FP1級実技試験面接(2024年6月9日 PART1)
当日の設例はこちらの金融財政事情研究会のHPを御覧ください。
https://www.kinzai.or.jp/uploads/lib/question/202406/fp01_j_0609part1.pdf
PART2がトップバッターで終わって、PART1の試験まで1時間あります。
やっぱり法改正でるなぁという感想で終わったPART2
次の試験まで見ていたのはラスパーさんの伏線回収シリーズ、こちらを印刷したものでした。
1.設例読込(15分)
問題文が配られるとすぐにPART1用の2つの呪文を書き連ねます。
過去問をやる度に書き記してきた呪文。
どこから拝借してきたんだろうと探してみたら、こちらもはひんらさんのnoteを丸パクリ参考にさせていただいてものでした(本当にお世話になっています!)。
書きながらチラチラ左の問題文を見ると「タワーマンション」のカタカナとNISAの文字が目に飛び込んでくる。よし、医療法人じゃない!
・・・と胸をなでおろしながら、左の問題文を読み込んでいきました。
2.設例読込(心の声)
設例を読んで最初の感想。これ、事業承継じゃないの!?
これまさかの普通に個人の相続相談!?
家族構成までサラッと読んで、所有財産の概要をチェックする。
土地400㎡:8000万円➡やった~、待望の小宅使える!電卓で計算!
財産4億5000万円、相続税額1億1000万円➡よし、やり甲斐あるね。
タワーマンションの概要➡いろいろ数字あるけど、タワマン税制以外無視しよう。
ということで、あらかじめ書いた呪文の中で使えそうなものに◯をしていく。
事業承継じゃないから(株)はなし。
相続税軽減の事前対策(前)は、直3=(教育・結婚・住宅)のうち教育も住宅もいける。
居住用財産の配偶者への贈与、贈与税の配偶者控除もいける。
相続時精算課税の説明は絶対に聞かれるよね。
暦年課税だと持ち戻しが3年から7年になるからAさんの資産構成なら相続時精算課税という手を使うのもありかも。
円滑な遺産分割(円)は、もちろん遺言書。
納税資金の確保(納)は、すでに生命保険で一時払終身保険勧められているじゃん。相続人1人につき500万円の非課税枠があるし、住宅で長男Cさんに贈与するならこちらは長女Dさんを受取人にすればいいね。
えっ、これ15分で言いたい事足りる? 株とか考えなくていいの?
事業承継税制あんなにやったのに、全然出ないの?
でもこれNISAとタワマンを乗り切れたらいけるんじゃない?!
いや、どっちも掘られたら怪しいけど今回チャンスじゃない!?
やれるかもしれないという自信を持って面接に向かった。
3.口頭試問(12分)
ルン:「しのっぴルンと申します。よろしくお願いします。」
(面接官左の方は30代に見える若い方、書記の方は50代位の温厚そうな方)
面:「設例の顧客の相談内容、問題点を全てあげてください。」
ルン:「相談内容は、自身の年齢を踏まえ相続税対策を考えておきたいこと、勧誘を受けたターマンションの購入について考えていること、CさんDさんにNISAの活用してほしいと考えていること、相続税対策としての一時払終身保険はどうかということです。問題点は、相続税額が1億円を超えると見積もられているので、その納税資金の確保、相続税の軽減対策、円滑な遺産分割です。」
面:「では、順番にいきますね。タワーマンションが相続税の軽減対策になるということはどういうことですか?」
ルン:「不動産を購入する場合、取得価額ではなく購入から3年経つと路線価で評価されるので、時価の70%になるので相続税の軽減対策になります。」
ルン:「タワーマンションは、土地の持ち分の面積が非常に少なくなるので、路線価から算出する土地の価額が低くなります。そのため相続税対策に使われることがありましたが、2024年1月に税制改正がありました。この税制改正により、著しい市場価格との差は是正されることになりました。具体的には、相続税を評価する時に、相続税評価額×評価乖離率×60%で評価することになります。」
面:「評価乖離率は何が関係しますか。」
ルン:「築年数・何階の部屋であるか・敷地狭小度、あと…あと一つあります。」
面:「では、次にいきますね。NISA制度とはどういう制度ですか?」
ルン:「NISA制度は、株式などの配当・譲渡所得等が非課税になる制度です。2024年から以前の制度と大きく金額面で変わることになりました。具体的には現在は年間360万円、トータルで1800万円まで非課税枠が使えます。360万円のうち、240万円は成長投資枠、120万円はつみたて投資枠として使えます。」
面:「240万円の枠を使って、それを売却した場合新たな枠は使えますか?」
ルン:「使えません。」(えっ、まだNISA掘るの?)
面:「本当に使えませんか?」
ルン:「だと思うのですが…」
面:「いや、使えるんですよ。調べてみてください。」
ルン:「そうなんですね、勉強になります。」
後記:当年中に売却しても、その取得枠が復活するわけではないと思って答えていましたが、売却した翌年に繰り越せるということでしょうか。言われてみれば、そうかもしれません。240万円で購入した株を売却して利益を出した翌年度には480万円の枠を使えるということでしょうか?
いや、分かっているようで分かっていませんね。勉強になりました。
面:「では、一時払終身保険は節税になりますか?」
ルン:「なります。500万円✖️相続人の数が非課税となるので、節税になります。今回のケースの場合、Cさんが社宅にお住まいということで今後住宅取得の時に住宅資金贈与をする機会があると思いますので、Dさんを受取人にするとよいと思います。」
面:「暦年贈与と相続時精算課税の近年の法改正について説明してください。」
ルン:「はい。2024年より暦年贈与の持ち戻し期間が3年から7年に延長されました。また、相続時精算課税は手続きを取ることにより2500万円までの贈与が相続時まで繰り延べられる制度ですが、こちらに毎年110万円の基礎控除枠が設けられることになりました。」
面:「他にも節税対策としてなにかありますか?」
ルン:「Aさんにはお孫さんが2人いらっしゃいます。教育資金贈与では1人につき1500万円まで非課税となりますので、Aさんの資産状況からするに是非ともお勧めしたいです。また長男Cさんは持ち家を持ってらっしゃらないので、ご自宅の購入を検討される場合は、住宅資金の贈与をお薦めしたいです。こちらは省エネ住宅の場合は1000万円、そうでない場合は500万円までが非課税となります。
あと、奥様との婚姻期間が20年を超えていると思われますので、タワーマンションの購入にあたって2000万円まで奥様に住宅資金の贈与を非課税で行うことが可能ですのでそちらもご検討いただけるといいと思います。」
面:「最後にFPの職業倫理についてあげてください。」
ルン:「①顧客利益の優先、②守秘義務の遵守、③顧客に対する説明責任、④コンプライアンスの徹底、⑤インフォームド・コンセント、⑥FP自身の能力啓発です。」
面:今回の設例の場合何を優先しますか?」
ルン:「インフォームド・コンセントを重視します。」
面:「その理由はなんですか?」
ルン:「今回の場合、相続にあたりAさんだけでなく、ご家族の皆さんが当事者になりますので、円滑な遺産分割をご家族の皆さんに納得いただけることが重要だと思うからです。」
面:「質問は以上です。おつかれさまでした。」
ルン:「ありがとうございました。」
4.今思うに
今回、PART2が先でPART1が後という順番が、私にはとてもラッキーだったと思います(その割にタワマン一つ言えませんでしたが…)。
PART1試験開始前の1時間に、PART2で法改正の直撃を食らったため、ラスパーさんのタワーマンション税制の記事も見ていました。
それにしても、PART1、PART2とも2024年2月の直前回とほぼ同じ論点(に思えました)。
過去にこんなことありましたでしょうか?
直近の回はむしろ流していたので、ラスパーさんの記事に目を通していなかったら、タワマンで大コケして総崩れしていたと思います(汗)。
ラスパーさん本当にありがとうございました!!
全体としてPART2もPART1も、とても満足度の高い口頭試問の12分となりました。
お目にかかった面接官の方、書記の方合わせて4人共、味方です!という雰囲気を感じましたし、頷いてもらえたりすると、自信を持って喋ることができました。
用語の使い方、言葉の定義について甘いところがある自覚があります。
ただ、正確性も大事ですがコミュニケーション(会話)の中で、正しい方に近づける作業を面接官の方もしてくださっている印象がありました。AかBかどちらか迷ったら、まずはAのカードを切りながらで相手の反応を見る、というのもありだなと思います。面接官が救いの手を差し伸べてくださっているなと感じることが間々ありました(それらしいことを書けていませんが…)。
そっちじゃないよ~というシグナル(特に今回はPART2)は、かなりいただきました。自分で答えられなかった質問に対し、どっちに面接官が持っていきたいかの判断は、面接官の表情などを見ながら、こちらも発言を小出しにして探る必要があります。共同作業的な雰囲気(共犯者的な)も感じられ、そこの部分は楽しかったです!
結果はどうなるか分かりませんが、7月11日を楽しみに待ちたいと思います。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!