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ビジネスアジリティ、オペレーショナル・エクセレンスのその先へ~xOpsパーソンに必要な視座を考えてみた~

※この記事はBizOpsセールスアドベントカレンダー12日目の記事です。前日11日目はタイムクラウド代表西小倉(にしこくら)さんの「BizOpsからエンジニアに依頼する範囲について考えるヒント」という記事をお送りしました。

こんにちは、朝でも夜でも比留間です。経営管理クラウド"Loglass"を開発・販売する株式会社ログラスのビジネスサイド8人目の社員で、カスタマーサクセス部に所属しシニアカスタマーサクセスとして活動しています。

前職ではIT・ビジネスプロセスコンサルタントをしており、プロジェクトデリバリ・クライアントフェイシングのほか、Ops文脈ではIPAが出しているビジネスアーキテクトに近いスキルセットを持っていると捉えており、入社以来お客様対応(ハイタッチ支援)と並行してCSOpsの役回りをしていました。

デジタルスキル標準 Ver1.1 ビジネスアーキテクト(既存事業の高度化)

私自身としては、2022年2月にログラスに入社して以来定期的にnoteでのナレッジシェアや登壇サマリをあげておりますので、ぜひそちらもご覧ください!


会社紹介

弊社は「良い景気を作ろう。」をミッションに、企業経営のDXと高度化を推進する「Loglass」シリーズを開発・提供しております。

公式マガジン

アドベントカレンダー2023
14日のきしもとさんがCSOpsなのでそちらもぜひ



ログラスのxOps系職種

ログラスにOps系の職種は大きく2系統あり、

  1. ご契約前のオペレーションをスコープとするBizOps

  2. ご契約後のオペレーションをスコープとするCSOps&CRE

となっています。シンプルに業務プロセス・組織上の分解点となりやすいところで分かれています。

ご契約後については、プロダクトデータを扱うこともあるのでCRE(Customer Reliability Engineer)と協働しています。BizOpsもCREもこだわりと粘り強さ、そして熱い思いを持ったメンバーが牽引してくれており、積極採用中です…!

具体的なイメージを持っていただくために、求人票から要項を抜粋します。

1.BizOps

▶各種ツールを用いた、ビジネスサイド全体のデータ集約基盤の構築と業務効率化/高度化
(参考)弊社BizOpsチームで取り扱っているサービス例
・Salesforce
・Account Engagement(旧Pardot)
・Zoom Phone
・FORCAS
・Sansan
・Amptalk 等
▶上記の実現のために、ビジネスサイドの業務効率に関わる課題ヒアリング
▶上記の課題を解消するための要件定義およびシステム/業務オペレーション設計(新たなシステムの新規導入検討を含む)
▶各部署(セールス、マーケティング、CS等)と連携した、各種行動データのモニタリング環境の構築
▶データ活用基盤の定期的なメンテナンス

※1人めBizOpsとして奮闘した小林さんの記事はこちら

2.CSOps&CRE

カスタマーサクセス/オペレーションズ&サポート

▶カスタマーサポートおよびオペレーション
・カスタマーサポート機能の運営と改善
・各種ドキュメントおよび公開情報などの保守と改善
・カスタマーサクセスおよびその関係機能などの業務プロセスの改善

▶プロダクト機能に関するオペレーション
・機能要望の集約と連携
・機能リリース時の確認とリリースに付帯するドキュメント等の整備

機能として未分化なところがあるので、カスタマーサポートと兼任のかたちで求人票を作っていますが、求職者の方のキャリア展望やスキルセットをお伺いしながら、ポジション・期待役割を調整しています。

▶プロダクト開発チームに所属しつつ、弊社のカスタマーサクセスチームをはじめとした他部門と連携しながら、顧客の信頼性向上のためのさまざまな課題解決を行っていただきます。

▶以下は、これまでに取り組んだ、あるいは現在も継続中の業務の一例です:
・顧客からの要望をプロダクトに反映させるまでの開発プロセス改善
・カスタマーサポート体制の立ち上げ
・顧客の利用状況をデータで可視化するための設計、基盤構築

▶業務の特性、課題の大きさに応じて、CREチームで一緒に取り組む、あるいは担当領域を分ける、という判断を柔軟に行いながら取り組んでいきたいと考えています。

▶また、上記は一例であり、「どこに解決すべき課題があり、それをどのような手段で解決していくか」を考える部分も一緒に行っていただきます。

直近では、事業・プロダクトの成長にともない、契約形態やサービスオプション販売についても多様化しており、またCS側でもより高度な収益・見込管理の仕組み化のニーズが強まってきました。そのため、BizOpsとCSOps&CREの双方が共同のプロジェクトを立ち上げて動き出しています。

ログラスはシリーズA後のフェーズであり、これからがオペレーショナル・エクセレンスに本腰を上げていくタイミングとなっています。そうしたフェーズですので、職務経歴書を輝かせるような仕事の機会が生まれていくと思っていますので、ご応募お待ちしております…!

ビジネスアジリティとビジネスプロセスマネジメント

さて、通常は記事末に採用・求人紹介があるところを、前提共有を兼ねながら、双方進めました。ここから本題に入っていきます。

このnoteは、xOpsパーソンの読者に

①経営・組織目線も持たなきゃ…!

②自分のxOps活動が、中長期的にビジネスアジリティを下げるリスクがないか考え直そう…!

という気持ちになっていただくことを狙いとしています。

そして提起したい論としては、

xOps文脈における「全体最適」は業務領域やデータだけの話しではなく、ビジネスアジリティを考え時間軸のことも考慮しながら、どこをOpsしてどこをOpsしないか(どんな条件になったらやるか)関係者に説明でき、リソースを確保できることが望ましい"xOpsパーソン"なのではないか、ということです。

事例オタクになっていないか?Doが正義になっていないか?

Ops系職種はSaaS企業界隈では聞くようになりましたが、まだ発展途上です。カスタマーサクセスという職種のほうが少しだけ流布しており、コミュニティの大きさなどもお兄さんなだとは思いますが、同様に発展途上です。

Web上で得られる事例は貴重であり、今回のアドベントカレンダーもとても価値があると思っています。私自身、外部ベンダーの立場で、ITシステム導入や展開、運用のお手伝いをしていたので、事業会社にいてこうした取り組みを推進しているxOpsパーソンをとてもリスペクトしています。

ただ危険なことは「事例をマネしてすぐやってみよう」ということに陥ることです。これから後述していきますが、システム化、業務ルール(ガイド)策定・徹底やプレイブック(イネーブラー)作成・運用は、業務負債になることも多くあります。

昨今のSaaSは種類が豊富になり、始めやすい・止めやすいという特徴もありますが、T2D3のような急成長を目指しているスタートアップ・ベンチャー企業においては、1つのシステム導入プロジェクトの失敗が、事業成長にブレーキをかけることもあります。

成熟した事業・組織においては、相対的にリスク・ダウンサイドは小さくなりますが、それもスコープ次第です。全社員が使うシステムやマニュアルといったものは、レバレッジの大きいですが、失敗した際の反動も大きくなります。

事業と組織のオーナーシップを持ちながら、xOpsパーソンとして考えていくためのキーワードに触れながら、論を進めていきます。

ビジネスアジリティ

ビジネスアジリティについて以下の記事や書籍で理解いただきたいなと思いますが、xOpsを包括し、組織論まで踏み入るものとなっております。

端的に言えば、技術革新や人の好みのトレンドの移り変わりが頻繁になっており、市場の変化が急速に起き続けるので、企業が競争優位を保つためには、ビジネスデータのモニタリングや投資判断の迅速な軌道修正、それを可能にするデータ基盤や組織文化を作っていかなければならない、というコンセプトです。

このコンセプトに則ると「そのOpsの取り組みは中長期的にビジネスアジリティ向上に寄与するか?」という問いが生まれます。

少しドキッとしますね。(私もします)

以下の引用はクラウドベンダーの公式ブログであるため、ポジションを取った言説ではありますが、オペレーショナル・エクセレンスを古きものと位置付け、ビジネスアジリティの獲得・向上をより重要な組織ケイパビリティであると位置付けています。

世界はかつてないほどつながり、(メタバースのコンセプトが本格化し)企業は世界中のマーケットシェアを獲得するため、迅速なスケールアップを模索しています。オペレーショナル・エクセレンスはもはや競争上の優位性ではなく、また地域的な拡大だけでも十分ではありません。ユーザーエクスペリエンスは継続的に改善され、進化していかなければなりません。イノベーションは必要不可欠なものとなっています。市場投入までのスピードは非常に重要です。

クラウド導入: ビジネスアジリティの基石

ここまででビジネスアジリティの概要は掴めたかと思います。

ビジネスプロセスマネジメント

さて、こちらは本記事の読者の方には釈迦に説法かと思いますので、少しだけ触れます。

私がCSOpsと社内で思われていたり、自覚としてビジネスアーキテクトだと思っていたりするのは、この「ビジネスプロセスマネジメント」という汎用スキルを持ち歩いているからです。このスキルを得る機会やナレッジを授けてくださった方々には本当に感謝しています。

さて、私はビジネスプロセスの小単位を以下のように捉えています。そして、xOpsは極論、このオペレーション(インプット→処理手順→アウトプット)、ガイド、イネーブラの改善を担う機能や人であると捉えています。

業務とは何か(その2-ガイドとイネーブラ) ビジネスプロセスの教科書⑫

ガイドは、SaaS言葉で言えばプレイブックに該当しますし、イネーブラは業務SaaS/業務ツールのことですね。

情報が揃ってきたので、ここから具体的に深めていきます。

ビジネスプロセスの硬直性/柔軟性

領域ごとのOpsテーマを相対化する・時間軸を取る

株式会社ネクサフローの代表中村さん渾身のアドカレ初日noteを早速、活用させていただきます。

9000文字超・保存版!BizOpsの重要性とファーストステップ

ここでログラスにおける業務状況を①2022/4,②2022/12,③2023/8をプロットしてみます。実際の時間軸は前後しており、便宜的に埋めているものもあるの完全に真実ではないですがご容赦ください。(詳しく見る必要はないです)

1. 2022/4

2. 2022/12

3. 2023/8

眺めると、少しずつシステム化やKPI管理が立ち上がったり、管理するデータの粒度が細かくなっていることが分かります。

事業の成長と組織の拡大によって、管理の在り方が変わってきています。様々なことが未成熟ですので、ビジネスアジリティを獲得できているとはとても言い難いですが、必要なところは管理を強め、そうでないところは余白を残しています。

例えば、カスタマーサクセス業務において、現在基盤としているのはNotionとスプレッドシート(Google Workspace系サービス)ですが、いずれも柔軟性の高いツールです。

マーケティングやセールスはリードや商談企業の状態・フェーズ管理を厳格に決め、遷移率を追うことで、施策の有効性を測ったりしますが、カスタマーサクセスは(ログラスは特に)お客様によって望ましい状態が異なるため、明確な共通言語になるような定義は今のところ定めていません。

これが何を指すかというと、業務には硬直性/柔軟性が存在し、それは時間軸によって移り変わっていくということです。

「今困っているからxOps施策を立てよう!」というかたちで動いてしまうと、一定の時期がやってくるまで柔軟性を残しておいた方がいい業務もシステム導入で固めに行くことになるかもしれず、9か月経ち状況が変わったらぜんぜん使われなくなってしまうかもしません。

これではビジネスアジリティが高まったとは言えなさそうですね。

ビジネスプロセスの類型

さらに、もうひとつ観点を出します。ビジネスプロセス(業務)は①エッセンシャル(必要不可欠)な活動、②パターン対応できる活動、③カスタマイズで個別性の高い活動、に分類することができます。

すでにxOpsパーソンな皆さまにとってこれも釈迦に説法かもしれませんが、これからの方もいらっしゃるかもしれないので言及します。

根本的に必要かどうかと、個別性と汎用性を少し混ぜた軸になっていますが、実用性は損なわれていないかと思っています。例を図示します。

類型x業務ボリュームx業務例

エッセンシャル業務はxOpsに向いた業務だと言え、逆にカスタマイズ業務はあまり向いていないと言えるでしょう。

1つめのマッピングと、2つめのマッピングを組み合わせ、さらに時間軸を取ると、xOpsの全体像がイメージできたのではないでしょうか。

自分ひとりの力で埋めきらないような場合には、部門の方にヒアリングして、埋めていくといいでしょう。

ビジネスアジリティを意識したxOps

私はこの論を主張していました。

再掲

上記のマッピングが完成すると、xOpsの施策全体像が導出され、xOpsの施策の候補が大量に挙がるかと思います。

こうすることによって「困っているから支援する」ではなく「ある時点から逆算して今やる必然性があるからやる」「XXというxOps施策は、XX部門がXXを終えるまで待ち、そこから着手する」といったイニシアティブを得ることができます。

ビジネスアジリティにはデータ、データ基盤の問題が絡み、さらには組織文化の論点もあるため、この通りに考えれば必ずビジネスアジリティが高まる、というものでもないですが、少なくともビジネスアジリティ上の大きな失点やすぐに陳腐化してしまう取り組みを予防する働きはあると考えています。

xOps施策、特にシステム導入は業務の変更可能性を下げます。プレイブックの作成も、いきなり業務の端から端まで作ってしまうと運用負荷が重くのしかかります。

xOpsが企業にとってその存在感を高めるためにはオペレーショナル・エクセレンスをただ実現することだけなのか、フォーキャスト管理の業務基盤を作り出し、CROを手助けするだけなのか、問う必要があるのではないかと感じています。

xOpsが経営層・関連部門と中長期に起きるイシューを合意し、予算(人的・金銭的リソース)を確保していくために、本noteで紹介したような営みが必要なのではないでしょうか。

おわりに

私自身もSaaS事業に携わりはじめたばかりですが、より高い視座で事業と組織に成長に寄与していけたらと考えています。

もし私の記事やログラスに興味を持ってくださった方がいましたら、以下の応募ページより面談を打診ください。

最後までお読みいただきありがとうございました!


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