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戦略の本質は「やらないこと」を決めることにある

✔︎ 有限なリソースを最大限に活用するために、選択と集中が不可欠だ
✔︎ すべてに手を出すのではなく、最も重要なものに全力を注ぐ
✔︎ 何をやるべきかだけでなく、何をやらないかを明確にすることで、成果が最大化される

#イノベーション #戦略 #集中と選択


資源は有限だから「やらないこと」を決める

戦略の本質を一言で表すとすれば、それは「やらないことを決めること」に他ならない。企業活動における時間、資金、人材などのリソースは無限ではない。むしろ、それらは常に制約の中にある。すべての施策に手を出していては、結局どれも中途半端に終わり、目指すべき成果に到達することはできない。

たとえば、Appleが世界的なブランドとなった理由の一つは、その「選択と集中」にある。ジョン・スカリーにAppleを追い出されたスティーブ・ジョブズは、復帰後無数にあった製品ラインを大胆に削減し、わずか4種類に絞った。これは「やらないこと」を明確にした象徴的な例だ。結果として、Appleは限られたリソースを最重要製品に集中し、圧倒的な成功を収めた。

企業や個人がリソースを最大限に活用するためには、「やらないこと」を決め、明確な優先順位を設定することが不可欠なのだ。

「選択と集中」が差別化するブランドを生む

何をやらないかを決めることは、何をやるかを明確にすることと表裏一体である。「選択と集中」は、そのプロセスの中核を成す概念だ。戦略の要点は、「目の前のすべての選択肢に飛びつかないこと」だ。むしろ、目指すゴールに直結するものだけに全力を注ぐ姿勢が、成果を生む。

たとえば、スターバックスの創業者ハワード・シュルツは、「ただのカフェ」という概念から脱却し、「第三の場所」というコンセプトを掲げた。その結果、スターバックスは単なる飲食の場を越え、人々が交流やリラックスを楽しむ空間として進化した。これも、戦略的に「やらないこと」を決め、選択と集中を実践した結果である。

同様に、あなたのビジネスでも、重要なのは「すべてをやろう」とするのではなく、「最もインパクトのある施策」にリソースを集中させることだ。それによって、競合に対する差別化要素が明確になり、顧客にとってのブランドへと繋がってく。

「やらないこと」を決める具体的なプロセス

やらないことを決めるのは簡単ではない。なぜなら、どの施策にも魅力的な側面があるからだ。だが、それを避けていては、戦略的な判断ができない。以下のプロセスを参考にしてほしい。

①目的を明確にする
すべての戦略は目的から始まる。達成したい具体的なゴールを明確にし、それに直結しない施策を切り捨てる覚悟を持つことだ。

②施策を洗い出し、効果を評価する
現状の施策やアイデアをすべてリストアップし、それぞれの効果やリソース消費を客観的に評価する。

③優先順位を設定する
リソースを最適に配分するために、優先順位を明確にする。判断基準は、「ゴールへの貢献度」と「実現可能性」だ。

④やらないことリストを作成する
「やらないこと」を具体的にリスト化し、チーム全体で共有する。これにより、リソースが分散するリスクを防げる。

⑤定期的に見直す
戦略は固定されたものではなく、常に変化する環境に応じて見直しが必要だ。定期的に「やらないことリスト」を再評価し、不要な施策を見直すことが重要である。

やらないことを決める勇気が組織を強くする

やらないことを決めるのは簡単ではない。特に、関係者からの反対意見や、「これもやるべきではないか」という誘惑がある中で、何かを切り捨てるのは勇気のいる行為だ。しかし、その勇気が組織やプロジェクトを強くし、成功へと導く。

トヨタ生産方式の「カイゼン」にも同様の考えがある。「付加価値を生まないムダを排除する」という考え方だ。これもまた、「やらないこと」を明確にし、重要な部分に集中する戦略の一環だ。

やらないことを決めることで、リソースはより効率的に活用され、チーム全体の焦点が一致する。結果として、目標達成までのスピードが加速し、成果が最大化されるのだ。

「やらないこと」が未来を拓く鍵となる

戦略とは、「すべてをやること」ではなく、「やるべきことに集中すること」だ。そのためには、勇気を持って「やらないこと」を決める必要がある。すべてに手を出すのではなく、最も重要なものに全力を注ぐ。このシンプルな原則が、事業やプロジェクトを成功に導く鍵となる。


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