白いと同時に、この作品の舞台が未来なんだなと改めて実感させてくれる。作中屈指の名シーンの一つだと勝手に思っている。
 また、この観点でエンドロールにも注目したい。この映画のエンドロールでは主題歌「未来のミュージアム(Perfumeの御三方の近未来的な雰囲気が見事にマッチした名曲です)」に合わせて劇中で登場したひみつ道具の紹介が流れるのだが、これが凄い。なぜならここではあくまで「作中で登場して」「明確に使用されたシーンがある秘密道具」を、「一部抜粋」したものだけが紹介されているのだ。
 それだけ条件を絞ってもなお映画のエンドロールが一つ埋まるぐらいひみつ道具が登場しているのだから、一瞬登場しただけのひみつ道具も全部数えたら一体どれほどの数になるのだろうか。未来世界が舞台だからこそできるひみつ道具の贅沢な大量放出は、この映画でしか見られないと断言できる。
 そして何といっても一番は「オリジナルひみつ道具」だ。皆さん一度はオリジナルのひみつ道具について妄想したことがあるだろうが、作中でもクルトがオリジナルのひみつ道具をたくさん作っている。
 例えばビックライトを改造して作った「ビックリライト」。なぜか変なところだけが大きくなってビックリというのが名前の由来なのだが、このネーミングはいかにもオリジナルひみつ道具だ。他にも鳩の形をした靴で空は飛べるけど制御不能な「クルクック」などの愉快な道具がたくさん登場する。
 しかしこれらはただの賑やかし要員ではない。きちんと意味を持っている。
 映画の終盤、とある問題が発生して全てのひみつ道具が消えてしまう。これはドラえもん映画では本来あってはいけない一大事だ。ドラえもん映画のお約束として序盤に出てきた道具が終盤に最大の問題を解決するために使われる、というのがある。しかしこの映画では、そのひみつ道具自体が消えてしまう。しかもその状況でひみつ道具により博物館の地下で制御されていた人工太陽が暴走を始め、事態は博物館どころか地球規模の危機へと発展する。
 ここで活躍するのが、クルトの作った道具なのだ。正式な職人たちによって作られたひみつ道具が消えてしまったことで、クルトの作ったへっぽこオリジナルひみつ道具が唯一の対抗手段となり、活躍する。こういう展開に私は弱い。
 この場面で現れる予想外過ぎる援軍とその胸熱な結末はぜひ映画の本編を通じて感じていただきたい。

7.まとめ

 以上、『ひみつ道具博物館』について語らせていただいた。長い上にテンションのまま書いた駄文のため読みにくかったと推察するが、ここまで読んでいただき感謝する。
 今回リバイバル上映を観て、改めてドラえもんという作品が大好きだと実感した。これからも私にとって『ひみつ道具博物館』は大切な作品であり続けるだろう。
 ドラえもん映画まつりはまだまだ続く。ひみつ道具博物館の上映は23日までなので、興味のある方はぜひお見逃しなく。


いいなと思ったら応援しよう!