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Footprintsのコード進行分析

先日、台湾のジャズワークショップに参加してきました。初心者ジャムセッションと言った体で、アドリブをどのように考えるかということを、バークレーでジャズを学んできたギタリストが、色々とアイデアを教えてくれました。
その中に、目から鱗の話があったので紹介します。

スタジオでのジャムセッション
立ってレクチャーをしているのがPG

原曲のコード進行

原曲のコード進行は下記のようになっています。ジャズバイブルの黒本では、20小節目はA7ではなくE♭7となっていますが、Substitution Dominantなので機能は同じですね。
このうち、17から20小節目の部分を黒板に書き出し、質問を始めました。

Footprintsのコード進行 by IReal Pro

僕の考えていた疑問

この部分は黒本では下記のような進行になっています。

F♯m7♭5 | F7 | E7 | E♭7

僕はこれを下のように変えて弾いています。

F♯m7♭5 | F7 | Em7♭5| E♭7

3番目のコードをEm7♭5に変えているのは、メロディーにB♭の音があるので、こちらの方がフィットすると考えたことが理由です。

なので、この部分をどう解釈しますかと質問があったときに半音進行でコードが降りていっていますと答えました。ただし、自分では腑に落ちていなかったことがあります。
それはこの進行の後にCmに解決していることです。Em7♭5 | E♭7ときたら、Dmに解決するのがセオリーです。それが、この曲ではCmになっている。これは曲としては面白い曲だし、しっくりきているのだけど、理屈に合わない。そんな風に思っていました。

ギタリストPG

PG Weng

この日のホストギタリストPGは、この一年ほど台湾のジャズシーンで活躍を始めています。アメリカで学んだあと中国でも演奏活動を続け、一年ほど前に台湾に戻ってきています。僕は彼のライブをもう10回ほど聴いたでしょうか。
そもそも、この日のジャムセッションに参加したのは、このPGと一緒に演奏してみたかったからでした。リスナーとして知り合うのと、ミュージシャンとしてセッションするのとでは、やはり相手方の印象が変わります。これまでも色々なジャムセッションで、リスナーだったのが実は楽器ができると認めてもらっていたことがあったので、そのチャンスと、この日のジャズワークショップに参加していました。

PGは、普段はとても寡黙なミュージシャンです。話をしても話題がなかなか続かない。そういう印象だったのですが、この日は全く違いました。コード進行の理論について滔々と話を続けていました。全く別人かと思うほどでした。
それに、彼はこちらの弾く音に非常に鋭く反応します。メロディックマイナーでスケールを弾いて下さいと言われ、あたふたと音を出したら、間違っていますと指摘され弾き直しました。僕は自分のアウトプットに関しては自覚的に行えますが、他人の音をそこまで正確には拾えません。ジャズで相手のソロに反応するというのはこういう事かと感心しました。

Ⅱ-Ⅴ

F♯m7♭5 | F7 | Em7♭5 | E♭7

PGはこの部分はⅡ-Ⅴになっていますと解説を始めました。そしてこの半音進行はSubstitution Dominantを使っていますと説明しました。上記のコードは下記のように読み替えることができますと、そこまでは理論として知っていました。

F♯m7♭5 | B7 | Em7♭5 | A7

前段がEm7に解決する、後段がDmに解決するⅡ-Ⅴですと。ここまでは既知の情報だったのですが、その次が目から鱗でした。

「なのでこの部分は、Em7 | Em7 | Dm7 | Dm7としてアドリブを取ることができます。」

これを聴いてなるほどと思いました。こう理解すれば、そのあとCmに進むという理屈がストンと腑に落ちます。そして、Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ という進行を全てⅠのコードでアドリブを取れば良いと考えると、フレーズの作り方もとても簡単にになります。

このPGは全く譜面を見ないギタリストです。それなので、音楽の構成をとてもシンプルに捉えている。Footprintsの曲全体を

Cm | Cm | Fm | Cm | Em | Dm | Cm

と理解しているわけですね。こういう構成になっていると考えれば、移調してもそれに対応するのは容易です。
全く、なるほどと思ったワークショップでのレッスンでした。

ハーモニックマイナーとメロディックマイナー

そして、最後の部分の3つのマイナーコードに対して異なったスケールを考えるのだと説明を続けました。

Em7:ハーモニックマイナー
Dm7:ハーモニックマイナー
Cm7:メロディックマイナー

これも初めて聞く話でした。僕はm7thコードが出てくると、自動的にドリアンスケールで弾いています。これは、m7thコードに全音上のコードを重ねるのが最も破綻のないスケールになると考えているからです。このように考えると、

1 | 2 | m3 | 4 | 5 | 6 | 7th

という音の並びになり、ドリアンスケールになります。

それに対して、ハーモニックマイナーやメロディックマイナーを使うというのは、どういうことなのか、これはもうしばらく研究してみましょう。



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