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イギリスをレンタカーでドライブする(その2)

3.予約する

 ここまで読んでくださった皆様は、恐らくイギリスでのドライブにそれなりの興味をお持ちの方だと推察する。元々、このテキスト自体が、ごく少数の皆様にだけ必要となるような深掘りした情報を提供したいと思って書かれている(笑)。

 …で予約だ。まず、何処でレンタカーを借りるかを決めなければならない。通常なら空港で借りて空港で返すのだろう。イギリスでもそれが一番間違いない。

 ただ、注意しなければならないのは、ロンドンだ。日本からの航空便が到着するヒースローからレンタカーを借り出すのは全く良いのだが、ここから車でロンドン市内に入って、ロンドンを車で観光しようとは思ってはいけない。
 ロンドンの中心部でタクシーにでも乗ってみればすぐわかる話だが、市内は東京とさして変わらぬほどに渋滞している。移動に時間はかかるし、駐車場もそんなに多くない。
 何より、ロンドンの中心部(地図で指定されている)を走る車は全てナンバーがチェックされており、事前に混雑税(2020年現在1日15ポンド)の支払いをしておかないと罰金を取られるという仕組みになっている。これは都心部の渋滞を緩和するために行われている措置らしい。
 このテキストはイギリスでのドライブを大いに薦める趣旨で書かれているが、ロンドンの街中はレンタカーでのドライブはお勧めしない。素直に地下鉄(Underground)や名物二階建てバスで観光する方が賢明だ。

 では、初めてのイギリスでロンドン観光を終えた貴方は(流石に初めてのイギリスでロンドンを観光しないというのはないだろう)どこから車を借り出せば良いのだろうか。
 勿論、ロンドンは大都市で、市内にもいくつもレンタカー屋はある。ビクトリアステーションなど大きな駅の近隣にもレンタカー屋の営業所が集まっている。ただ、筆者のお勧めは敢えてヒースロー空港まで行って空港の営業所から借り出すことだ。
 空港だから交通手段に迷うことはほぼない。地下鉄でもヒースローエキスプレスででも空港に到着したら、そのまま到着ロビーに行き、レンタカーの表示に従って歩けば良い。ヒースローの場合はバス乗り場の一角にレンタカー会社の車の発着する場所があるので、そこで予約したレンタカー会社の車を探して乗れば良い。(車は頻繁に発着している。)
 空港から乗り出すと、「空港施設使用料」なる金(日本円で数千円だったと思う)を取られるのが玉に瑕だが、空港の営業所は大規模でシステマチックだし、何より帰りはそのままターミナルに送ってもらえるので、そこから帰国便にチェックインすれば良い。帰りも営業所を探してうろうろということはあまりないのが嬉しい。(一回、ヒースローで車を返す前に満タン返しをするためにガソリンスタンドを探し回ったことはあったけど。)

 借り出す場所と返す場所(同じ会社の営業所であれば同じでも別の営業所でも良いのは日本と同じ)さえ決めたら、インターネットから予約する。Hertz やAbisなどの大手であれば自社サイトからでも予約を受け付けているが、大抵の場合は安くない。筆者の場合は rentalcars.com というサイトで予約することが多い(と言ってもまだ2回くらいしか使ってないが)。
 ここで、借り出す日時と場所、返却する日時と場所を選んで検索するといくつもの候補が出てくる。注意して欲しいのは、この値段でそのまま借り出せると思わないことだろうか。事故の際、レンタカー会社や警察、相手と十全に交渉できるほどの語学力と根性があれば良いのかも知れないが、そうでない日本人はやはり保険だけは完全にしておきたい。恐らくは営業所で借り出す際、様々な保険をオプションで提示されることになる。ある程度必要と思われるオプションを申し込んでいくと、結構それなりの金額になる。免責保証等も申し込めるなら申し込んだ方が良いだろう。そちらの方が精神的な安心感を得られる。(どこぞのネットの掲示板で大体最初の提示金額と同じくらいのオプション費用が掛かるというコメントを見たことがあるが、実感値もこれに近い。)

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 車は人数が多かったり、予算に余裕があれば、大きな車も良いだろうが、2人くらいならコンパクトカーで十分という気がする。前回はスコットランドのエジンバラからロンドンまであちこち寄り道しながら800キロほどドライブしたが、ホンダのフィット(現地名ではJAZZ)で十分快適にドライブできた。
 オートマはいきなりレンタカー代がかなり高くなってしまうが、マニュアルで不安があるなら躊躇なくオートマで予約すべきだろう。いくら交通ルールが似ているとはいえ、慣れない外国で慣れないマニュアルに乗るとかは絶対にやめておいた方が良い。ここはケチるところではない。チャイルドシートも必要なお子さんを同行するなら選択の余地はなく、申し込むしかない。
 逆にまず不要なのはナビ。ナビそのものは必要なのだが、貴方の手元のスマホで十分なので、一日15ポンドも払って借りる理由がない。それにスマホでGoogle Mapでも使った方が音声も日本語で圧倒的に便利だ。

 オプションを決めたら、あとは申込をすれば良い。そのままクレジットカードで決裁しても良いし、あとで現地決裁にしても良い。何れにせよ、現地ではレンタカー代とは別に一定のデポジットを入れることになる(借り出し期間にもよるのだろうが、日本円で数万円程度)。

4.借り出す
 空港に着いたら、まずはレンタカーの営業所を探すことになる。ヒースローであればバスの発着ブースにレンタカーの営業所の車が発着する一角があるはずだ。エジンバラの空港であれば到着ターミナルを出て歩いてけば営業所がある。
 借り出しの手続は日本とそんなに変わるわけではない。日本でレンタカーを借りた経験があって、ある程度の英語がわかれば何とかなるだろう。ただ、確実にナビなどのオプションや追加の保険の売り込みがあることは覚悟する必要がある。ここで、全ての売り込みを断ると良いかというと必ずしもそうではない。ナビなどは前述の通りGoogle Mapを使うとしても、保険はここで必要なものを追加しておく必要がある。
 賠償責任保険、車両保険、搭乗者傷害保険、盗難保険、更にはガラスの保険は別立てになっていたり、免責補償なんてのもある。
 勿論、オプションを付けなくても最低限の保険は付いているが、よく見ると1,000ポンド(15万円とかになる!)まで免責とかにされていたりする。こうなると、ちょっとした飛び石くらいだと保険が効かず、請求が飛んでくる羽目になりかねない。従って、慣れていない我々は多少高いと思っても、保険だけは一通り追加しておくのが良い。あと、同行者が運転する場合には運転者を追加するオプションも追加しておかなければならない。これも安くはないが仕方がない。
 スタッフの激しい売り込みをクリアーして、持参してきた国際免許証と日本の免許証、それに予約の時に使用したクレジットカードを渡せば手続は進んでいく。何枚かの書類にサインを求められるだろうから、ある程度内容を確認した上でサインする。
 契約書類のコピーとともに車の鍵を預かる。本来であればスタッフとともに傷のチェックだが、イギリスの場合そこまで厳格にチェックしないことが多い。鍵を渡されて、車種とナンバーを教えてもらって、置いてある大体の場所を聞いて自分でピックアップすることになる。
 それではさっさと乗って出発すれば良いかということそうではない。スタッフがいなくても自分自身で傷や凹みがないか自分で良く確認しておく。できれば、スマホで一通り写真を取っておくのが良いと思う。勿論、傷や凹みがあればすぐスタッフに申告する。乗り出してからでは抗議は受け付けてもらえないだろう。予め付いていた傷や凹みは申告して、返却するときに賠償を求められないようにする必要がある。
 次に、動かす前にスイッチやギア、運転操作を一通り確認する。私は出会ったことがないが、シフトレバーを上から押し込まないとリバースに入らない…などという車種もあるらしい。また、イギリスの車は日本と同じ右ハンドルだが、ワイパーとウインカーは日本と逆に付いている(日本でも右ハンドルの輸入車はやはり逆のことが多い)。交差点を曲がろうとして、ワイパーを動かしてしまう…というのは、海外で運転した日本人なら一度は経験する「あるある」ではないか。勿論、操作がわからなければ遠慮せずスタッフを呼んで確認する。いざ、バックしようとして方法がわからない…などということのないように。
 それと、スマホをナビにする場合はここで取り付けておくのが良い。最近はUSBの給電口を付けた車も増えたが、ない場合も考えられるので、予めシガレットライターソケットからスマホの電源を取れるようなコードを日本で調達して持って行くのが良い。また、運転しながらスマホを使うことになるので、吸盤でダッシュボードにスマホを取り付けるスタンドも用意しておくのが良い。
 セットさえすれば、日本でするのと同様、Google Mapで目的地を探して「ここへ行く」と指定すれば、音声でナビをしてくれる。
 車の操作も理解して、ナビの準備ができたら出発しよう。

(その3へ続く)

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