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短 歌 随 想 ⑾『 斎 藤 茂 吉 』



  わ が 病
     や う や く 癒 え て 心 に 染(し) む
              朝 の 経 よ む 穉(おさな) 等(ら) の こ ゑ  

  斎  藤   茂  吉    

  

 1920年、長崎医専教授だった茂吉はスペイン風邪にかかり、50日近く病に伏した。
 日本でも38万人が死亡したが、第1次世界大戦の最中、特にドイツ軍で広がり、敗因の一つとなった。
 パリ講和会議では、独り賠償金に反対していたウィルソン米大統領が、スペイン風邪にかかり体力も気力も奪われて意見を通せず、多額の賠償金が課された結果、その後のヒトラーの台頭を招き、3年後留学した茂吉が「行進の歌ごゑきこゆHitlerの演説すでに果てたるころか」と歌うことになる。
 さて、新型コロナウイルスは歴史にどんな爪痕を残すだろうか。

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