Step❹:戦略課題を明確にする(SWOT分析)
〜むっちゃシンプルな戦略思考〜
Step❹ 戦略課題を明確にする(SWOT分析)
“具体的かつ効果的な戦略を立案するためには、SWOT分析で、戦略的に解決すべき重要な戦略課題を明確にすること。
つまり、KSI(Key Strategic Issue)を明確にする”
▶︎これまでの分析の流れ
戦略をつくるにあたり、あらためてこれまでの分析の流れを整理させていただきます。
Step❶ 世の中の大きなトレンドを理解する(PEST分析)
このステップでは、PESTのフレームワークを活用し、世の中の大きなトレンドを理解します。
ここでのポイントは、そのトレンドが自分たちの事業や仕事にどのような意味合いがあるのかまで考え導き出すことです。
これにより、大きな方向性を間違えることなく、世の中のトレンドに乗り、中長期的な視野に立った戦略を考えることができます。
市場分析でのポイントは、戦う市場における顧客のインサイト(真のニーズ)を明確にすることです。
顧客インサイトを明確にすることで、顧客が本当に求めていることや、顧客が直面している本質的な課題を理解することができます。
これにより、より効果的な戦略を考えることが可能となるのです。
言いかえると、「顧客インサイト(顧客の真のニーズ)を理解することが、戦略の良し悪しを決める」と言っても過言ではありません。
競合・自社分析の際のポイントは、、、
⑴ 情報収集の「軸」を明確にすること
⑵ 競合・自社の強み/弱みを相対的に理解すること
⑶ 表面的な強み/弱みを本質的な要因まで落とし込むこと
そうすることで、効率的・効果的に敵と己を理解することができ、
より効果的な戦略を考えていくことができるのです。
これまで、Step❶❷❸の分析を実施してきましたが、、、
この段階で力尽きたり、ここで満足してしまうケースをよく見受けられます。
しかし、戦略つくりの本番はここからです。
でも、ここまでのステップでしっかりと深い分析できていれば、この後のステップがとてもスムーズに考えていくことができます。
このあとは、SWOT分析というステップに入りますが、どのように分析していけばいいのか解説していきたいと思います。
▶︎SWOTとは?
SWOTとは、何なのか?
まず、SWOTについて説明させていただきます。
SWOTとは、以下の要素の頭文字を取ったフレームワークになります。
Strengths(強み)
Weaknesses(弱み)
Opportunities(機会)
Threats(脅威)
このフレームワークは、戦略を検討しやすくするために使用します。
これまで、Step❶(PEST分析),Step❷(市場分析),Step❸(競合・自社分析)で検討してきた要素を、SWOTのフレーム(強み/弱み/機会/脅威)に当てはめて再整理することで、戦略を考えやすくなります。
もう少し補足すると、SWOTのフレームワークを活用することで、
何が我々にとっての機会なのか?何が我々にとっての脅威になるのか?を分かりやすく整理することができます。
さらに、自社の強みを活かして何ができるのか、自社の弱みがリスクとならないようにどう対処するか、といった感じで戦略を考えやすくなります。
▶︎SWOT分析のやり方
まずは、一般的なSWOT分析のやり方を紹介させていただきます。
⒈ SWOTのフレームワークに沿って情報を整理する
まずは、これまでの分析結果(PEST分析、市場分析、競合・自社分析)を基に、情報を以下の4つのカテゴリーに再整理します。
Strengths(強み):自社の強み
Weaknesses(弱み):自社の弱み
Opportunities(機会):外部環境から生まれるビジネスチャンス
Threats(脅威):外部環境からのリスクや障害
⒉ クロスSWOT分析
次に、クロスSWOTという手法を使い、分析していきます。
この手法では、以下のように各カテゴリーの情報を掛け合わせて、戦略を考えます。
強み × 機会:自社の強みを活かしてどのような機会を捉えるか
強み × 脅威:自社の強みを活かしてどのように脅威に対応するか
弱み × 機会:弱みを補うためにどのような機会を活用するか
弱み × 脅威:弱みがリスクにならないようにどのように対策を講じるか
一般的には、このように
⒈ SWOTのフレームワークに沿って情報を振り分け、
⒉ クロスSWOTで分析し、戦略を考えていくのですが、
このときのよくあるケースを次に紹介させていただきます。
▶︎SWOT分析のあるある
SWOT分析の際、よく見かけるのが次のケースです。
⒈ 事前の分析が不十分で、情報過多により、戦略検討の焦点がぼやけるケース
これまでのPEST分析、市場分析、競合・自社分析が不十分だと、収集した情報が表面的なものにとどまり、深いSWOT分析ができません。
この結果、表面的な情報の羅列に終わり、大量のデータが集まり分析が非常に難しくなってきます。
どういうことかというと、SWOTの各フレームに大量の情報が記載されると、クロスSWOT分析を行う際に掛け合わせる要素が多くなり、分析が複雑になってしまいます。
その結果、何をやっているのか見失い、戦略検討の焦点がボケてしまうというケースです。
これは、PEST分析、市場分析、競合・自社分析の本質を理解せずに実施しているとこのような状態になってしまいます。
しかし、なんのためにPEST分析、市場分析、競合・自社分析をしているのか、それぞれの分析のポイントをしっかり押さえてシンプルに分析できていれば、SWOT分析においてもシンプルに分析することが可能となります。
⒉ SWOT分析からいきなり戦略を考えるケース
SWOT分析からいきなり戦略を考えていくことが間違いではないのですが、より効果的な戦略を考えたいのであれば、クロスSWOT分析から、直接的に戦略を考えるのではなく、戦略課題を明確にするステップを入れることで、より具体的で効果的な戦略をつくることができます。
そのように考えると、SWOTから直接的に戦略を考えているケースが非常に多いです。
▶︎SWOT分析のポイント:戦略課題(KSI)を明確にする
SWOT分析のポイント①:これまでの分析結果をSWOTにシンプルに整理
1つ目のポイントは、
これまでの分析結果(PEST分析、市場分析、競合・自社分析)を、そのままシンプルにSWOTで整理することです。
これまで行ってきたPEST分析、市場分析、競合・自社分析で、表面的な分析ではなく、本質的な要因まで深く分析できているので、その内容をそのままSWOTのフレームで整理するだけです。
これまでの分析結果をそのままSWOTで整理すると、極めてシンプルな情報になると思いますが、本質的な意味合いや要因まで深く検討しているので、情報過多にならず、効果的なSWOT分析が可能となります。
言い換えると、これまでの分析(PEST分析、市場分析、競合・自社分析)で、戦略つくりの勝負が決まっていると言っても過言ではありません。
SWOT分析のポイント②:戦略課題(KSI)を明確にする
2つ目のポイントは、
戦略的に解決すべき課題は何なのか、戦略課題(KSI)を明確にすることです。
この戦略的に解決すべき重要な戦略課題を、KSI(Key Strategic Issue)と定義させていただきます。
なぜ、SWOTで整理した情報やクロスSWOT分析から、直接 戦略を考えるのではなく、戦略課題を明確にした上で戦略を考えるのか?
それは問題解決のアプローチと同様です。
つまり、ある問題が発生した際、その問題点から直接対応策を考えると漠然とした対応策になってしまいます。
しかし、その問題の本質となる課題を明確にした上で、その課題に対する対応策を考えると、より具体的で効果的な対応策を導き出すことができます。
戦略を考える場合も同様で、SWOTの情報から直接敵に対応策となる戦略を考えるよりも、戦略課題を明確にした上で戦略を考える方が、より効果的な戦略を考えやすくなるからです。
つまり、SWOT分析の本質は、重要な戦略課題であるKSI(Key Strategic Issue)を明確にすることです。
これにより、具体的かつ効果的な戦略を立案することができるのです。
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