ボロボロになった1万円札
ある大学での授業の話です。
教授 「ここに1万円札があります。欲しい人はいますか?」
生徒 (ざわざわ……)
何か面白いことが始まった…。
教室の雰囲気があっという間に変わる。
たったひと言で、生徒たちの興味を一度に惹きつけた教授は、指でつまんだ1万円札を壇上でヒラヒラと泳がせている。
(以下 教授=教 生徒=生)
生 「はい!」
ほとんどの生徒が手を挙げる。
教 「わかりました。このなかの1人に、この1万円札をあげます。ただし、その前に、こうさせてください」
教授は、手にしていた1万円札を握り込むようにして、クシャクシャにした。
その様子を生徒がワクワクしながら見つめている。
小さく丸められた1万円札を差し出して、生徒に聞く。
教 「これでも、この1万円札が欲しいですか?」
何人かの生徒が声をあげて答える。
生 「欲しいです!」
教 「よろしい。それでは…これでもですか?」
なんと教授は1万円札を床に放り投げ、それを踏みつけるだけではなく、グリグリと捻るように、こすりつけた。
生徒は目を見開いて、言葉を失っている。
教授は1万円札を拾いあげながら、再び問いかける。
教 「これでも、この1万円札が欲しいですか?」
生 「…………」
先ほどよりは数が減ったが、それでも多くの生徒が手を挙げている。
教 「ありがとう。今日の講義で伝えたいのは、まさにこれです」
生 「…………?」
教 「私がこの1万円札に何をしても、君たちはまだこれが欲しいと言います。君、なぜ欲しいのですか?」
生 「価値が失われたわけではないからです」
教 「そのとおりですね。人間も同じです」
生 「…………」
教 「これから君たちは何度もツライ出来事に遭遇するでしょう。間違ったことをして恥をかいたり、不運に見舞われることもあるでしょう」
生 「…………」
教 「そんな時には、自分なんかに価値はないと感じるかもしれません。でも必ず覚えておいてください」
生 「…………」
教 「これから何が起きたとしても、君たちの価値自体が失われることはありません。それを忘れないで欲しい。もし価値がなくなることがあるとすれば……」
教 「それは君たち自身が、自分の価値を信じなくなり、君たち自身を諦めたときです。肝に銘じておいてください」
生 「…………」
生徒たちから、拍手はなかった。
それでも明らかに生徒の表情が変わっているのを確認した教授は、満足そうに壇上から降りていった。
この講義を通じて、教授は生徒たちに「自分の価値は何があっても変わらない」という重要なメッセージを伝えたかったのでしょう。
どんなに困難な状況に直面しても、自分の価値を信じ続ける。外見や状況に左右されず、本来の自分を認め、大切にすることで、自信を持って前に進むことができるのです。
今回の記事を読んでみて面白い!とか、学びがある!と思ったら、ぜひリアルタイムでメルマガを受け取ってください。期間限定で誕生日プレゼントの『学び』のミニセミナーがもれなくついてきます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?