清水エスパルスvs鹿島アントラーズ~北川航也とクリスランの守備がすごく良かったよのお話

開幕戦。結果は引き分けでしたが、今後に期待を持たせてくれるようなワクワクする内容でしたね。印象に残ったプレーはたくさんありましたが、今回はその中でも北川航也選手とクリスラン選手の守備を取り上げてみます。

良い守備はまず前線から。ディフェンス陣の頑張りはもちろん、北川選手とクリスラン選手の最前線からの守備が非常に効いていました。僕なんか北川選手の守備に思わずじわっと胸が熱くなってしまいましたから。

それでは本題に入りますね。僕が開幕戦を見て感じたフォワードの守備での役割はこれじゃないかと思うんです。

「絶対真ん中通させないマン」

まず中央のコースを消すことです。フォワードが相手ボールをサイドに誘導してサイドでボールを奪います。サイドに誘導するためには初めの守備者のフォワードが中央のコースを塞ぐ必要があります。守備のスタートで失敗してしまったらもう対応は後手後手。大変な事態です。だから北川選手とクリスラン選手は2人で「絶対真ん中通させないマン」にならなくてはなりません。

場面を切り取ってみましょう。前半9分です。

北川選手は後ろのレオシルバ選手へのコースを消しながら鹿島のセンターバックにプレスしています。ここで相棒のクリスラン選手はあえて植田選手に行かないでちょっと引いて中盤の三竿選手の近くにポジションします。これには2つ理由があるのではないかと思います。

まず1つ目はわざとエスパルスから見て左側のルートを空けて、そちらにボールを誘導するためです。

2つ目が2トップの脇から中央を通されるのを防ぐため。この画像で言うとクリスラン選手と石毛選手の間、ちょうど三竿選手がいるところが2トップ脇です。ここは何気に守備がぼやけやすい場所です。クリスラン選手がちょっと引くことでここから侵入されるのを防いでいます。試合を見直していただければ、他の場面でもこのようにクリスラン選手や北川選手が相手の動きに合わせて2トップ脇を塞ぐようなポジション取りをするのが確認できると思います。

こうすると鹿島のセンターバックは、ほぼ植田選手を経由して右サイドのウッチーにボールを回そうとします。

このルートを石毛選手が狙いつつ(石毛選手や金子選手がここで何度もボールを奪ってましたね)、後ろはグッと全体をボールサイドにスライド。

密集させて相手からボールを狩り獲ります。

アントラーズとしては、引いて受けに来るフォワードの金崎選手や鈴木選手にロングボールからポストという手もありますが、そこはフレ様やソッコ兄さんがガツンです。

始めにも書きましたが、この守備で大切なのが中央のコースを消してサイドにボールを誘導するフォワードの役割。サイドに誘導するために真ん中は絶対割らせてはいけません。

しかし「絶対真ん中通させないマン」になるには、ただ相手の正面に立っていればいいわけではありません。北川選手やクリスラン選手はそれを理解しています。だから

自分が消すべきコース、2トップ脇を通されてレオシルバ選手にボールが入ってしまったら責任を持って潰しにいっています。まさに「絶対真ん中通させないマン」

また

相手が後ろを向いてバックパスした時、つまり自分の消すコースにボールが来ないと判断したらゴールキーパーまで追って奪いにいっています。

一生懸命守備をすると言ってもがむしゃらにただ追っかけるだけでなく、またただ真ん中に立っているだけでなく、今どういう状態だから自分はどう守備をするかがわかっているのです。

さらに相手がフリーで侵入してきたら、中盤まで下がって守備まで。なんていう判断と献身さ ...。

去年まではちょくちょく守備で迷子になりがちだったあの航也がこんなに効果的な守備を迷いなくやり続けるなんて(感涙)。

ここでは北川選手の守備を例に取り上げましたが、クリスラン選手も同じように忠実で献身的な守備を見せてくれていました。

このフォワードの守備があるから、中盤の選手はボールが来るコースを読んでぎゅっとボールサイドに寄ることができ、近くにカバーの選手がいるから後ろの選手は思い切って相手を潰しに行くことができるんでしょうね。

開幕戦を見てワクワクした理由の1つは、この守備のようにみんなのプレーが繋がって、どの選手も生き生きと活躍していたからなんじゃないかなあと思います。そして守備だけでなく攻撃も含めてそれぞれの選手が明確な判断を行い、それを繋げていくような組織作りをしたヨンソン監督の手腕に感銘したわけです。

だからといって勝ち続けられると確信するほどJ1が甘くないのはわかっています。だけどヨンソン新監督のもとワクワクするシーズンを送れそうなのは間違いなさそうです。ああ、次の試合が待ち遠しい...。







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