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【賃貸】単身高齢者入居の備え。残置物処理の死後事務委任契約のメリット
賃貸管理会社のアンケート
単身高齢者入居に関する業界紙からのアンケート報告記事(全国の管理会社に聞いた! 高齢入居者の受け入れ どうしてる?)によれば
単身高齢者の入居に関して、「残置物撤去に関する入居者との取り決め」として、①オーナーに委託したり、②所有権放棄の承諾を緊急連絡先の方と事前に書面を交わしたり、③連帯保証人への委任条項を契約書に記載したり、と各社対策をとっているようです。
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どの会社も、国交省が提示している死後事務委任契約を挙げていないのが気になります。
死後事務委任契約は、第三者との間で締結することが望ましいとされています。
なぜかというと、オーナーとの間では利害対立があるということから民法や消費者契約法上により無効になるリスクがあると指摘されています。また、委託者の連帯保証人が相続人だった場合には、他の相続人との間でのトラブルを生むかもしれません。
残置物処理等の委任契約
残置物処理等の委任契約は、単身高齢者が亡くなった後の処理を簡略化、定式化するためのものといえます。
そして、賃貸人、入居者、管理会社その他すべての関係者にとって、導入するメリットしかありません。
賃貸人にとってのメリット
借家人が死亡した場合には、通常、以下の対応が必要となります。
① 相続人調査
賃貸借契約は借家人の相続人に承継されますので、契約の解消のためには相続人全員の同意が必要となります。相続人全員の所在がわからなければ、弁護士等に相続人調査を依頼することとなります。
② 相続人との交渉
相続人全員との間で、賃貸借契約の解消ができた場合にも、残置物の撤去を相続人にしていただく必要があります。
③ 相続財産管理人選任
相続人がいない場合や、相続人全員が相続放棄をした場合には、相続財産の管理人を選任する必要が生じ、家庭裁判所へ申し立てが必要となり予納金(通例では100万円程度)を要することとなります。家庭裁判所の審理のために必要な期間(通例では6カ月程度)もかかります。
残置物処理等の委任契約を締結しておけば、上記の①②③の対応の必要がなくなります。すぐに賃貸借契約解消と残置物撤去をすることができ、次の入居者募集の段階に進むことができます。
入居者にとってのメリット
入居者にとっても、亡くなった後の処理の手間やコストを相続人にかけさせないというメリットがあります。
入居者の相続人にとっても、無用な手間暇がかからないで済むこととなります。最悪のケースに至ると原状回復費用で結構な金額の特殊清掃費用を負担する可能性もありますがそれを避けることができます。
不動産管理会社にとってのメリット
管理会社にとっても、通常であれば、入居者の相続人に連絡を取ったり、オーナーに相続人との交渉の必要性を説明したり、家庭裁判所への申し立てにあたって弁護士に相談したりすることとなり、不必要な事務が発生しますが死後事務委任契約を締結しておけば不要となります。
逆にオーナーに対してメリットを説明して死後事務委任契約の導入を勧めておかないと、管理委託契約における善管注意義務違反で損害賠償請求をされる可能性もあるといえます。
なお、特殊清掃が必要なケースとなった場合には、次の入居者への重要事項説明として心理的瑕疵を説明する義務が発生します。
家賃保証会社にとってのメリット
家賃保証会社にとっても、早期の対処で空家賃の保証が減り、コストダウンが期待できます。
残置物処理等委任契約は、不動産オーナーや不動産管理会社にとって、非常に有益な対策です。万が一の事態に備え、安心して物件を管理するために、ぜひこの契約を検討してみてください。詳細やご相談は、以下のお問い合わせ情報からお気軽にどうぞ。
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所属 大阪弁護士会所属(登録番号51908)
経歴
・平成24年立命館大学法務研究科法曹養成専攻修了。
・平成25年司法研修所入所(第67期)。
・令和5年喜多啓公法律事務所を開業。