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ドラマ城塚翡翠 第1~5話の解説ガイド

数年ぶりに激ハマりしたドラマ invert 城塚翡翠 倒叙集 - 霊媒探偵 - 日テレ の啓蒙活動を日々、独自に行っているのですが(笑)、第1~5話を説明していたところ友人から「裏翡翠の解説はなんとなく分かるけど、所々に脚色が入るし速過ぎて、よく分からん!」という真ちゃんみたいな意見が出てきたので、第5話 #5 VS. Eliminator PartⅡ の中にある第1~3話の各事件を中心に推理ポイントをご紹介しています。これらが分かりにくかったな~という方向けのページです。

【注意!】まだドラマを観ていない方はネタバレになってしまうので、ここから先の閲覧はご遠慮ください!(今すぐ戻るボタンを押しましょう!)

部分的に私なりの理解や解釈が入っていますが、裏翡翠の解説を補足するものとして、ご理解いただけると幸いです。難解な推理部分が分かっているとドラマのストーリーにより集中できると思います。個人的には、翡翠と「透明な悪魔」との壮絶な対決がめっちゃ面白かったので、ぜひそっちにも注目して欲しいですし。

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#1 Iced Coffeeの推理ポイント①~⑨

🍷1.割れたグラスのそばにある「水滴の正体」から分かる事
この水滴が、アイスコーヒーの入ったグラスが落ちて割れた時に飛び散った氷の名残りだと仮定します。一番、その可能性が高いためです。とすると、①被害者が殺害される直前②急冷式でアイスコーヒーを淹れたことが分かります。
①の理由は、グラスに氷が入っていたので前日の飲み残しではなく(味にこだわる人が飲み残しに氷を入れて飲むとは考えにくい)、②はドリップする手間や時間が必要となるから、帰宅直後に空き巣と鉢合わせた説が除外できます(=犯人は空き巣ではない)。

🍷2.被害者が「帰宅直後の服装のまま、急冷式でアイスコーヒーを淹れた」から分かる事
仕事から帰ってきて疲れているはずなのに、すぐに着替えずに急冷式という手間のかかる方法でアイスコーヒーを淹れたことから、③夜、自宅で誰かと会っていた、誰かがいたと考えられます。つまり自分でコケて頭を打ったという単独事故でもないことになります。

🍷3.「空っぽだったコーヒーサーバー」から分かる事
被害者が「急冷式で1杯分だけ淹れるのが難しくて、いつも作り過ぎて飲み残してしまう」と言っていたので、ここでも ④被害者以外の誰かにアイスコーヒーを振舞っていたことが示されています。

🍷4.「アイスコーヒーを飲む場所」から分かる事
部屋の状況から2人で飲んだ場所は⑤狭い2人掛けのソファーやその周辺が考えられます。そこだと体が密着しやすいので⑥被害者と非常に親しい人物であることが分かります。
⑥の性別として異性なら恋人になりますが、被害者には好きな人がいたので異性は除外します。⑦消去法で女性となり、遅い時間帯であることも考慮すると、お泊りパーティーをするつもりだったことが考えらえます。
仮に取っ組み合いの喧嘩になったとして、目の前にある背の低いテーブルから柔らかいカーペットにグラスが落ちてもグラスは割れないことと、実際に割れていたのは別の場所だった事から、⑧グラスが割れていたのは、犯人が何らかの目的や意図を持って割ったことになります。

🍷5.「犯人が氷の入ったグラスをあえて割った」から分かる事
透明なグラスを割るメリットは、割れたガラス片に類似した何か(透明なガラス片など)を紛れ込ませるためですが、普通ならその破片をそのまま回収すればいいはずです。ですが、グラスをわざわざ割って偽装しようとしたことから、⑨犯人は、透明な破片を完全に回収できなかった状態=視力が悪い状態となり、類似した何かとは眼鏡のレンズであることが考えられます。

以上、⑥⑦⑨から「犯人は、被害者とかなり親密な女性で、眼鏡をかけている人物」と推理できるわけです。これらをほんの一瞬で? 翡翠ちゃんはマジで凄すぎます。

#2 Grimoire 包みが開けられた9冊の文庫本

#2 Grimoireの推理ポイント①~⑥

📖1.「10冊目の文庫本が殺害現場に無かった」から分かる事
殺害現場に文庫本を隠す場所は無く、リビングにいる第三者(翡翠と香月)に見つかるリスクを冒してまで、①文庫本を持ち去った者は、そうする必要があった犯人であると推測できます

📖2.「デスクに血で描かれた奇妙なマーク」から分かる事
犯人は通常、分かりやすい証拠をわざわざ残したりはしないはずなのに、②殺害現場のデスクには奇妙なマークが残されていました。①と合わせて考えると、③デスクの上には文庫本が置かれていて、文庫本が置かれていた跡を誤魔化すために奇妙なマークを血で描いたことが考えられます。

📖3.「書斎からリビングを通って文庫本を持ち出した」から分かる事
第三者(翡翠と香月)がリビングにいたのに気付かれずに文庫本を持ち出せたことから、④服装的に文庫本を隠すことができる男性2名のどちらかとなります。ただし、⑤男性のうち1名は、被害者と殺害現場で仕事の打ち合わせをしており、その時に文庫本に触ったと言えば疑われないため、文庫本を持ち出すメリットがありません。

以上、①⑤⑥から「犯人は、殺害現場で打ち合わせをしていない、もう一人の男性(別所)」だと推理できます。

#3 Scarf 正面から首にひも状のモノを巻き付けようとするともたつく

#3 Scarfの推理ポイント①~⑤

🧣1.「2人目の被害者の傍らに落ちていた緑のスカーフ」から分かる事
制服の胸にスカーフ留めが無いため、女子生徒は全員ネクタイ結びしていますが、これは簡単には解けないため、①被害者自身がスカーフを自らほどいたことが考えられます。ただし、このスカーフは凶器ではなかったので、②犯人は別のひも状のもので被害者の首を絞めたことになります。

🧣2.「犯人は、被害者を自然に殺害現場まで連れ出して、スカーフを自らほどかせて、正面から警戒されずに首に凶器を巻き付けることができた」から分かる事
これは状況がかなり限定されている条件です。犯人がこれらを行える方法の例として、③被害者と面識のある親しい間柄の犯人が、④違う色のスカーフと交換しようと持ち掛けたことが考えられます。この場合、⑤凶器は違う色のスカーフとなり(同じ色なら④が成り立たない)、④の申し出を被害者が断りにくかったであろうことも考慮すると、犯人は被害者より上級生の女子生徒と考えられます。

ちなみに第1話から3話までのタイトルは、事件解明のカギとなるアイテムが、ちょっと分かりにくくするためか英語でさりげなく示されています。第2話の Grimoire(グリモワール)は「黒書館殺人事件」を指しているということですね。名作と言われるに相応しい、細部へのこだわりが素敵です。

#4 VS. Eliminator PartⅠの推理ポイント

この話では、最終回の香月逮捕(もしくは翡翠殺人未遂)に向かう重要な仕掛けがいくつも施されています。最終回(#5)のインパクトがとても大きい本作ですが、ミステリー作品としての最大の山場は、この第4話です。

まず翡翠と真、鐘場と蛯名の各チームは連携してないものの、香月に翡翠を襲いやすくするように真が帰省すると嘘をついて姿を隠して、鐘場たちは翡翠を守れるよう翡翠と香月の監視を始めます。翡翠は香月に何度も暗示をかけて、翡翠への殺害動機を強く持たせようとしています。

ここで大事なのは、彼らは連携していないという状況です。まさにスタンドプレーから生じるチームワークが、ここから始まっています(攻殻機動隊S.A.C. ラストの荒巻課長のセリフを覚えている方には、たまらない状況ですよね)。

一方の「透明な悪魔」である香月は、タブレット菓子を9人目の現場に残して、鐘場を殺害犯に仕立て警察を混乱させることで翡翠を襲いやすくする状況を作り出そうとしたり(翡翠は他の被害者と違い、警察と面識があるため)、翡翠の霊媒能力を何度もしつこいくらいに確かめています。自分が「透明な悪魔」だと疑われているかを確認したり、義理の姉の降霊目的を果たせる霊能力があるのかを推し量るためです。

蛯名から翡翠にタブレット菓子の件が報告された後、翡翠は香月が「透明な悪魔」であるとほぼ確信して(タブレット菓子が鐘場を示すと分かるのは、非常に親しい人物に限られるため)、鐘場を犯人とするプランを逆に利用する行動を取り始めます。

この辺りから香月は翡翠に操られ始めます。鐘場が娘の死に囚われるという殺人の動機を持っていると誤解させられ、香月が翡翠を殺すであろう未来を予感する翡翠の霊能力も確かである、と言葉巧みに誘導させられました。

このような彼らの静かで激しいせめぎ合いが繰り広げられつつ、ドラマ制作側は視聴者に対して、姿がまったく見えない「透明な悪魔」が翡翠にジリジリと迫っているような演出をしていて、最終回は本当にどうなるの?という想いを持たせるのに成功しています。

「鐘場さんはお芝居が苦手ですからね」と後日、翡翠は言っていますが、鐘場をキーマンとして香月も視聴者もキッチリと騙されているので、鐘場さんのお芝居は大変お上手だと思います(笑)。

壮絶な駆け引きの結果、翡翠に化けの皮をはがされちゃいましたね。

翡翠はなぜ自らを狙わせようとしたのか?

「透明な悪魔」は、9人も殺害しているのに証拠を一切残していないため、誰が犯人なのかを断定できる決め手のない相手です。そういう証拠を残さない相手に対して、自分(翡翠)を殺そうとする=その人物が「透明な悪魔」である、という決定的な決め手を作り出せます。つまり「透明な悪魔」は殺人未遂の現行犯でしか捕まえられない相手です。

実際、香月は翡翠と一緒に行動していたので襲うチャンスはいくらでもあったはずなのに、翡翠をまったく襲わなかったし、襲うような素振りすら一切見せませんでした。誰も証拠がつかめない完璧な状態になるまで被害者を襲わないなんて、とんでもない用心深さの持ち主です。

始めの方では、翡翠はキス顔を見せつけたり、香月と距離を詰めて本性を探ろうと回りくどい対応をしていましたが、香月にターゲットを絞った後は、香月を思いやる優しい言葉を度々かけて興味をひく言動を繰り返しています。「透明な悪魔」は、20代で黒髪の清楚美人ばかりを狙う性癖丸出しの変態シスコン野郎なので、義理の姉のように被害者を愛してしまうと殺したくなるであろう、このシリアルキラーの特長をつかんだ上での行動をとっていたわけです。

香月の素性(義理の姉の存在や事件、別荘など)については、翡翠が鐘場に伝えた後、警察が調べてかなり詳しく判明していたと考えられます。

私なりの推理ポイントは以上です。ストーリーを理解する手助けが少しでもできたなら良いのですが。私独自の解釈が入っている部分は、これらの話がドラマでありエンタメなので、各自で好きなように楽しむ自由があると思いますので、あえて書かせてもらいました。お許しいただければと思います。

翡翠は、これらの推理を正確に、ほんの数秒で行っているので、とんでもない推理力を持っています。シャーロックホームズも脱帽ですね。この推理力に美貌を生かした演技力を加えれば、霊媒や霊能力に例えたとしても何も不思議に思われないでしょう。

ドラマ城塚翡翠は、意外なストーリー展開や魅力あるキャラクター設定、独特でユーモアたっぷりな掛け合い、映像や効果音も非常に美しくて癒されるし、類まれなミステリー作品の傑作であると思います。こんなに衝撃を受けたのはガリレオシリーズの「容疑者Xの献身」以来で、ぜひ映画化して欲しい!と思った初めてのドラマ作品です。

ミステリー好きの方にはぜひ、ドラマ城塚翡翠を何度も観て、長い夜をドキドキしながら楽しんでもらいたいです。

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