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#3 水上民族バジャウ

両足幅分くらいしかない
木の板で作られた道を恐る恐る渡っていく
木の板は今にも崩れそうな程ガタガタで不安定
落ちたら異臭漂う海にボチャン
迷路の様な道を進みながらも
非日常的な光景に心踊っている自分がいた



ここはセブの少数民族
バジャウ族が住む集落
彼らは海の上に村を作り生活している
そしてバジャウ族になった
日本人が住んでいるという噂を聞きつけ
ロマンを感じずにはいられなかったので
早速連絡をとり訪れる事にしたのだった
華やかなモールがそびえ立つ
大通りの脇道に入っていくと景色は一転
屋台料理を作るおばちゃんに
上裸で談笑してるおっちゃん
子供達が無邪気に走り回っている
生活感溢れつつも初めて見るこの光景は
セブ島というリゾートから想像できない
ディープなローカルに入っていく
そんな感覚がたまらなくワクワクした
やっとの思いで迷路を抜け
日本人バジャウ族が住む家に辿り着いた
“Bajao”と大きく書かれた看板が目印だ
お邪魔して日本人バジャウ族のヒロム君と挨拶をした
どんな人かなと思ってたけど
自然体で優しいお兄ちゃんって感じで安心した
その日は夜だったので
バジャウの亡霊に取り憑かれたヒロム君の嫁との
壮絶な夫婦喧嘩を目の当たりにしたり
グロすぎるホラー映画を皆で見ながら眠った
(すでに濃い)

ゆっくりと朝を迎える
吹き抜けの部屋には心地いい風が吹いている
ハンモックに揺られて
何も考えずに過ごす時間が最高に気持ち良かった
少し集落を散歩してみる事にした
外に出ると子供達が無邪気に遊んでる
海に飛び込みをしたり
木の板を器用に走り回っている
皆元気に満面の笑顔を浮かべて
遊びに誘ってくれたり挨拶してくれる
お母さん達もハニカミながら挨拶してくれた
僕はなんとも平和で活気に満ち溢れた
この空間に衝撃を受けた

確かに生活環境は劣悪だと思うし
良い生活を送ってるとは言い難い
でもここに住む人達はとても自然体だった
それでいてのびのび暮らしている
とても人間らしいと感じた
 僕たちの生活は日に日に便利になっていくが
その分人間らしさがなくなっているのではないか
人は自然体で生きるべきなのに
不自然に自分を着飾る様になり
窮屈な毎日を送っているのではないか
本当の豊かさとはこういうことじゃないのか
“ありのままでいいじゃないか"
セブ島の小さな集落は僕に大切なことを教えてくれた

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