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猫を飼ったことのある人ならほとんどみんな知ってることだと思うんだけど、彼らのご機嫌を損ねないようにぼくら下僕、じゃなかった飼い主は、いつもすっごく気をつけてなきゃならない。 ご飯のお好みはウルサイし水だって常に新鮮でなくっちゃいけないし、トイレの掃除を忘れでもしようものなら百叩きの刑だ。爪さえ出てなかったらそれは、百叩きのごほうびって言ってもいいのかもしれないんだけど。 それと、万が一にでも彼らの失敗(例えばジャンプの目測を誤って無様に床に落っこちるところとか)なんかを
若い王とその妃は、城の一室から窓の外に降る雪を眺めていた。世界は一面の純白で、家も畑も何もかもが、分厚いそのベールの下に覆い隠されてゆく。 暖炉が燃える暖かな部屋の中にいても、その光景は王の体をどこか冷たくさせた。次々と課される税で領民の備蓄は乏しい上に、今年の秋の実りは十分ではなかった。冬を越せない民がいったいどのくらい出ることだろう。 王は、うっとりと雪を見つめる妃にちらと目をやった。彼女の見事な髪は頭上に高く結い上げられていたので、整った横顔があらわになっている。