レンタルビデオ屋にて

「店長、いつも思うんですけど大量に入荷する洋画の新作ビデオとかって、旧作になるころにはだいぶ数が減ってますけど、これって全部販売して減らしてるってことですか?」
「ちがうよ、レンタル用のビデオって市販のものより高いんだから、それを数千円で売っぱらったところで微々たるもんだろ?」
「そっか・・・じゃあどうしてるんです?」
「月に何回か中国人の帽子かぶったお兄さんが事務所に来てるの見たことない?」
「ああ、いつも店長と話してる」
「そう、あの人。あいつが買ってくれるのよ、毎回」
「へえ~」
「でさ、あいつが先物取引みたいに仕入れる前に買い取り価格を提示してくれるから、こっちはそれを参考にして仕入れの数を調整できるわけよ」
「なるほど。で、買い取ってもらったビデオはどうなるんです?」
「駅前の商店街に空いてる店舗とかで、臨時でレンタル落ちビデオのワゴンセールとか見たことない?」
「あっ、あれ」
「そう、あれ。うまくできてるだろ?世の中って。すごくエコでもあるよな」
「へえ~・・・今から数十年後、レンタルビデオ自体がなくなったらそういう人たちってどうなるんですかね?」
「そりゃいなくなるよ、ってか俺たちも商売なくなるじゃん」
「そっか・・・店長はそうなったらどうします?」
「ビデオじゃなくなっても映像はなくならないだろうからその映像を入れるカードみたいなのを貸す商売じゃない?」
「その映像が見れるカードみたいなものはレンタルなんですか?そのカードでいろんな映画観れるわけではなく?」
「それは物理的に無理だろ、バカかオマエ」