【参加報告】7th Annual GRASFI Conference at Singapore Management University
今年2024年9月2日から4日にかけて、シンガポール経営大学(SMU)で開催された世界有数のサステナブルファイナンスに関する学術会議"7th Annual GRASFI Conference"に参加しましたのでご紹介します。
■GRASFIの概要
The Global Research Alliance for Sustainable Finance and Investment (GRASFI) は、サステナブル・ファイナンスと投資に関する学術研究の発展を目指して2017年に設立された国際的な学術アライアンスです。このアライアンスは世界中のファイナンス分野のトップビジネススクールを中心に組織されており、サステナブル・ファイナンスと投資をテーマに、国際学術会議の開催、研究者間の連携促進、若手研究者の育成を目的としています。
■プログラムの内容
年次大会は欧州、北米、アジアを順次巡回して開催されており、2024年はシンガポール経営大学とシンガポール・グリーン・ファイナンス・センターの共催、BNPパリバ・アセット・マネジメントとホー・ビー・ランドの支援を受けて実現しました。
初日の午前中は、博士課程の学生を対象としたワークショップが開催されました。大変厳しい採択を通り抜けた以下のようなトピックのファイナンス研究の発表は非常にレベルが高かったです。
カーボンファイナンスの実体経済への影響
企業の気候変動対策における投資家連合の役割
気候変動移行リスクの測定手法の比較評価
本会議の冒頭では、ヘン・スイキャット副首相による基調講演が行われました。その後のプレナリーセッションでは、インパクト投資をテーマに、テマセク・トラストやAVPN、BNPパリバ・ウェルスマネジメント、リープフロッグ・インベストメンツの幹部によるパネルディスカッションが行われました。
3日間に及ぶ様々な研究発表及びパネルセッションでは、以下の3つの重要なテーマが設定され、研究成果の報告と議論が行われました。特にサステナブルファイナンスに社会的注目が集まる金融経済学や経営学の研究発表を通じて、大変活発な議論が行われました。
規制の影響
サステナブル投資におけるトレードオフ
グリーンウォッシング など
■ネットワーキング
初日のマリーナ・ベイ・サンズで開催された晩餐会や2日目のアジア文明博物館の立食パーティでは、サステナビリティに配慮して開催され、世界中の参加者との有意義な交流の機会となりました。
本カンファレンスでは、アカデミアと金融業界の架け橋となる議論が展開されただけでなく、シンガポール政府の視点を含むアジアにおけるサステナブルファイナンスの取り組みについて深い理解が得られました。
■ネットワーキング
本カンファレンスへの参加を通じてサステナブル・ファイナンスに関する最新の学術的知見に触れるました。ここで得られた知見を今後の気候イノベーション研究に活かしつつ、微力ながら日本を国際的なサステナブルファイナンスの研究ネットワークに繋げることを目指していきたいと思います。
また、会期中にシンガポール経営大学で学ぶ日本人の学生や研究者ともご接点ができ、グローバルな研究の最先端から現地事情まで広く学ぶことができました。
最後に、貴重な機会にご招待頂いた、共同研究者で友人であるフランスEDHEC Business SchoolのGianfranco Gianfrate教授(EDHEC-Risk Climate Impact Institute Research Director)には、心より御礼申し上げます。