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リキュールのウイルキソン割り
数年前までわたしはお酒がほとんど飲めなかった。なので、ビールと同様に泡の出る炭酸ジュースを飲んでいた。そんなのを飲んだってお酒代わりにならないのに。
店頭でウイルキソンタンサン、ウイルキソンタンサンレモンを見つけたのはいつだっけな。強炭酸って飲んだことないや、買ってみよう。そんな軽い興味本位でその二つを手に取った。
強炭酸というだけあって、蓋を開けると大きな音、口のなかに気泡が広がった。すぐにげっぷがでた。初めての体験。甘くない。水と炭酸しか入ってないから当たり前。わたし甘いものが好き。時を置かずにすうっと離れていった。
彼らと再会したわたしが手に掴んでいたのはリキュールだった。いらいらする。お酒が飲みたい。でも弱いから飲めない。そうだ、リキュールに何かを混ぜれば飲めるかも。グラスに氷を入れる、十分の一程度のリキュール、残りはウイルキソン。グラスにぱああっと泡が立つ。泡がおさまったころマドラーという名の箸でぐるぐる混ぜた。
うまいじゃん。
お酒好きの人から見たら、なんちゅう物を飲んでんの、それはお酒じゃないと言われるかもしれないけど、わたしにとってはこれは立派なお酒。桃のリキュールとか、みかんとか、梅酒とか相棒はたくさん変わったけど、変わらないのはウィルキンソンだけ。
最近、曾祖父の生まれ故郷の愛知県幸田町を訪れた。そこにある道の駅の筆柿の里・幸田で筆柿リキュールなるものを購入した。小さな瓶なのに高かった。ラベルによると、筆柿は普通の柿よりも濃厚な甘みがあるらしい。鶴三郎さん(曾祖父の名前)の誕生日の二月十五日に飲んでみようかな。153才のお誕生日おめでとうございます。あなたのおかげでわたしはいまここにいることができます、なんてカッコつけて。照れ隠しをごまかすために必要以上にグラスをがしゃがしゃと混ぜながら。