ひとと食べるご飯

私は一人で食べるご飯が好きだ。
その時自分が食べたいものと、自分の財布とで相談しながら、食べるものを決めて、時間が許せば、遠くまで食べに行ったり、凝ったものを作ったり。反対に、人には見せられないような雑なものを作ったりする。
そして、食べ物と私は一対一で向かいあう。
匂い、見た目、箸で一口大をどのようにとるのか、風味、味、食感、すべてに集中して食事をすることができる。
美味しかったら、心の底から美味しがることが出来る。
私は美味しいと、身体を左右に揺らす。
そうやって、美味しくご飯を食べることが大好きだ。

でも、人と食べるご飯はダメだ。
何を食べるか決めるのにも制約がありすぎる。
その場から近い場所で食べれるものや、簡単に手に入るもので、相手によっても、入る店が変わってくる。
女の子だったら、長居できそうな店。チェーン店ではなく、こじゃれたところ。
男の子だったら反対に、あまり女の子ばかりの店は申し訳ないから、相手の食べたいものに合わせたりする。
チェーンの回転寿司を食べたくても、お洒落なイタリアンに何千円も払わなくてはいけない。嘆かわしい。
食べている最中も、相手との会話をしながらで、味やにおいや食感などを楽しむことはできない。
ましてや、どうやって一口大にすくうかなんて、考える余裕はない。
味もよく分からないまま、会話を盛り上げることに終始し、これだったら美味しくもない完全栄養食を食べても、さして変わらないな、と思う。

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